運命の番じゃないあなたを愛している

明太子

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25.大迷惑な男と救ってやりたい男 

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「どういう意味だ?」

ソニアはこれ以上の動揺を悟られまいと気丈に振る舞う。
そうでもしなければ、本能的にこの男に屈してしまう。
そんな予感がした。

「アルファのフェロモンっていうのはヒートにあてられた時にのみ発生する。まぁ、オメガがいないと成立しないよな」
「あぁ」
「だけど俺の場合は満月の夜になるとオメガの有無に関わらず、勝手にフェロモンが出るんだ。そのせいでオメガのヒートを引き起こしたり、通常はフェロモンに惹かれないベータですら寄せつけちまう始末だ。迷惑な話だろ?」

そう言ったヴォルフは自嘲気味に笑った。
自身の体質によって周りに与える影響はヴォルフを相当苦労させたのだろうと容易に推則できた。

「本当大迷惑だな」
「ごめんな」
「…でも、まぁ俺には謝るなよ」
「えっ?」
「色んな奴に迷惑かけたのは事実だろうけど、お前が意図してやったことじゃねぇって俺は分かってるから」
「ソニアちゃん…」
「それに俺は元々オメガとして全然機能してねぇから。お前のフェロモンに寄りつくことは一切ねぇよ。またあんな風に倒れても困るからな。だから安心しろよ」

ソニアにはヴォルフを責める気持ちは全くなかった。
むしろ第2の性に振り回されている者同土、救ってやりたいとさえ思った。
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