俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね？〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

38．王妃は結婚について聞かれる

結局一睡もできなかった。
ただひたすら大の字になっているだけで、一夜を明かしてしまった。

はぁ…、なんて滑稽なんだろうか。
策士策に溺れるってこのことじゃないか。
…って、策士って程賢い考えでもないのがより一層恥ずかしい！

『俺とやり直したい』という言葉、あれは一体何だったんだ？
空耳？聞き間違え？
そんな訳ないよな、あんな至近距離で言われたんだから。

「王妃ー？聞いてる？大丈夫？」
「あっ、リリオ王…！申し訳ございません…、何でしょうか？」

本格的に外交が始まった今日は朝からリリオ王の案内によって市街地にあるいくつもの建造物を訪れている。
国として信頼してもらうため、リリオ王と仲を深めるにはこの上なく重要な場である。

それなのにまどろむような暖かい気候と旅の疲れに眠気を誘われた結果、視察の最中にも関わらず、昨晩の出来事についてぼんやりと物思いに耽ってしまっていた。
リリオ王に顔を覗き込まれ、俺はすかさず頭を下げた。
しかし、リリオ王はあまり気にしていない様子で話を続ける。

「あのね、ちょっと聞きたいことがあって。王妃はキースと結婚して3年だよね？」
「えぇ、そうです」
「結婚ってどんな感じ？」

3年間の結婚で冷遇しかされていない俺にそれ聞いちゃうの？と心では思ったものの、それはもちろん言わないでおく。