転移そして、結末

スラちー

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突然の光~プロローグ~

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俺は城島きじま祐司ゆうじ!どこにでもいる、普通…かは、わからないけど、とりあえず大学生だ!

家族構成は俺1人だけで、両親は俺が小さい頃に亡くなっていて、大学に行くまで爺ちゃんと婆ちゃんに育てられてた訳だけど、その爺ちゃんと婆ちゃんも大学に入る数日前に亡くなったんだ。

それで、爺ちゃんと婆ちゃんが残してくれた遺産を俺が貰って1人暮らしすることになったんだ。

家は爺ちゃんと婆ちゃんと一緒に住んでいた家があるし、ご飯の作り方は、婆ちゃんに教えて貰ったし、ご飯の材料の買い出しも俺が行っていたから生きていく上では問題はない。

ただ、3人暮しでも広いと感じていた家が、1人になると余計に広いと感じたり、大学から帰った時に、爺ちゃんと婆ちゃんからの『おかえり』が無くて寂しく感じたり、その度に爺ちゃんと婆ちゃんの顔を思い出したりして、少し、キツかったりするけど、別に構わない。

だって俺には、友達が沢山いるし、バイト先の先輩も優しい。親戚のおばちゃんたちも良くしてくるし、皆優しいからそこまで悲しく感じたりはしない。

……今日は楽しみにしてた、小説の最新巻の発売日なんだ。
それに、今日は学校が休みだし、バイトもない。
だから、俺は朝早くから起きて、走って本屋さんに行った、ここの本屋さんはたくさん本があるから最新巻が出るたびに通ってる。

何事もなく、小説を買えて家に帰る途中……。



目の前が急に光だし、僕の視界を覆ったあと、一瞬の浮遊感を感じて、俺は、



「え?」

真っ暗の闇の中に居た。



えっと……なんだ?
今の光で目を潰されたのか?
それにしても痛みはないし……。
でも、潰されたことないから痛みがあることすら知らないし……。

うーん……分かんなくなってきたな……。
とりあえず両手で眼をかいとく。

くそぉ……どうなってんだ?って!!おおう!?(バタッ)

痛てて……何なんだ?なんで転んだんだ?
ん?なんだ?この俺は、さっきまでアスファルトの歩道を歩いてたはずだ。
なのに、どうしてタイルの様な冷たい手触りを感じるんだ?
あれ?そういや、俺の小説はどこに行ったんだ?ずっと掴んでた筈なのに……。

それにこの、酸素が薄い感じ…。まるで山の頂上の様な、密室で空気を交換出来てないような?感じだな……。

「あー」

……少し、と言うより普通に声が響いている。つまりここはさっき俺が居た場所ではないということにならないか?

野外で声が響くことはないだろうし、酸素が薄いはずがない。それに地面はアスファルトでだった。

それに、この感じは目が見えなくなってるんじゃなくて、暗くて見えない感じだと思う。

確かポッケに……あった。
この、『ナップル社』の『myPhone』、ケータイだ。これは光源として使えるはずだ。

ポチットナ

……よし、見えるようになった。
やっぱり暗かっただけなのか。

それより、ここは?
何処なんだ?

そこは、廊下状にできたタイルの1本道に岩でできた天井と壁、元々道があったのだろうと思える、陥没した道とずっと暗闇に続いている先が見えない道であった。

ようやく条件を理解できた俺は、自分のいる場所がただの場所じゃないと気づいた。

 




まさか……この場所は……!?

汚い便器、汚い扉、汚い天井と床。
そして既視感のあるポスター…。
察するに…なるほど、ここはきったない3丁目の公園のトイレか。
そういえばさっきからうんこ我慢してたんだった。漏れそうだ…ついでだ、脱糞していこう。

そそくさと俺はズボンを脱ぐ……がそこで事件が起きた。

「……な、なんだこりゃぁぁぁあ!?」

ズボンを脱いでパンツに手をかけて気づいた。
なんと、俺のパンツがカッチカチの鉄製になっていたのだ。
固定されているようでとても俺の力量では外せそうにない。肉体に固定されている訳ではなさそうだが…。

このままじゃやばい……鉄製のパンツの中で糞をもらして永遠にとれないなんて嫌だ!

