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第1回「なろうの総合ランキングからパクれ!」
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ここは早稲田西高校、1年4組の教室。
放課後は「ウェブ小説研究会」が活動を行っている現場である。
部員はたったの二人だけ。アスカとカレン。幼稚園からずっと一緒の幼馴染だ。
今、二人とも深刻な悩みを抱えていた。それは自作の小説を誰も読んでくれないということだった。
「ああ、読まれたい! なのに、誰も読んでくれない! こんなに辛いことってある?」
「あるよ。ボロネーゼのソースが制服に飛んだり」
「それは瞬間最大風速が辛いだけでしょ! 私の、いいえ、私とカレンの苦しみは、もっと深いところにある。書いた小説を誰も読んでくれないってこと!」
「現実とはいえ、改めて言葉として認識すると、悲しいものがあるね」
活動場所はいつも窓際のアスカの席。カレンはその前の席を借りて、一つの机を共有して話し合っている。
二人はいつも一緒にいる時は創作をしない。
こうして校内で話をして、その時の成果を家に持ち帰って小説にするのだ。
ともあれ、彼女たちの営みを見てみようではないか。
「そこで、私は考えた。読んでもらうために大切なこと、これは独学でやるよりも盗んでしまえばいいんじゃないかと。パブロ・ピカソだって同じようなこと言ってたみたいだし」
「『良い芸術家は盗む』とは言ったみたいだけど」
正しくは「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」と言ったらしい。
「というわけで、ランキング上位作品を積極的にパクろうと思うわけであります!」
「なるほど。ウェブ小説という牙城を切り崩すには有効な手段かもね」
それを指して「パクる」と言い切ってしまうのは危険じゃないか、アスカくん。
「じゃあ、『小説家になろう』のランキングを見てみよう。やっぱり気になるのはハイファンタジーだけど、先に総合を見る」
「1位から5位まで全部ハイファンタジー」
「はい、配慮の必要ありませんでしたぁー! どいつもこいつもハイ、ハイ、ハイ! 騎士としての誇りはないのか!」
アスカはロマサガが好きだったらしい。
「でも、5作品とも色合いが違う感じがして面白いね」
「わかった。じゃあ、1位から見ていこう。外れスキル『予報』が進化したら神級スキル『言ったら実現』って凶悪すぎるんですけど」
「役に立たないスキルだと思っていたのが、実はとんでもない神スキルに化けるっていう展開は、最近の流行かもね。これは大いに学ぶところがあるんじゃないかな」
ある種のビルドゥングスロマンの一種ではあるかもしれない。
しかし、自己成長小説とも訳されるそれと対比すると、より主人公の願望が実現しやすくなっている傾向はあると言えるだろう。
「貧乳も極めればその道に通じた人にウケる、みたいな?」
それは違うだろう。
「ロリコンにモテるだけだと思うよ」
「一度くらいはモテてぇよ! ロリコン相手でも!」
「地道に働く系主人公がチートスキルを手に入れたらどうなるか。そのあたりの落差も受け入れられている秘訣かもね」
「そうかぁ。やっぱり『コツコツ頑張ってたら報われる』っていうのは大きな贈り物に感じられるかも」
「でも、大多数の人ってコツコツ頑張るより、パーッと大当たりを引き当てたいと思うもんじゃない? だから、宝くじって売れてるんでしょ」
「一億人もいるんだもの。堅実派がいれば、大穴派もいるってことね」
人間の数だけ「好き」がある。
しかし、その「好き」をどれだけ直近で集められるかで、作品の評価は変わる。
ことほど左様に、ランキングというものはそんな残酷な現実を見せてくれる場なのである。
放課後は「ウェブ小説研究会」が活動を行っている現場である。
部員はたったの二人だけ。アスカとカレン。幼稚園からずっと一緒の幼馴染だ。
今、二人とも深刻な悩みを抱えていた。それは自作の小説を誰も読んでくれないということだった。
「ああ、読まれたい! なのに、誰も読んでくれない! こんなに辛いことってある?」
「あるよ。ボロネーゼのソースが制服に飛んだり」
「それは瞬間最大風速が辛いだけでしょ! 私の、いいえ、私とカレンの苦しみは、もっと深いところにある。書いた小説を誰も読んでくれないってこと!」
「現実とはいえ、改めて言葉として認識すると、悲しいものがあるね」
活動場所はいつも窓際のアスカの席。カレンはその前の席を借りて、一つの机を共有して話し合っている。
二人はいつも一緒にいる時は創作をしない。
こうして校内で話をして、その時の成果を家に持ち帰って小説にするのだ。
ともあれ、彼女たちの営みを見てみようではないか。
「そこで、私は考えた。読んでもらうために大切なこと、これは独学でやるよりも盗んでしまえばいいんじゃないかと。パブロ・ピカソだって同じようなこと言ってたみたいだし」
「『良い芸術家は盗む』とは言ったみたいだけど」
正しくは「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」と言ったらしい。
「というわけで、ランキング上位作品を積極的にパクろうと思うわけであります!」
「なるほど。ウェブ小説という牙城を切り崩すには有効な手段かもね」
それを指して「パクる」と言い切ってしまうのは危険じゃないか、アスカくん。
「じゃあ、『小説家になろう』のランキングを見てみよう。やっぱり気になるのはハイファンタジーだけど、先に総合を見る」
「1位から5位まで全部ハイファンタジー」
「はい、配慮の必要ありませんでしたぁー! どいつもこいつもハイ、ハイ、ハイ! 騎士としての誇りはないのか!」
アスカはロマサガが好きだったらしい。
「でも、5作品とも色合いが違う感じがして面白いね」
「わかった。じゃあ、1位から見ていこう。外れスキル『予報』が進化したら神級スキル『言ったら実現』って凶悪すぎるんですけど」
「役に立たないスキルだと思っていたのが、実はとんでもない神スキルに化けるっていう展開は、最近の流行かもね。これは大いに学ぶところがあるんじゃないかな」
ある種のビルドゥングスロマンの一種ではあるかもしれない。
しかし、自己成長小説とも訳されるそれと対比すると、より主人公の願望が実現しやすくなっている傾向はあると言えるだろう。
「貧乳も極めればその道に通じた人にウケる、みたいな?」
それは違うだろう。
「ロリコンにモテるだけだと思うよ」
「一度くらいはモテてぇよ! ロリコン相手でも!」
「地道に働く系主人公がチートスキルを手に入れたらどうなるか。そのあたりの落差も受け入れられている秘訣かもね」
「そうかぁ。やっぱり『コツコツ頑張ってたら報われる』っていうのは大きな贈り物に感じられるかも」
「でも、大多数の人ってコツコツ頑張るより、パーッと大当たりを引き当てたいと思うもんじゃない? だから、宝くじって売れてるんでしょ」
「一億人もいるんだもの。堅実派がいれば、大穴派もいるってことね」
人間の数だけ「好き」がある。
しかし、その「好き」をどれだけ直近で集められるかで、作品の評価は変わる。
ことほど左様に、ランキングというものはそんな残酷な現実を見せてくれる場なのである。
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