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終章
16節 首の無い送迎馬車
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出口に辿り着くと、鬱蒼と茂っていた森の樹々も途切れ、拓けた空間が広がっていた。そこから先に見える土の地面には、所々に巨石が鎮座している。アライアンス付近の荒野と似た様子だった。
「――お待ちしておりました、アレニエ様、リュイス様」
その出口に、薄紫の短い髪に角を生やした女性の魔族が立ち、私とアレニエさんに向けて深々と頭を下げていた。
その姿にも声にも憶えがある。しばらく前に遭遇し、命懸けで戦いを繰り広げたばかりの相手だ。雷の魔将、『紫電』のルニア。
彼女の背後には、一台の巨大な馬車が待機していた。
立派な体格の馬(通常の馬と違い、鬣が燃えるようになびいていた)の二頭立てで、御者台で彼らの手綱を引いているのは、大柄な体躯に甲冑を纏った騎士だった。
――ただし、その身体には本来あるべきものが……首から上が、無かった。代わりにその首からは、緑色の炎が噴き上がっている。
「(……デュラハン?)」
話には聞いたことがあるが、見るのは初めてだ。騎士の亡霊とも、悪しき妖精とも言われる、首無し騎士の魔物。彼(?)は片手で手綱を、もう片方の手で兜を被った自身の頭部を抱えていた。
よく見れば馬車も通常の造りではなかった。車輪の中心には太い針が取り付けられており、元は戦車であることが窺える。その上にキャリッジを乗せて、客人が乗れるようにしているみたいだ。
「しばらくぶりでございますね、お嬢様方。変わらずご健勝のようでなによりです。魔王様の居城に向かうのでしょう? どうぞ、こちらにお乗りください」
ルニアは出会った時から変わらない過剰な丁寧語で私たちを馬車へと招く。それに疑問の声を差し挟んだのはアレニエさんだった。
「えーと……聞きたいことは色々あるんだけど……まず」
「はい?」
「――その格好は、何?」
そう問われたルニアの衣服は、白と黒を基調としたエプロンドレスに、足元まで覆うロングスカート。そして頭には髪を押さえるホワイトブリムを被っており、一言で言い表せば、その姿はまるで……
「メイドの装束ですが、何か問題がありましたでしょうか?」
そう、メイド。あるいは傍仕えや使用人。呼び方は様々あるけれど、とにかくそういった職種の制服だった。王都の上層で暮らしていると目にする機会が多いので、私にとっては見慣れた服装なのだけど、それを魔将が着ていることにこの上ない違和感を覚える。
それはアレニエさんも同じだったようで(下層で暮らしている彼女はあまり見る機会はないかと思ったが、存在は知っていたのだろう)、怪訝そうにルニアに問いかける。
「いや、問題っていうか……なんでそんなの着てるの?」
「私が魔王様の傍仕えだからですが」
「……魔将じゃないの?」
「実は兼業でして」
「兼業ってあなた」
アレニエさんが少し呆れたように声を漏らすも、ルニアは全く動じずに口を開く。
「私は元々、魔王様の身の回りをお世話するために最初期に生み出された魔族です。初めの頃は本当にそれだけだったのですが……勇者様方との戦いで魔将の席に欠員が出るたびに、私が補充要因として駆り出される事態となりまして」
「……そのうちに、その席から降りられなくなった?」
「有り体に言えば、そういうことですね。イフ様のように何度も復帰される方もおりますが、中には神剣に討ち取られ蘇られなくなった方などもおりまして、なかなか席が埋まらないのが現状です。できれば私も、本来の業務に戻りたいところなのですが」
「……魔将もいろいろ大変なんだねぇ」
アレニエさんがどこかしみじみと呟く。
ひょっとして、ルニアが他の魔将に侮られていたり、常に低姿勢だったりするのは、その出自が理由……? いや、被虐趣味のほうが問題なのかもだけど。
「さて、こんな場所で立ち話もなんですし、続きは馬車の中でといたしましょう。どうぞ、アレニエ様、リュイス様」
再び、馬車へ乗るよう促すルニア。アレニエさんは一度、私と顔を見合わせ、しばし悩んだ後……
「じゃあ、折角だし乗せてもらおうかな」
こんな形で騙し討ちはしないと判断したのか。アレニエさんの先導で、私たちはデュラハンの御者が引く禍々しい馬車に乗り込むことに…………え、本当に乗るんですか?
