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第1章
第6話
しおりを挟む「では、レヴィアお嬢様。そろそろ移動をいたしましょう。」
メッフィはそう言って指を鳴らすと、一本の木の根本がうねうねと動き穴が開いていく。そこから大きくて黒い八本足の馬が一頭飛び出てくる。
「キャリッジはここにあるのを使いましょう。」
メッフィが倒れている馬車の客室部分を片手でひょいと持ち上げると八本足の馬へと放り投げる。すると馬から漆黒の影が伸び、客車を受け止めると、客車を影が包み込むと少しだけ全体のディティールが不気味になった馬車が出来上がった。
「この馬はスレイプニルといいます。これに乗って王都へ帰りますよ。」
「えっ?王都にかえるの?」
「もちろんです。そうしなければ復讐なんて出来ないでしょう? 因みにこれからはリディアお嬢様と呼ばせていただきます。」
「リディア?」
「はい。海を挟んで遠く離れた大国アストラディア帝国のリディア・サンクレール侯爵令嬢として生活して頂きます。」
「わたくしは? レヴィアはどうなるのですか?」
「賊に襲撃され命を落とした事にします。死体などは私の魔法で擬装致します。」
「そう。自分を死んだ事にするなんて初めてだわ。なんだか少し寂しいわね。」
メッフィはリディア達を馬車へと案内しながら説明をつづける。
馬車に乗り込んだリディアは椅子に座ってみて感嘆の声をあげる。
「わぁ!? なんだか以前よりも乗り心地が良いわよ?」
「魔界の馬車仕様にしてありますから。 それから、王都に着いたら宿を取りますので少々お待ち下さい。住居などの手配をしてまいりますので。」
「わかったわ。そういった細かいことはメッフィに任せたわ。」
客車に最後にメッフィが乗ると、スレイプニルの馬車は静かに走り始めた。
「あれっ? ココが居ないわ! もしかして置いて来た?」
「お嬢様、お嬢様! ここに、ここに居ますわ!!」
「あらっ? いつの間に?? なんかすごーく影薄くなってない?」
侍女のココは幽霊になった事で存在感がかなり希薄になってしまっていた。
「リディアお嬢様、学園にはアストラディア帝国からの留学生として通っていただく事に致します。」
「なるほど、そこで王太子と桃色頭に近づくわけね。それでわたくしの美しさで王太子の気を引き、桃色頭と別れさせるのね。 その後ボコボコにして、なんやかんやあって廃嫡まで持っていくのね?」
「いえ、その学園には私も護衛兼侍従として入学致します。そこでリディアお嬢様が私とイチャイチャして王太子の嫉妬を煽ります。」
「えっ? イチャイチャするの?」
「そうすると嫉妬に狂った王太子が問題を起こすはずなので、そこを返り討ちにします。そして最後なんやかんやあって、王太子は魚のエサになります。」
「最後こわぁ!?」
「そこでお願いなのですが、一緒に入学するにあたって私の見た目が幼いので、もう少しだけ身体を成長させてもよろしいでしょうか?」
「あー、確かに。少しだけよ?少しだけ。」
「ありがとうございます。」
メッフィはお礼を述べると少しだけ身体を成長させた。
「それにしても、この馬車ちょっと不気味すぎじゃない?入り口の警備兵に捕まるわよ?」
「御心配には及びません。幻術で見た目は普通の馬車になっています。それとクロードは顔が知られてる可能性があるのでこの仮面を着けてください。」
そうしてメッフィは金属製の仮面をクロードに渡す。
クロードは仮面を受け取ると早速着けてみる。
クロードが仮面を着けると突然仮面から管の様なものが何本も飛び出してきて、クロードの顔にくらいつく。
「ぐがぁぁぁあぁぁ!!!?」
「言い忘れましたが、その仮面は呪われていて一度装備すると2度と離れません。装備者の命を吸い上げる代わりに身体能力がとっても上がるそうです。不死者には丁度いいかなと思いまして。」
「ちょっと!? 大丈夫?クロード?」
「はわわっ!? 痛そうですぅ……」
痛みで悶絶しているクロードを放置してメッフィはキャリッジの窓から外を覗く。
スレイプニルはとても速く、とても静かに走っている。
車窓から見える景色はとても速く流れていく。それを見ながら、この分だと大分早くに王都に着きそうだなと、メッフィはぼんやりと考えていた。
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