【現代BL短編集】犬猿の仲のアイツが可愛いなんてどうかしている!

明太子

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犬猿の仲のアイツが可愛いなんてどうかしている!【後編】

藤島は笑ってみせたが、それはあまりにもぎこちなくて下手くそだった。
そのまま俺を置いて去ろうとする。

だが、俺は藤島の腕を無意識に掴んでいた。
その間ずっと俺の中で『もうすぐお前のこと、好きじゃなくなるから』という先程の藤島の言葉がリフレインしている。

何だよ、好きじゃなくなるって。
安心だと?
むしろ不安で仕方ないっつーの。

焦燥感が一気に俺の心を支配する。
あいつが俺のことを好きじゃなくなるのは困る。
あんなに可愛いのに。

でも、なぜそう思うのだろうか?

「離せよ」
「嫌だ。お前は俺をずっと好きでいてくれ」
「は、はぁっ…⁉︎」

藤島は俺の手から逃れようとするが、それを許す訳にはいかず、掴む力をより強めた。
すると、彼は無理に眉間に皺を寄せ、不機嫌そうな顔を作る。

俺がその顔を覗き込むと、藤島は目をぎゅっと瞑って上を向く。
藤島の顔はみるみるうちに赤くなっていく。

「あぁ…、もう!そういうことされると諦めきれなくなるじゃん!」
「どういう意味だ?」
「だからっ!もしかしたらお前が俺のこと好きなのかなと思っちゃうってことっ!」

あぁ、そうか。
だから藤島が可愛いと思ったのか。
そんな簡単なことだったんだな。

「俺も好きだ」
「え?」
「藤島が好きだって言ったんだ」

藤島は鳩が豆鉄砲を食ったような表情でこちらを見る。

「…何、突然?そんな雰囲気なかったじゃん」
「しょうがないだろ、今気付いたんだ」
「今⁉︎おいおい、俺が言うのもなんだけど、雰囲気に流されてるだけじゃねぇの⁉︎」

藤島の目は俺への猜疑心でいっぱいのようだった。
俺はそれを晴らしたくて、懸命に気持ちを伝える。

「流されてなんかいない。俺は自分で気付くよりもずっと前から藤島が好きだった。鈍感だからよく分かってなかったけど、お前に好きだと言われて嬉しかったんだ。昨日の夜も一晩中藤島のことを考えていた」
「そ、そうなの?」
「あぁ。それなのに、朝来たら藤島がいつもと変わらなくて、あいつらのことばっかり見てて、お前の視線に俺が入らないのがムカついて、ちょっと意地悪したくなったんだ。ごめん」
「…嫉妬ってこと?」
「嫉妬、だな」

藤島は俺の胸にぽんと頭を乗せる。
表情は見えないものの、髪の隙間からちらりと覗く藤島の耳は赤く染まっている。

「…ずっと好きでいてほしいなら、俺を大事にしろよ」
「あぁ。大事にする」

そう言って、俺は藤島をぎゅうっと抱きしめる。
そしてその可愛さを密かに堪能したのだった。
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