――――
馬車の乗り心地は意外にも快適だった。しっかりとクッションが効いているらしく、整備されていない悪路だというのに思ったよりも振動は少ない。
とはいえ、完全に衝撃を吸収できるわけはなく、時折ガタゴトと揺れながら、デュラハン馬車は魔物の領土を疾走していく。
その馬車の中で、私は緊張と警戒で身を固くしていた。
「そんなに警戒されなくとも、手を出したりはいたしませんよ。まだ先日の一件で消耗したままですから」
「……」
そう言われても、簡単に気を許せない。
魔物が引く馬車(馬や馬車自体もデュラハンの一部という説もある)に乗るだけでも気後れするのに、その車内に魔将も同乗しているのだ。その身には、やはり膨大な魔力を纏わせている。消耗していると言われても、はいそうですかと警戒を解けるわけがない。
そんな中、私と違いリラックスした様子で窓の外を見ていたアレニエさんが、ぽつりと呟いた。
「なんでわたしたちの居場所が分かったの?」
それは私も気になっていた。誰にも行き先を告げず旅をしていたのに、まるで待ち構えるように彼女は森の出口に立っていた。
「数日前、わずかにですがアレニエ様の『死の匂い』が届きましたので、失礼ながらそれを辿って参りました」
「あぁ……なるほど」
彼女――雷の魔将ルニアは、悪神から、『他者の死の匂いを感じ取る』という加護を授かっているらしい。それによって居場所を突き止めたということは……神剣による傷が、致命傷だった、ということ……? すぐに治癒しなければ危なかったのだと改めて宣告された気がして、ぞっとする。
「でも、その後わたしたちが魔王の城に向かうなんて、どうやって知ったの? 誰にも言った憶えはないんだけど」
「魔物の領土に侵入する人間――あぁ、アレニエ様は半魔ですが――の行き先は、概ね一つに絞られますから」
「……それもそうか」
未だ完成しない世界地図を作成することを求めて、魔物領に足を踏み入れる冒険者もいるらしいが、それほど数は多くないとも聞いている。
それに、彼らがどうして地図を求めるかと言えば――純粋な意欲という場合もあるが――、その多くは魔王の居城までの道のりを書き記し、ギルドや勇者一行に売りつけるのが目的だという。つまりルニアが言う通り、最終的な目的地は概ね魔王の城になる。私たちもそうだと推測を立てるのは、そうおかしなことでもない。
「いや、待って。どうやって突き止めたのかは分かったけど、どうして探してたのかが分からないよ。わたしたちに用でもあったの?」
「実を言うとそうなのです」
「え……ほんとにそうなの?」
「はい。先日、城に帰還した際に事の次第を報告したところ、魔王様はお二人、特にアレニエ様に大変興味を抱かれたご様子で」
「何してくれちゃってるの」
ルニアに食って掛かるアレニエさん。それはそうだろう。魔王に目をつけられるなんて、どんな厄介事に巻き込まれるか分からない。
「申し訳ありません。魔王様は、私が外に出た際には土産話を好まれるものでして、つい」
「ついじゃないよもー。しかも、そのためにわざわざ魔将を使い走りにして呼びつけたの? なんなら自分から来ればいいのに」
「えーと……そっちのほうが問題な気がするんですが……」
「まぁ、そうだよね。そうなったら大騒ぎに――」
と、不意にアレニエさんが、神妙な表情で疑問を口にする。
「……大騒ぎになるし、きっと記録にも残るよね。でも……そんな話、聞いたことない」
「え? ……あ」
「城で待ち構えて勇者と戦う話はよく聞くのにね。なんでかな?」
「……言われてみれば……」
私も頭に疑問符を浮かべながら相槌を打つ。確かに、魔王が城の外に出たという話は、私も耳にしたことがない。記録を目にしたこともない。
なんとはなしに、この場の視線がルニアに集まる。が、彼女はただ薄く微笑むだけだった。
「どうぞ、その疑問は魔王様に直接お訊ねください。きっと、喜んでお答えになってくださいますよ」
