俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

明太子

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86.独占したい

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真横から覗くキースの瞳はゾーイ大将軍に強く訴えかけている。
それを見て、後押しするように俺も続く。

「騙す真似をした俺が言える立場ではありませんが、リリオ王に思っていることをきちんと伝えていただけませんか?」

ゾーイ大将軍のここまでの行動や反応からして、リリオ王に全く気がないとは考えにくい。
頑なにリリオ王を拒絶するのも嫌というよりは向き合うことから逃げているように感じられる。
ゾーイ大将軍が素直に胸の内を明かしてくれたら、リリオ王の恋に勝算はあると思うのだ。

「ゾーイの気持ち、全部俺に教えてよ」

リリオ王は緊張した面持ちでゾーイ大将軍を見つめている。
ゾーイ大将軍がリリオ王の方を向き直ると、キースは手を離した。

「お願い」

リリオ王の懇願にゾーイ大将軍は大きく息をつくと、ようやく重い口を開いた。

「…俺はリリオを愛している」

静かながらも強い想いを感じるその一言に周囲の者は皆思わず息を呑む。
しかし、ゾーイ大将軍はリリオ王へ真っ直ぐに向けていた視線をふいと逸らした。

「だけど、俺はお前が想像しているよりもずっと嫉妬深くて、器が小さい。結婚を拒み続けたのだって、後宮に入りたくなかったからだ。俺以外の男に抱かれるお前の傍にいるのが耐えられない。他の夫たちと共有なんか
できない。お前を独占したい」
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