そう考えると不安からか途端に頭が痛くなり、吐き気を催す……手足が震える……涙が目頭を熱くする…

足がガタブルさせたせいで転んでしまった俺は、便器の中にケツごと突っ込んでしまう。

ボシャーン、と俺のケツがトイレの水に勢いよく入水する。とてもぬるい…。

俺の人生……ここまでなのか……?
せめて……今日の最新刊だけは見たかったのになぁ……

おい、神様……もし存在しているのならよぉ…俺の命と引換でも構わない。明日なんてなくてもいいんだ!今日だ!今日の最新刊だけでもいい、みせてくれぇぇぇぇ!!

すると、目の前で閃光と雷光。

な……なんだ……?
また転移か……!?

と、思ったが今回は違うようだ。
煙とともにそこには1匹のエリマキトカゲのような生き物が現れた。

「惨めなお主の願い、聞き入れようじゃあないかぁ!」

「な……なんだこのトカゲ!?喋ったし……突然現れて……」

しかし頭の沸いていた俺はこのトカゲこそが神だと信じて疑わなかった。

ニヤリ……とトカゲが笑う。

「ま、まさか…お前…。
俺の希望を叶えに来てくれたんだな!?そうなんだろ!?」

ニヤリ……とトカゲが笑う。

「たのむ!おれの願いを聞き入れてくれ!この鉄製のパンツ?を外して、俺を便器から助け出してくれぇ!自力じゃ出られそうにないんだよ!」

ニヤリ……とトカゲが笑う。

「なんか言ってくれよぉ!」

トカゲは唐突にくわっとした表情になり鼻水を垂れ流し、唾をぺっぺと吐き出しながら叫び始めた。

「お主はわしを最新刊を読みたくて呼んだのじゃろうがぁぁっ!?ならば、ほかの願いは聞き入れられん!お主は一生その便器にハマって鉄製パンツで糞尿を撒き散らして家族にも学校のおんにゃのこたちにも嫌われちまえばいいんじゃぁぁぁぁ死ね!!!」

真昼間の公園のトイレにトカゲの気色悪い声が響く。

家族……か……

「……はっ。家族か……俺にもついこの前までいたんだけどな……」

「なんじゃと……?……まさかとは思うが…死んだのか?」

「ははは……自分でもびっくりさ…母さん父ちゃんは事故だったんだが、じいちゃんばあちゃんは年のくせに…フルマラソンしちまったがために疲れて、呼吸困難で2人ともほぼ同時に死んじまったみてぇだ……」

そう、じいちゃんばあちゃんの死因はマラソンハッスルだ。そんなじいちゃんばあちゃんは俺の一生の誇りだ。

「じいちゃんばあちゃんは……俺の誇りだった!なのに……なんで死んじまったんだよ!じいちゃんばあちゃん!うぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

真昼間の公園に大学生の泣く声が響く。
こんなカオスな状況はもう2度と見ることはないだろう。

「その誇りを傷つけたお前を……俺は、許せない!エリマキトカゲ!!」

「え。ちょ……わし何も言ってな」
「問答無用即殺必須!!!」

な…なんだ?体に力が湧く。いまなら何でもできそうな気がする……!!
「はぁぁぁぁぁ……っ!!!」

瞬間、パリんっと鉄製パンツの割る音。
と同時にブリブリブリッ!と俺の糞が肛門からこんにちはする音。
と同時にポポポポーンっ!と便器から俺のケツが抜ける音。

「さぁ……貴様を殺す準備は完了だぞ、Mr.エリマキトカゲ!!トレースオン……!!」

PON☆

剣が出た…。場の流れでなんとなく詠唱してみると、なんとできちゃったようだ。

「ほう……まためんどくさいものを……じゃが、お主。一つ勘違いをしておらんかい?ワシはエリマキトカゲじゃない。」

なにを言ってやがるこの希少絶滅器具種は……俺の気をそらすためのはったりでもかますきなのか?