つまり、今答える気はないということだろう。
アレニエさんは少しの間ルニアの顔を眺めていたが、すぐに気を取り直したように息を吐く。
「ま、いいか。話のタネになりそうだしね。後の楽しみにとっておくよ。なんせ、折角の魔王と会話する機会、だからね。普通なら勇者一行しかできないことだもんね」
「……そう、なんですよね。私たち、今から本当に魔王に会いに行くんですよね……」
その事実が、今さらのように急速に実感を伴ってきた。さっきまでの警戒や緊張とは違う種類の動悸が、胸を打ち始める。
「そういえば、お二人が城へ向かっているのは察していましたが、なぜ目指しているかは、まだ伺っておりませんでしたね。お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あー、まぁ、言ってもいいか。今さらそんなことで止めようとはしてこないだろうしね。わたしたちは――」
***
「……その代わり、約束してください、アレニエさん。決して無茶はしないと。無事に生きて、帰ってくると」
「うん。約束する。必ずリュイスちゃんのところに帰ってくるよ。……それはそれとして、もう一つ思いついたことがあるんだけど」
「はいはい。もうなんでも言ってください」
「ありがと。それじゃ、一つ提案なんだけど、二人して崖から落ちた後には、そのまま北上して魔物の領土に入ってみない?」
「? それは、どうして……?」
「うん。アルムちゃんが魔王を倒すための最後の念押しに……――――」
「…………は!?」
***
「わたしたちは――魔王に、ケンカを売りに来たの」
アレニエさんがいつもの柔らかな、けれど不敵な笑みを浮かべながら発したその宣言に、魔王に仕える立場の雷の魔将は……
「……ほほう?」
目の前で笑うアレニエさんに引きずられるように、彼女もその顔に笑みを浮かべるのだった。
「――お待ちしておりました、アレニエ様、リュイス様」
その出口に、薄紫の短い髪に角を生やした女性の魔族が立ち、私とアレニエさんに向けて深々と頭を下げていた。
その姿にも声にも憶えがある。しばらく前に遭遇し、命懸けで戦いを繰り広げたばかりの相手だ。雷の魔将、『紫電』のルニア。
彼女の背後には、一台の巨大な馬車が待機していた。
立派な体格の馬(通常の馬と違い、鬣が燃えるようになびいていた)の二頭立てで、御者台で彼らの手綱を引いているのは、大柄な体躯に甲冑を纏った騎士だった。
――ただし、その身体には本来あるべきものが……首から上が、無かった。代わりにその首からは、緑色の炎が噴き上がっている。
「(……デュラハン?)」
話には聞いたことがあるが、見るのは初めてだ。騎士の亡霊とも、悪しき妖精とも言われる、首無し騎士の魔物。彼(?)は片手で手綱を、もう片方の手で兜を被った自身の頭部を抱えていた。
よく見れば馬車も通常の造りではなかった。車輪の中心には太い針が取り付けられており、元は戦車であることが窺える。その上にキャリッジを乗せて、客人が乗れるようにしているみたいだ。
「しばらくぶりでございますね、お嬢様方。変わらずご健勝のようでなによりです。魔王様の居城に向かうのでしょう? どうぞ、こちらにお乗りください」
ルニアは出会った時から変わらない過剰な丁寧語で私たちを馬車へと招く。それに疑問の声を差し挟んだのはアレニエさんだった。
「えーと……聞きたいことは色々あるんだけど……まず」
「はい?」
「――その格好は、何?」
そう問われたルニアの衣服は、白と黒を基調としたエプロンドレスに、足元まで覆うロングスカート。そして頭には髪を押さえるホワイトブリムを被っており、一言で言い表せば、その姿はまるで……
「メイドの装束ですが、何か問題がありましたでしょうか?」
そう、メイド。あるいは傍仕えや使用人。呼び方は様々あるけれど、とにかくそういった職種の制服だった。王都の上層で暮らしていると目にする機会が多いので、私にとっては見慣れた服装なのだけど、それを魔将が着ていることにこの上ない違和感を覚える。
