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第15話 しずく色の関係値
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「ところでどうして急に小話を書こうと思ったの? 異世界転生モノに飽きちゃったから? それともやっぱり自分には恋愛小説しかないって気が付いたから?」
「どちらも違いますよ。えと、同じ学校に小説を書いている人がいるのですが、得意ジャンルが純文学系でして。でも大衆小説の分野を書きたがっているんですよ。だけどそれが上手くいってないみたいで。そこで僕がアドバイスみたいなことをしているのですが――」
「おぉ! なんだ弓さん友達居るんじゃん! 流行りの『なんちゃってぼっち』だったか。本物のぼっちの人から反感買うからぼっち気取りはやめた方がいいよ」
『なんちゃってぼっち』ってなんだ。
でも僕と雨宮さんの関係って『友達』であっているのか? 『相談相手』とか『協力者』という言葉の方がしっくり来ているような気がしてならない。
「まぁ、確かに雫さん含めて2人も友達いるんだから『ぼっち』を自称するのは良くないですね」
「友達……友達かぁ」
あ、あれ? なんか微妙に不満げだ。
もしかして友達と思っていたのは僕だけだったり?
「最初は『ビジネスパートナー』って感じだったのに、私たち随分仲良くなれたよね」
「そうですね。雫さんがフレンドリーに接してくれたおかげです」
「毎日のようにお話したりチャットしたりしてたよね」
「はい。完成したイラストを真っ先に見せてくれたり」
「ごほん。弓さん。これはもう【友達以上】の関係と言えるのではないかね?」
「えっ?」
友達以上……っていうと、あれだよな?
男女で友達以上っていうと、あの桃色っぽい感情を互いにぶつけ合うあの関係のことだよな?
えっ? 本当に? 雫さん実は僕のことを――
「こい――」
「――私たち【親友】でいいんじゃないかな!?」
「ですよね! 親友! そう、友達以上って言ったら親友ですよねー!」
あ、あぶねええええ!
先走ってとんでもない勘違いをした言葉を向けてしまうところだった。
「をぉ!? なーんだ。弓さんも私との関係を親友って思ってくれていたんだね」
「いや、そんなことは一言も言っていませんが」
「急に冷静になるな! 嫌なの!? 私と親友関係でいるの嫌なの!?」
「いえ、そんなことはないです! むしろ光栄です! でも僕なんかが親友で雫さんこそ良いのかなーって?」
「どういう意味さ!?」
「いや、こんなにも明るくて、面倒見良くて、人懐っこくて、可愛い声している人なんだから友達もたくさんいるんだろうなーって。そんな中から僕を親友に選んでくれるのが信じられないというか」
「~~っ!! ほ、ほめすぎだよ! ていうか弓さんそんな風に考えていたなんて初耳だよ!」
「まぁ、初めて言いましたからね」
「わ、私、明るい感じ……?」
「はい」
「わ、私……声、可愛い?」
「はい」
「~~~~っ!!」
質問の意図がよくわからないな。
何をいまさらなことを聞いているんだ雫さんは。
「雫さんが明るくて、可愛い声してるなんて自分でわかりきっているでしょうに」
「~~~~~~~~~~~っ!!!」
なんか声にならない悲鳴を上げ続けているな。
もしかして照れているのだろうか?
いや、それはないか。だって雫さんだし。
「きょ、今日は解散!!」
「えぇ!? 随分急ですね」
「解散ったら解散! ま、また明日ね弓さん。アカデミー入学のことも考えておいてね」
雫さんはそれだけ言い残すと早々に僕との通話を切ってしまった。
結局話がそれてしまって、僕がなぜ7000文字小説を書くことになったのか話せてなかったのだけど、良かったのだろうか?
「せっかくだから雨宮さんのことも話しておきたかったのに。まぁいいか」
また明日って言ってくれたし、明日また通話してくれるのだろう。
そうだ、それまでにノヴァアカデミーのことについて調べておかないとな。
それにしても――
「親友かぁ」
頬の緩みが収まらない。
生まれて初めてそう呼んでくれる人が現れた。
雫さんは僕のことを『なんちゃってぼっち』だなんて言っていたが、雨宮さんや雫さんに知り合うまでは本当にひとりぼっちで過ごす孤独な男だったのだ。
友達の作り方を忘れてしまったとかではなく、僕自身が友達を『作ろうとしなかった』ことが問題なのだ。
だからこそありがたい。
雫さんも、雨宮さんもだけど、こんな閉鎖的な人間に好意的に接してくれることが。
同時に抑えきれないほどの嬉しさが僕の全身を巡らせる。
「最近、なんだか毎日が楽しい」
その根本に存在しているのが【小説】という文章の塊だ。
小説があったから雨宮さんとも雫さんとも仲良くなれた。
人と交流するために小説を書いていたわけではもちろんないのだが、結果として小説をきっかけに僕の交流関係は広がりを見せている。
長らく忘れていた【書く】という行為。
再び書き始めたから雨宮さんと知り合うことができて、雫さんとは親友になれた。
それだけじゃない。
休みの日も授業中もそれ以外の時間帯も、僕の頭の中身は小説のことでいっぱいだった。
一度書き始めてしまうと再び止まることなんてできそうにない。
「やっぱりこれだから執筆は止められないなぁ」
これからも小説を突き詰めたい。
もっと極めたい。書き方を覚えたい。面白さを学びたい。
それに小説を通じてもっと交流も広げてみたい。
そう思うようになった僕は、雫さんに教えてもらった『ノヴァアカデミー』のHPに直行し、目を輝かせながら煌びやかな校舎の写真を眺めていたのだった。
「どちらも違いますよ。えと、同じ学校に小説を書いている人がいるのですが、得意ジャンルが純文学系でして。でも大衆小説の分野を書きたがっているんですよ。だけどそれが上手くいってないみたいで。そこで僕がアドバイスみたいなことをしているのですが――」
「おぉ! なんだ弓さん友達居るんじゃん! 流行りの『なんちゃってぼっち』だったか。本物のぼっちの人から反感買うからぼっち気取りはやめた方がいいよ」
『なんちゃってぼっち』ってなんだ。
でも僕と雨宮さんの関係って『友達』であっているのか? 『相談相手』とか『協力者』という言葉の方がしっくり来ているような気がしてならない。
「まぁ、確かに雫さん含めて2人も友達いるんだから『ぼっち』を自称するのは良くないですね」
「友達……友達かぁ」
あ、あれ? なんか微妙に不満げだ。
もしかして友達と思っていたのは僕だけだったり?
