俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

明太子

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70.やっぱり可愛いな

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「お食事に問題はございません。お召し上がり下さい」
「ありがとう」
「では失礼致します」

毒味を終えると、速やかにネイサンとデイヴィッドは去っていった。
念入りな毒味によって3分の1ほど既に食べられている料理に口をつけると、冷めてしまってはいたものの、それでも充分満足できるほどに美味しかった。

ひたすらもぐもぐ頬張っていると、キースと目が合った。
キースは自分の口の端をトントンと叩く。

「そこ、ついてるぞ」

口元に指を当てて軽く触れると、確かに料理のソースが付着していたので、ハンカチで拭い取る。

「やっぱり可愛いな」
「…へ?」

キースはため息が出るほどに麗しい微笑みを俺に向けていた。
思わず後ろを振り返るが、誰もいない。

「もしかしてそれは俺に言ってる?」
「あぁ。エスメラルダ以外に『可愛い』なんて言わないよ」
「と、突然どうしたんだよ!そんなこと言い出して!」
「突然じゃないけど?昔からずっとそう思ってた」
「はぁっ!?見え見えのご機嫌取りを俺が喜ぶとでも?」

口ではそう言いつつも、実はめちゃくちゃドキドキしている。
キースに可愛いと言われた喜びが抑えられない。

しかし、意地でもそれを悟られまいとにやけそうになる顔を懸命に引き締める。
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