パクって、売れたい!

真里谷

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第2回「宮廷料理人は呪いの装備の夢を見るか?」

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「じゃあ、次は……」
「あれ、中は読まないの?」
「ふー、カレンさんや。中を読んでパクっちゃったら、それって全パクリじゃない。さすがにダメだよ、そういうのは。表層だけいただいて、中身は私たち仕様に仕上げる。これでこそ、先行者を超えられる」

 つまり、おいしいとこ取りである。
 メリットはズルして楽していただきであり、デメリットは先行者がキレる。

「何だかF1の車体にファミリーカーのエンジンを積むようなことにもなりそうだけど」
「というわけで、ガンガン見ていって、ランキング上位に入るエッセンスを取り入れていこう!」
「おー」

 やる気がないようである、これがカレンの真骨頂である。

「というわけで、第2位。クビになった宮廷料理人のぶらり旅」
「タイトルから受ける印象は、やっぱり追放モノって感じだね」
「作者の名前が破壊力高いよ。破滅さんだって」
「オンライン文芸誌に破滅派っていうのがあるけど、そことは関係ないのかしら」
「なろうとは全く合わない気がするけどなぁ」

 純文学傾向も強く持っている文芸誌なので、小説家になろうとは大きく色合いが異なると言えるだろう。

「あらすじを見る感じ、無能な上司に首にされた主人公が、美少女たちに囲まれながらウッハウハって展開みたい」
「元々勤めていた宮廷はひどい目に遭うみたいだから、ざまぁなポイントを押さえているのも大きいね。でも、私、このざまぁって感情、あんまり好きになれないんだよなぁ。ちょっと人として醜すぎない? なんで自分を追い出したようなやつらと同じ精神レベルに落ちてるの? って感じちゃって、なんか違う気がする」

 ふー、と額に手をやるカレン。

「だから、底辺なろう作家から脱却できないのよ」
「お・ま・え・も・な!」

 アスカもいちいち指を突きつけてやり返す。
 誠に残念なことに、二人ともブックマークが50件にもいかない底辺作家である。

「ざまぁって思えるくらいに人の心を動かしているというくらいだから、見事な感動を与えているというべきね。じゃなきゃ、狙いは見事に空振って、感想欄には罵詈雑言があふれ、評価は1:1の宝庫になるでしょ」
「1:1でも評価ほしー。ブクマもほしー」

 アスカがジタバタと手足を動かした。駄々っ子か。
 とはいえ、なろうにおけるブックマークおよび評価は、非常に重要である。
 何しろ、上に行かないと光が当たらず、光が当たらないから誰も読みに来てくれない。
 この悪循環が続くわけだから、えらいことである。

「それに見合う作品を書かないとね。3位は、僕の呪いの装備がこんなに可愛いわけがない。 ~装備枠が9999あるおかげでSSSランクの呪いの装備がつけ放題~」
「電撃文庫から殴り込みにきそうなタイトル。でも、それ以上に装備枠9999とSSSランクが目を引く」
「なろうにおけるタイトルの決め方は、ブログ運営におけるSEOの思想が底流しているように感じる。英数字は見た目にも『すごい』ってことがわかるから、やっぱり目を引くもの」

 逆に、堂々と商業ラノベのタイトルをパクったらどうなるのだろう。
 危険球ではあるが、「エロワード先生」や「ラビリンスに出会いを求めるのは間違っているだろうか」などを投げたら、出版社はどんな反応を返すのだろう。
 非常に危険な橋である。

「悪く言えば安っぽく感じちゃうけど、良く言えば安心して読むことができるって感じだもんね。世界一親しまれる文章になるためには避けて通れないのかも。あらすじはちょっと意外だった。強力な呪いの装備しか付けられない代わりに、いっぱい装備枠がある主人公なんだけど……」
「装備フェチ。あ、面白い観点。どういう形でステータスを上げていくのか、興味あるもの。あとは呪いの装備を手に入れるプロセスや、それを手に入れてから他の人たちを蹴散らしていく快感? そういうのが求められてるのかな」

 いいなぁ、とアスカが言った。

「公開して1週間でもうポイントが20000近いってビビンパビビンパ。装備によって人生が決まる世界って最初にドンと一文で説明しているのが強い。こうなると、強い装備を手に入れた方が勝ち、そんなルールが簡単に理解できるもんね」

 理解しやすさは力である。
 わからないよりはわかる方がいいに決まっているのだ。
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