それはアレニエさんも同じだったようで(下層で暮らしている彼女はあまり見る機会はないかと思ったが、存在は知っていたのだろう)、怪訝そうにルニアに問いかける。
「いや、問題っていうか……なんでそんなの着てるの?」
「私が魔王様の傍仕えだからですが」
「……魔将じゃないの?」
「実は兼業でして」
「兼業ってあなた」
アレニエさんが少し呆れたように声を漏らすも、ルニアは全く動じずに口を開く。
「私は元々、魔王様の身の回りをお世話するために最初期に生み出された魔族です。初めの頃は本当にそれだけだったのですが……勇者様方との戦いで魔将の席に欠員が出るたびに、私が補充要因として駆り出される事態となりまして」
「……そのうちに、その席から降りられなくなった?」
「有り体に言えば、そういうことですね。イフ様のように何度も復帰される方もおりますが、中には神剣に討ち取られ蘇られなくなった方などもおりまして、なかなか席が埋まらないのが現状です。できれば私も、本来の業務に戻りたいところなのですが」
「……魔将もいろいろ大変なんだねぇ」
アレニエさんがどこかしみじみと呟く。
ひょっとして、ルニアが他の魔将に侮られていたり、常に低姿勢だったりするのは、その出自が理由……? いや、被虐趣味のほうが問題なのかもだけど。
「さて、こんな場所で立ち話もなんですし、続きは馬車の中でといたしましょう。どうぞ、アレニエ様、リュイス様」
再び、馬車へ乗るよう促すルニア。アレニエさんは一度、私と顔を見合わせ、しばし悩んだ後……
「じゃあ、折角だし乗せてもらおうかな」
こんな形で騙し討ちはしないと判断したのか。アレニエさんの先導で、私たちはデュラハンの御者が引く禍々しい馬車に乗り込むことに…………え、本当に乗るんですか?
――――
馬車の乗り心地は意外にも快適だった。しっかりとクッションが効いているらしく、整備されていない悪路だというのに思ったよりも振動は少ない。
とはいえ、完全に衝撃を吸収できるわけはなく、時折ガタゴトと揺れながら、デュラハン馬車は魔物の領土を疾走していく。
その馬車の中で、私は緊張と警戒で身を固くしていた。
「そんなに警戒されなくとも、手を出したりはいたしませんよ。まだ先日の一件で消耗したままですから」
「……」
そう言われても、簡単に気を許せない。
魔物が引く馬車(馬や馬車自体もデュラハンの一部という説もある)に乗るだけでも気後れするのに、その車内に魔将も同乗しているのだ。その身には、やはり膨大な魔力を纏わせている。消耗していると言われても、はいそうですかと警戒を解けるわけがない。
そんな中、私と違いリラックスした様子で窓の外を見ていたアレニエさんが、ぽつりと呟いた。
「なんでわたしたちの居場所が分かったの?」
それは私も気になっていた。誰にも行き先を告げず旅をしていたのに、まるで待ち構えるように彼女は森の出口に立っていた。
「数日前、わずかにですがアレニエ様の『死の匂い』が届きましたので、失礼ながらそれを辿って参りました」
「あぁ……なるほど」
彼女――雷の魔将ルニアは、悪神から、『他者の死の匂いを感じ取る』という加護を授かっているらしい。それによって居場所を突き止めたということは……神剣による傷が、致命傷だった、ということ……? すぐに治癒しなければ危なかったのだと改めて宣告された気がして、ぞっとする。
「でも、その後わたしたちが魔王の城に向かうなんて、どうやって知ったの? 誰にも言った憶えはないんだけど」
「魔物の領土に侵入する人間――あぁ、アレニエ様は半魔ですが――の行き先は、概ね一つに絞られますから」
「……それもそうか」
未だ完成しない世界地図を作成することを求めて、魔物領に足を踏み入れる冒険者もいるらしいが、それほど数は多くないとも聞いている。
