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第九話 ケルピー
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――【鑑定眼Ⅱ】――
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
名前:ケルピー
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
確かケルピーというのは下半身が魚の馬だった筈だ。
ケルピーは馬具を付けた普通の馬の姿に成り済まして、だれかが乗るのを待つらしい。
そして、乗った相手を水中に引きずり込んでその肉を食べてしまうのだ。
ただ、内臓だけはお気に召さないらしく、ケルピーのお食事が終ったあとは水面に内臓だけが浮かんでくると言われている。
ちょっとグロい。
やっぱり、好き嫌いはしちゃダメだよね。
ちなみに僕はホルモンとか好きだよ。
ケルピーが付けている馬具は魔法の馬具で、それを取ると言うことを聞かせられるようになる。
ケルピーは普通の馬よりも力が強いので、手懐けることができればとても重宝するのだ
でも、あんまり働かせすぎると呪われたりするらしい。
ケルピーを雇う場合、事前に雇用条件をよく確認する必要がありそうだ。
目の前にいるケルピーは下半身にも足があるが、しっぽが魚の尾ひれのようになっている。
体色は暗い水色で、大きさは普通の馬と同じくらいだ。
残念ながら魔法の馬具は着けていない。
普通の馬具をケルピーに着けた場合も言うことを聞いてくれるらしいが、馬具なんて当然持ってないので意味はない。
ケルピーは夢中になってルカリコキノコを食べている。
まだ、僕の存在には気づいていないようだ。
そんなケルピーを前にして、僕はどう対応するか悩んでいた。
それというのもこのケルピー、靄が青色なのだ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
名称:魔力
状態:正常
ランク:――
詳細:ケルピーの魔力。水属性。
原産地:ケルピー
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
靄の鑑定結果はこんな感じだ。
コイツ魔法使ってくるんじゃないか?
靄の色は濃い。
暗い青色だ。
こういう、靄の色が濃いやつは強い。
神谷さんに取りついてた幽霊も靄の色が濃かった。
あっちは赤色だったけどね。
あいつはヤバかったね。
なんてったって火を吹くからね。
見た目もあんまし幽霊っぽくないかったし。
口の辺りの靄がいきなり火に変わったときはマジでビビったよ。
……あれ?
魔力を使って炎を出すって完全に魔法じゃないか?
え、あれが魔法?
それじゃあ、あの幽霊は幽霊じゃない?
じゃあ魔女とか?
大変だ。
そうなると僕は霊能探偵じゃなくてウィッチハンターだったことになる。
すぐに助手の神谷さんに伝えて改名しないと!
あ、別に自分から名乗ってたわけじゃないからいいのか。
と、余計なこと考えている内にケルピーが食事を終えて顔をあげた。
そして、何かに気がついたようにパッとこちらを振り向く。
次の瞬間、ケルピーがこちらに向かって駆け出した。
……って魔法は使わないのか。
水属性の魔力なんてものを持っているから、てっきり魔法を使ってくると思っていたのに。
ちょっと残念だ。
――【魔弾】――
――【魔弾】――
――【魔弾】――
向かってくるケルピーに連続で【魔弾】を放つ。
【魔弾】がケルピーの身体へと命中していく。
ケルピーのスピードは落ちない。
だが、一応ダメージはあるみたいだ。
乱立する木々を華麗に避けながらケルピーが近付いてくる。
【魔弾】を諦め、迫るケルピーの突進を避けることだけに集中する。
ケルピーの巨体が目の前まで迫る。
僕はケルピーの巨体を横っ跳びで避けた。
本当は達人みたいにすれ違いざまに切るとかやりたいが、そんな芸当は僕にはできない。
でも、避けるくらいなら何とかなる。
――【魔弾】――
――【魔弾】――
――【魔弾】――
突進を避けられ、Uターンしようとするケルピーを【魔弾】で攻撃する。
丁度スピードを落としていたせいか、僅かにケルピーの身体が傾いだ。
明らかにさっきよりも効いている。
追撃のため、僕は更に【魔弾】を発動しようとする。
しかし、ケルピーはすぐに体勢を立て直してこちらに向かって走り出した。
まずい。
さっきと同じようにケルピーの攻撃を避ける。
転がりながら体勢を整え、ケルピーが走って行った方に視線を向ける。
だが、僕の眼に飛び込んできたのは急転回しようとするケルピーの姿だった。
ガリガリという音を立てて蹄が地面を削り、周囲に土が舞う。
ケルピーがこちらを向くのが見えた。
次の瞬間、僕はケルピーの突撃をまともに食らい吹き飛ばされていた。