「最初は『ビジネスパートナー』って感じだったのに、私たち随分仲良くなれたよね」
「そうですね。雫さんがフレンドリーに接してくれたおかげです」
「毎日のようにお話したりチャットしたりしてたよね」
「はい。完成したイラストを真っ先に見せてくれたり」
「ごほん。弓さん。これはもう【友達以上】の関係と言えるのではないかね?」
「えっ?」
友達以上……っていうと、あれだよな?
男女で友達以上っていうと、あの桃色っぽい感情を互いにぶつけ合うあの関係のことだよな?
えっ? 本当に? 雫さん実は僕のことを――
「こい――」
「――私たち【親友】でいいんじゃないかな!?」
「ですよね! 親友! そう、友達以上って言ったら親友ですよねー!」
あ、あぶねええええ!
先走ってとんでもない勘違いをした言葉を向けてしまうところだった。
「をぉ!? なーんだ。弓さんも私との関係を親友って思ってくれていたんだね」
「いや、そんなことは一言も言っていませんが」
「急に冷静になるな! 嫌なの!? 私と親友関係でいるの嫌なの!?」
「いえ、そんなことはないです! むしろ光栄です! でも僕なんかが親友で雫さんこそ良いのかなーって?」
「どういう意味さ!?」
「いや、こんなにも明るくて、面倒見良くて、人懐っこくて、可愛い声している人なんだから友達もたくさんいるんだろうなーって。そんな中から僕を親友に選んでくれるのが信じられないというか」
「~~っ!! ほ、ほめすぎだよ! ていうか弓さんそんな風に考えていたなんて初耳だよ!」
「まぁ、初めて言いましたからね」
「わ、私、明るい感じ……?」
「はい」
「わ、私……声、可愛い?」
「はい」
「~~~~っ!!」
質問の意図がよくわからないな。
何をいまさらなことを聞いているんだ雫さんは。
「雫さんが明るくて、可愛い声してるなんて自分でわかりきっているでしょうに」
「~~~~~~~~~~~っ!!!」
なんか声にならない悲鳴を上げ続けているな。
もしかして照れているのだろうか?
いや、それはないか。だって雫さんだし。
「きょ、今日は解散!!」
「えぇ!? 随分急ですね」
「解散ったら解散! ま、また明日ね弓さん。アカデミー入学のことも考えておいてね」
雫さんはそれだけ言い残すと早々に僕との通話を切ってしまった。
結局話がそれてしまって、僕がなぜ7000文字小説を書くことになったのか話せてなかったのだけど、良かったのだろうか?
「せっかくだから雨宮さんのことも話しておきたかったのに。まぁいいか」
また明日って言ってくれたし、明日また通話してくれるのだろう。
そうだ、それまでにノヴァアカデミーのことについて調べておかないとな。
それにしても――
「親友かぁ」
頬の緩みが収まらない。
生まれて初めてそう呼んでくれる人が現れた。
雫さんは僕のことを『なんちゃってぼっち』だなんて言っていたが、雨宮さんや雫さんに知り合うまでは本当にひとりぼっちで過ごす孤独な男だったのだ。
友達の作り方を忘れてしまったとかではなく、僕自身が友達を『作ろうとしなかった』ことが問題なのだ。
だからこそありがたい。
雫さんも、雨宮さんもだけど、こんな閉鎖的な人間に好意的に接してくれることが。
同時に抑えきれないほどの嬉しさが僕の全身を巡らせる。
「最近、なんだか毎日が楽しい」
その根本に存在しているのが【小説】という文章の塊だ。
小説があったから雨宮さんとも雫さんとも仲良くなれた。
人と交流するために小説を書いていたわけではもちろんないのだが、結果として小説をきっかけに僕の交流関係は広がりを見せている。
長らく忘れていた【書く】という行為。
再び書き始めたから雨宮さんと知り合うことができて、雫さんとは親友になれた。
それだけじゃない。
休みの日も授業中もそれ以外の時間帯も、僕の頭の中身は小説のことでいっぱいだった。
一度書き始めてしまうと再び止まることなんてできそうにない。
「やっぱりこれだから執筆は止められないなぁ」
これからも小説を突き詰めたい。
もっと極めたい。書き方を覚えたい。面白さを学びたい。
それに小説を通じてもっと交流も広げてみたい。
そう思うようになった僕は、雫さんに教えてもらった『ノヴァアカデミー』のHPに直行し、目を輝かせながら煌びやかな校舎の写真を眺めていたのだった。
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