「ワシの真の名前を知りたいか?お主も聞いたことはあるじゃろうな……通称トイレの神様、真の名を……」

ゴクリ……俺が唾を飲み込む音がまたまた真昼間のトイレに響く…

「ワシの名前は『ディメイション・マチュチューネチュ6世』。古来のエジプト…ツタンカーメンより仕えし神じゃ。」

「なん・・・だと?」

本当になんだそれは。聞いたこともないぞ。

「ふふふ……驚いて声も出らんか淑女よ。ワシがあのディメンション・マチュチューネチュ6世と知ったなら無理もないがなぁ……」

いやいや本当になんなんだそれは。エジプトでディメンションなんたら6世…?見た目は完全にエリマキトカゲじゃねぇか!
しかもこいつ……淑女とかいったな?なぜ…この状態で俺を女と勘違いしてやがる!?おれはいまスッポンポンのちんぽコリン丸出しなんだぞ!?

「分かったら…なぁ、お主。その武器をしまえ…女を殺る気は、ワシにはないんでなぁ…」

「…あ、あぁ……?」

空気に流され、俺は、出した武器をトイレに流す。
トイレの詰まる音がした。


「ト、トイレを詰まらせおってこの糞垂れ流し野郎……で、お主の願いは最新刊だったな?その願い、今!この瞬間!叶えてやろうじゃあないの!!
はぁぁぁぁぁああああっっっ!」

マチュチューネチュが気合を込める。すると地球が震撼し始めた。
ゴゴゴゴ…と地震のような音が真昼間のトイレに響く!響く!圧倒的響き……!

「はぃぃあぁぁぁぁぁ↑↑!?」

PON☆

1冊の本が落ちてきた。
「あ…!おいお前、これは……!」

「はぁ……はぁ……これで、お主の願いは叶った……ぐ……がはぁ!!」

エリマキトカゲは吐血し、プルプルしながらガクッと倒れ込む。
もう…意識もないようだ。少し痙攣しているようだが、幸せそうな顔をして眠るように息を引き取った。

「エリマキ…トカゲ…」

まだ痙攣して死んでいるディメンション・マチュチューネチュを、俺は涙を流しつつそいつをつまんでトイレに流した。

ジャぁぁぁ……と、今度は綺麗に流れる音がした。

「ありがとう…俺は、お前を二度と忘れねぇぜ…命と引換に俺の願いなんか叶えてくれてよぉ……!その上、なんだかんだでトイレからも脱出できて、金属パンティーまでとれた。感謝…!圧倒的感謝…!!!

だけど、一つだけ言わせてくれ…。



これ…俺の読みたいやつじゃないのよねぇ…」

オイオイオイ…と、号泣しながら俺のケツについた糞をその本でキレイにとり、その本をビリビリに破いてトイレに流した。ズゴォォゴォっと、また詰まった音がした。

手を洗い、俺は新たな希望を胸にして明日を迎える。
そう。アイツのお陰で…。
「……行くか。本屋に……!」

最新刊をいざ買わんとトイレを出る。
公園では三歳くらいの子供とその母親らしき人が遊んでいた。

はは…俺にもあんな時代があったっけ…

すぅっと息を深く吸い込む。そして思い思いに叫ぶ。
「おい!糞ガキ!!!」

ビクッとしてその親子が俺を見る。

冷静になってちょっと恥ずかしくなった俺は頬を染めつつ、その子供の耳元でこう囁いた。
「親がいるって……幸せだぜ?」

「?…まぁ幸せだけど??」
子供は警戒しつつ答える。

ふっ…そうか…幸せなんだな。

「辛いこともこれからあるかもしれない。トイレにはまったり、ある日突然パンツが鉄製になっていたり。」

「人生大変なのね……」
子供の親が涙を1粒ホロリと流す。

「でも、一つだけ断言出来ることがある。そう、幸せならOKですってね。」

涙を流しながら俺は走って公園を後にした。
アイツの渡してくれた本……いつか読んでみようかとも思ったあの本。だけど正直こんな本よりラノベのほうが何万倍もいいやと思って読む気なんてゼロだったあの本。

アイツからもらった、その本の名は、

『我輩は猫である』(著作 夏目漱石)だった___


序章・俺のおちんちんミステリー
END

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