ゴロゴロと地面を転がり、頭に強い衝撃を受けて停止した。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
名前:ケルピー
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確かケルピーというのは下半身が魚の馬だった筈だ。
ケルピーは馬具を付けた普通の馬の姿に成り済まして、だれかが乗るのを待つらしい。
そして、乗った相手を水中に引きずり込んでその肉を食べてしまうのだ。
ただ、内臓だけはお気に召さないらしく、ケルピーのお食事が終ったあとは水面に内臓だけが浮かんでくると言われている。
ちょっとグロい。
やっぱり、好き嫌いはしちゃダメだよね。
ちなみに僕はホルモンとか好きだよ。
ケルピーが付けている馬具は魔法の馬具で、それを取ると言うことを聞かせられるようになる。
ケルピーは普通の馬よりも力が強いので、手懐けることができればとても重宝するのだ
でも、あんまり働かせすぎると呪われたりするらしい。
ケルピーを雇う場合、事前に雇用条件をよく確認する必要がありそうだ。
目の前にいるケルピーは下半身にも足があるが、しっぽが魚の尾ひれのようになっている。
体色は暗い水色で、大きさは普通の馬と同じくらいだ。
残念ながら魔法の馬具は着けていない。
普通の馬具をケルピーに着けた場合も言うことを聞いてくれるらしいが、馬具なんて当然持ってないので意味はない。
ケルピーは夢中になってルカリコキノコを食べている。
まだ、僕の存在には気づいていないようだ。
そんなケルピーを前にして、僕はどう対応するか悩んでいた。
それというのもこのケルピー、靄が青色なのだ。
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名称:魔力
状態:正常
ランク:――
詳細:ケルピーの魔力。水属性。
原産地:ケルピー
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靄の鑑定結果はこんな感じだ。
コイツ魔法使ってくるんじゃないか?
靄の色は濃い。
暗い青色だ。
こういう、靄の色が濃いやつは強い。
神谷さんに取りついてた幽霊も靄の色が濃かった。
あっちは赤色だったけどね。
あいつはヤバかったね。
なんてったって火を吹くからね。
見た目もあんまし幽霊っぽくないかったし。
口の辺りの靄がいきなり火に変わったときはマジでビビったよ。
……あれ?
魔力を使って炎を出すって完全に魔法じゃないか?
え、あれが魔法?
それじゃあ、あの幽霊は幽霊じゃない?
じゃあ魔女とか?
大変だ。
そうなると僕は霊能探偵じゃなくてウィッチハンターだったことになる。
すぐに助手の神谷さんに伝えて改名しないと!
あ、別に自分から名乗ってたわけじゃないからいいのか。
と、余計なこと考えている内にケルピーが食事を終えて顔をあげた。
そして、何かに気がついたようにパッとこちらを振り向く。
次の瞬間、ケルピーがこちらに向かって駆け出した。
……って魔法は使わないのか。
水属性の魔力なんてものを持っているから、てっきり魔法を使ってくると思っていたのに。
ちょっと残念だ。
――【魔弾】――
――【魔弾】――
――【魔弾】――
向かってくるケルピーに連続で【魔弾】を放つ。
【魔弾】がケルピーの身体へと命中していく。
ケルピーのスピードは落ちない。
だが、一応ダメージはあるみたいだ。
乱立する木々を華麗に避けながらケルピーが近付いてくる。
【魔弾】を諦め、迫るケルピーの突進を避けることだけに集中する。
ケルピーの巨体が目の前まで迫る。
僕はケルピーの巨体を横っ跳びで避けた。
本当は達人みたいにすれ違いざまに切るとかやりたいが、そんな芸当は僕にはできない。
でも、避けるくらいなら何とかなる。
――【魔弾】――
――【魔弾】――
――【魔弾】――
突進を避けられ、Uターンしようとするケルピーを【魔弾】で攻撃する。
丁度スピードを落としていたせいか、僅かにケルピーの身体が傾いだ。
明らかにさっきよりも効いている。
追撃のため、僕は更に【魔弾】を発動しようとする。
しかし、ケルピーはすぐに体勢を立て直してこちらに向かって走り出した。
まずい。
さっきと同じようにケルピーの攻撃を避ける。
転がりながら体勢を整え、ケルピーが走って行った方に視線を向ける。
だが、僕の眼に飛び込んできたのは急転回しようとするケルピーの姿だった。
ガリガリという音を立てて蹄が地面を削り、周囲に土が舞う。
ケルピーがこちらを向くのが見えた。
次の瞬間、僕はケルピーの突撃をまともに食らい吹き飛ばされていた。
ゴロゴロと地面を転がり、頭に強い衝撃を受けて停止した。
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