俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね？〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

13．王妃は涙する

それってまさか俺を出戻りにさせるつもり?

話し終えたキースは今度こそ本棟へ帰っていく。
遠ざかる彼とただ呆然とする俺の姿が反射して、窓ガラスに映っていた。

すらりとした長身に鍛え抜かれた体躯、誰もが見惚れる美貌を併せ持つキース。
それに比べて、俺はくすんだ赤錆色の髪に三白眼。
お世辞にも美形とは言えない顔立ちだ。
おまけにチビ。

今更になってようやく理解できた。
悲しいぐらい俺はキースに釣り合っていない。
そりゃあ愛されることはおろか、いつか振り向いてくれることもないよな…。
何で気付かずに、今まで頑張っていたんだろう？
ほんと馬鹿みたい。

急激に自分自身が恥ずかしくなって、逃げるように私室へ戻った。
部屋にはリディアがいたが、ベッドに即座に潜り込んだ俺の様子から何かを察したのか黙って出て行った。
1人になった途端、涙が溢れて止まらなかった。

「ううっ…、あんな風に、うっ…、い、言わなくても、ぐすっ…、いいのによぉ。ずずっ…、で、出てけって…、うっ、ひ、一言言って、くれれば、ぐずっ、こんな、傷つかなくても、すんっ、済むのにさぁ…」

布団にくるまって、子どもみたいにわんわんと泣き喚く。
俺はそのうち疲れて、いつの間にか眠ってしまっていた。