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過ち
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その声には確かに熱情が込められている。
それに気付いているエレオノールの瞳は戸惑いを隠しきれず、切なげに揺れる。
ヴィンセントがゆっくりと顔を近づけて唇が触れそうになる寸前、エレオノールが静かにヴィンセントの胸を押し返した。
「…それはダメだ」
しかしながら、その指先と声は震えていた。
「俺は…、お前の妃である前にカラーラン王国第7王子だ。…もし、…もしも玩具にされるのなら剣で抗う」
ヴィンセントは暫し沈黙する。
だが、真剣な眼差しでエレオノールを見据える。
「…違う。そういうつもりじゃないんだ、ただ…」
「……なら、それまでにしてくれ。これ以上は…、ダメだ」
エレオノールはヴィンセントを振り切るようにして、急いでその場を去った。
ヴィンセントは追いかけることもできずに、ただその場に立ち尽くすしかできなかった。
エレオノールはヴィンセントを完全に拒絶したのではない。
むしろ全てを受け入れる前に近づきすぎてしまった距離を恐れたがゆえの過ちだ。
それを分かっているからこそ、その後の2人の間には再び距離ができるようになってしまった。
だが、これからすれ違いの影がゆっくりと2人を追い詰めていくことになるのをまだ誰も知る由はなかった。
それに気付いているエレオノールの瞳は戸惑いを隠しきれず、切なげに揺れる。
ヴィンセントがゆっくりと顔を近づけて唇が触れそうになる寸前、エレオノールが静かにヴィンセントの胸を押し返した。
「…それはダメだ」
しかしながら、その指先と声は震えていた。
「俺は…、お前の妃である前にカラーラン王国第7王子だ。…もし、…もしも玩具にされるのなら剣で抗う」
ヴィンセントは暫し沈黙する。
だが、真剣な眼差しでエレオノールを見据える。
「…違う。そういうつもりじゃないんだ、ただ…」
「……なら、それまでにしてくれ。これ以上は…、ダメだ」
エレオノールはヴィンセントを振り切るようにして、急いでその場を去った。
ヴィンセントは追いかけることもできずに、ただその場に立ち尽くすしかできなかった。
エレオノールはヴィンセントを完全に拒絶したのではない。
むしろ全てを受け入れる前に近づきすぎてしまった距離を恐れたがゆえの過ちだ。
それを分かっているからこそ、その後の2人の間には再び距離ができるようになってしまった。
だが、これからすれ違いの影がゆっくりと2人を追い詰めていくことになるのをまだ誰も知る由はなかった。
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