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90.王は資格を問われる
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キースは俺に見つめて、穏やかな笑みをしながら頷きを返す。
そして背筋をしゃんと伸ばし、深呼吸をした。
そこからキースの纏う空気感が変わったのが分かった。
瞳からは動揺が消え失せ、新たに覚悟が宿る。
震えていた手はゆっくりと意志を持った拳へと変わっていく。
「『撤回はできない』ではなく、『撤回は難しい』ということは少なからず可能性はあると考えてよろしいですか?」
「まぁ、そうだな」
「撤回の理由を伺っても?」
「近隣諸国に関税引き上げの通達を行った手前、レオンスタリア王国のみを特別扱いすることは立場上しづらいからだ」
「…それならば我が国を特別扱いするに足る理由、つまり大義名分があればよいのでは?」
「大義名分ね…。具体的にはどうすればいいと思う?」
リリオ王は軽く目を細めると、身を乗り出した。
表面的には交渉に乗り気であるように見えたが、その鋭さの残る視線からは為政者としての資格を問われているように思えてならなかった。
キースもそれをひしひしと感じたのだろう、一瞬怯んだ。
だが、ぐっと堪え、リリオ王を真っ直ぐ見据えながら応える。
「条約です。我が国とシャルドナ王国の更なる交易の発展を目的とした関税に関する条約を締結するのはいかがでしょうか?」
「…なるほど、いい案だな」
そして背筋をしゃんと伸ばし、深呼吸をした。
そこからキースの纏う空気感が変わったのが分かった。
瞳からは動揺が消え失せ、新たに覚悟が宿る。
震えていた手はゆっくりと意志を持った拳へと変わっていく。
「『撤回はできない』ではなく、『撤回は難しい』ということは少なからず可能性はあると考えてよろしいですか?」
「まぁ、そうだな」
「撤回の理由を伺っても?」
「近隣諸国に関税引き上げの通達を行った手前、レオンスタリア王国のみを特別扱いすることは立場上しづらいからだ」
「…それならば我が国を特別扱いするに足る理由、つまり大義名分があればよいのでは?」
「大義名分ね…。具体的にはどうすればいいと思う?」
リリオ王は軽く目を細めると、身を乗り出した。
表面的には交渉に乗り気であるように見えたが、その鋭さの残る視線からは為政者としての資格を問われているように思えてならなかった。
キースもそれをひしひしと感じたのだろう、一瞬怯んだ。
だが、ぐっと堪え、リリオ王を真っ直ぐ見据えながら応える。
「条約です。我が国とシャルドナ王国の更なる交易の発展を目的とした関税に関する条約を締結するのはいかがでしょうか?」
「…なるほど、いい案だな」
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