運命の番じゃないあなたを愛している

明太子

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40.隙間風

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「ねぇー、まだ私のこと婚約者だって発表してくれないのー?」
「俺が公爵家を継ぐのと同時に発表するって何度も説明しただろう」

レイモンドとメイリンが婚約してから3ヶ月。
早くも2人の間には隙間風が吹くようになっていた。

「はぁっ⁉︎そんなの嫌だわ!婚約発表すら未だにされないのなら、大体結婚はいつになるのよっ!同級生はほとんどが既に嫁入りしている子ばかりなの!私、これじゃあ行き遅れじゃないの!」
「結婚は公爵としての仕事に慣れてからに決まっている。君も知っていると思うが、貴族の暗黙のルールだろう?メイリン、プロポーズ直後は『立派な公爵になるのを応援している。それまで待っているから』とそう言ってくれたじゃないか」
「それは…、そうだけど…。あの時はすぐにあなたが継ぐものだと思っていたのよ…」

メイリンは気まずそうにレイモンドから目を逸らす。
これ以上は言い返せないと悟ったものの、まだ不満が残っている彼女はほっぺたを膨ましながらツインテールの毛先を指でくるくると弄る。
メイリンが怒っている時によく取る行動だ。

付き合いたての頃はこの行動を可愛いとレイモンドは思っていたけれども、今となってはひどく煩わしいと感じていた。

(ソニアはこんなこと言わなかったのに…。それどころか互いに仕事を持つ身だからこそ、共に頑張ろうと言ってくれていたな…)

最近、レイモンドはソニアとメイリンを事あるごとに比較するようになっていた。
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