それに、彼らがどうして地図を求めるかと言えば――純粋な意欲という場合もあるが――、その多くは魔王の居城までの道のりを書き記し、ギルドや勇者一行に売りつけるのが目的だという。つまりルニアが言う通り、最終的な目的地は概ね魔王の城になる。私たちもそうだと推測を立てるのは、そうおかしなことでもない。
「いや、待って。どうやって突き止めたのかは分かったけど、どうして探してたのかが分からないよ。わたしたちに用でもあったの?」
「実を言うとそうなのです」
「え……ほんとにそうなの?」
「はい。先日、城に帰還した際に事の次第を報告したところ、魔王様はお二人、特にアレニエ様に大変興味を抱かれたご様子で」
「何してくれちゃってるの」
ルニアに食って掛かるアレニエさん。それはそうだろう。魔王に目をつけられるなんて、どんな厄介事に巻き込まれるか分からない。
「申し訳ありません。魔王様は、私が外に出た際には土産話を好まれるものでして、つい」
「ついじゃないよもー。しかも、そのためにわざわざ魔将を使い走りにして呼びつけたの? なんなら自分から来ればいいのに」
「えーと……そっちのほうが問題な気がするんですが……」
「まぁ、そうだよね。そうなったら大騒ぎに――」
と、不意にアレニエさんが、神妙な表情で疑問を口にする。
「……大騒ぎになるし、きっと記録にも残るよね。でも……そんな話、聞いたことない」
「え? ……あ」
「城で待ち構えて勇者と戦う話はよく聞くのにね。なんでかな?」
「……言われてみれば……」
私も頭に疑問符を浮かべながら相槌を打つ。確かに、魔王が城の外に出たという話は、私も耳にしたことがない。記録を目にしたこともない。
なんとはなしに、この場の視線がルニアに集まる。が、彼女はただ薄く微笑むだけだった。
「どうぞ、その疑問は魔王様に直接お訊ねください。きっと、喜んでお答えになってくださいますよ」
つまり、今答える気はないということだろう。
アレニエさんは少しの間ルニアの顔を眺めていたが、すぐに気を取り直したように息を吐く。
「ま、いいか。話のタネになりそうだしね。後の楽しみにとっておくよ。なんせ、折角の魔王と会話する機会、だからね。普通なら勇者一行しかできないことだもんね」
「……そう、なんですよね。私たち、今から本当に魔王に会いに行くんですよね……」
その事実が、今さらのように急速に実感を伴ってきた。さっきまでの警戒や緊張とは違う種類の動悸が、胸を打ち始める。
「そういえば、お二人が城へ向かっているのは察していましたが、なぜ目指しているかは、まだ伺っておりませんでしたね。お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あー、まぁ、言ってもいいか。今さらそんなことで止めようとはしてこないだろうしね。わたしたちは――」
***
「……その代わり、約束してください、アレニエさん。決して無茶はしないと。無事に生きて、帰ってくると」
「うん。約束する。必ずリュイスちゃんのところに帰ってくるよ。……それはそれとして、もう一つ思いついたことがあるんだけど」
「はいはい。もうなんでも言ってください」
「ありがと。それじゃ、一つ提案なんだけど、二人して崖から落ちた後には、そのまま北上して魔物の領土に入ってみない?」
「? それは、どうして……?」
「うん。アルムちゃんが魔王を倒すための最後の念押しに……――――」
「…………は!?」
***
「わたしたちは――魔王に、ケンカを売りに来たの」
アレニエさんがいつもの柔らかな、けれど不敵な笑みを浮かべながら発したその宣言に、魔王に仕える立場の雷の魔将は……
「……ほほう?」
目の前で笑うアレニエさんに引きずられるように、彼女もその顔に笑みを浮かべるのだった。
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