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犬猿の仲のアイツが可愛いなんてどうかしている!【前編】
「好き」
それは部活終わりの2人きりでの居残り練習中の出来事だった。
たった2文字のその言葉をあまりにも唐突に漏らした藤島鷹は明らかに『しまった』という顔をした。
「えっと…。今のは…」
「いや…、あの…、もういいやっ!俺っ、お前のこと好きなんだよ!…恋愛的な意味で」
藤島は顔を赤らめて、はっきりと俺に想いを告げると、そのまま走り去ってしまった。
そんな彼の後ろ姿を見て、いくらでも取り繕えたはずなのにやっぱりバカ正直で真っ直ぐな奴だなぁとぼんやり思った。
俺、海堂隼と藤島鷹は陸上部の仲間だ。
藤島は小柄ながらも持ち前の瞬発力で、種目の被る俺といつも競っている。
けれども仲は全っ然良くない。
その上、誰かといつも群れているあいつと一匹狼タイプの俺では性格が真逆なのに、厄介にも負けず嫌いなのだけは同じ。
だから顔を合わせれば、毎回喧嘩ばかりしている。
それなのにどうして気の合わない俺を藤島は好きになったんだ?
あいつの周りにはいくらでも人がいるのに。
俺なんかよりもずっと良い奴がいるし、選び放題だろ?
その日は家に帰ってからもずっと、藤島がなんで俺を選んだのかばかりを考えていた。
だが、それは当の本人にしか分からないわけで。
一晩悩みまくったが、結局結論が出ることはなかった。
翌日朝練に行くと、既に藤島は来ていて、同じ部員で友人の相沢と柏木の3人で笑いながら会話していた。
昨日の告白が嘘みたいに、いつも通りの光景だった。
だけど、俺はいつもと違っていた。
藤島にばかり目が行ってしまう。
藤島の周りがやけにキラキラしているように感じる。
藤島が可愛く見えて…、いやいや違う!
何考えているんだ、俺は‼︎
『藤島が可愛い』って何だよ‼︎
どうかしてるぞ、俺‼︎
俺は動揺しながら藤島たちの横を通り過ぎて、少し離れた場所で1人静かにストレッチを始めた。
けれども騒がしい彼らの声は否応なしに俺の耳に入ってくる。
「藤島さ、やたら目元赤くないか?」
「分かる!それ、俺も思った!泣きまくったみたいになってんぞ。どうした?大丈夫か?」
「あ…。昨日の晩、ちょっと泣いちゃって…」
その言葉を聞き、俺はドキッとして声の方に顔を向けると、藤島と目が合った。
確かに彼の目は赤く腫れていた。
俺のせいかもしれないと思うと、罪悪感と得体の知れない高揚感が胸の内に沸々と湧き上がってくる。
しかしながら、藤島はじっと見つめ続ける俺から気まずそうにふいと視線を逸らす。
その行動がほんの少し寂しく感じた。
それは部活終わりの2人きりでの居残り練習中の出来事だった。
たった2文字のその言葉をあまりにも唐突に漏らした藤島鷹は明らかに『しまった』という顔をした。
「えっと…。今のは…」
「いや…、あの…、もういいやっ!俺っ、お前のこと好きなんだよ!…恋愛的な意味で」
藤島は顔を赤らめて、はっきりと俺に想いを告げると、そのまま走り去ってしまった。
そんな彼の後ろ姿を見て、いくらでも取り繕えたはずなのにやっぱりバカ正直で真っ直ぐな奴だなぁとぼんやり思った。
俺、海堂隼と藤島鷹は陸上部の仲間だ。
藤島は小柄ながらも持ち前の瞬発力で、種目の被る俺といつも競っている。
けれども仲は全っ然良くない。
その上、誰かといつも群れているあいつと一匹狼タイプの俺では性格が真逆なのに、厄介にも負けず嫌いなのだけは同じ。
だから顔を合わせれば、毎回喧嘩ばかりしている。
それなのにどうして気の合わない俺を藤島は好きになったんだ?
あいつの周りにはいくらでも人がいるのに。
俺なんかよりもずっと良い奴がいるし、選び放題だろ?
その日は家に帰ってからもずっと、藤島がなんで俺を選んだのかばかりを考えていた。
だが、それは当の本人にしか分からないわけで。
一晩悩みまくったが、結局結論が出ることはなかった。
翌日朝練に行くと、既に藤島は来ていて、同じ部員で友人の相沢と柏木の3人で笑いながら会話していた。
昨日の告白が嘘みたいに、いつも通りの光景だった。
だけど、俺はいつもと違っていた。
藤島にばかり目が行ってしまう。
藤島の周りがやけにキラキラしているように感じる。
藤島が可愛く見えて…、いやいや違う!
何考えているんだ、俺は‼︎
『藤島が可愛い』って何だよ‼︎
どうかしてるぞ、俺‼︎
俺は動揺しながら藤島たちの横を通り過ぎて、少し離れた場所で1人静かにストレッチを始めた。
けれども騒がしい彼らの声は否応なしに俺の耳に入ってくる。
「藤島さ、やたら目元赤くないか?」
「分かる!それ、俺も思った!泣きまくったみたいになってんぞ。どうした?大丈夫か?」
「あ…。昨日の晩、ちょっと泣いちゃって…」
その言葉を聞き、俺はドキッとして声の方に顔を向けると、藤島と目が合った。
確かに彼の目は赤く腫れていた。
俺のせいかもしれないと思うと、罪悪感と得体の知れない高揚感が胸の内に沸々と湧き上がってくる。
しかしながら、藤島はじっと見つめ続ける俺から気まずそうにふいと視線を逸らす。
その行動がほんの少し寂しく感じた。
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