23 / 50
第2章 海を目指して
第23話 別れの挨拶①
しおりを挟む
「おはよーみんな」
「おうルミツ、おはよう」
「おはよールミツー」
モースたちはロイロさんの宿屋にて朝まで看病をしたという。精霊は寝なくてもいいとはいえ、ありがたいと同時に申し訳ない。
「ごめんね? 私だけ休んじゃって」
「そんな事ないですよ主様。僕たちが敵わなかった相手を追い払っただけでも本当にありがたい限りですから」
「そうだよルミツー! ルミツがいなきゃ今頃どうなっていたことやら……。ふぅっ、怖いねぇ……」
「その事は昨日で済んだんだ。今日からはまた普通の日常だ」
「……うん! そうだね!」
そうだ、いつまでも暗い気持ちに侵されてちゃいけない。
そうして私も看病にある程度参加するのだった。
◇◇◇
約数時間後。日は空の真上まで上り、僅かに汗ばむ気温であった。
「皆さん、今日までありがとうございました」
そうして私たちはセイントスクエアから礼を言われる。
「私たちは急ぎ次の箇所へと行かなければなりません。ですがその為に最善を尽くしました。もうこの村がそれぞれで自治することも可能でしょう」
「そっか、ありがとね。えっと……セイントスクエア」
「……ニリー」
「?」
「私の事はニリーとお呼びください。聖女セイントスクエア改め、ニリー=ウォルフォン。以後お見知りおきを」
「……! ニリー! よろしく!」
「ええ。それで、リア様はどちらに?」
「ああ、リアなら神社に行くって……」
「またあそこですか……。好きですね、ホント。それでは皆さん、お元気で」
「うん! ありがとね、ニリー!」
私は手を振って見送る。それに合わせてニリーも手を振り返してくれた。
「ふぅ、行っちゃったね」
「主様、この1日でまた少し強くなりました?」
「えぇ、そうかなぁ?」
「確かに、ルミツの瞳に更に芯があるように見える。その強さは紛い物ではなさそうだ」
「えぇ?」
よく分からないことを2人から言われる。昨日は模擬戦くらいしかやってないし、そんなに強くなることはないと思うんだけど……?
「それよりー、私たちはこれからどーするの? 私早く海行きたーい!」
「あははっ、そうだね。それじゃあ皆に挨拶してから今日出発しちゃおうか。皆はそれでいいかな?」
そんな提案をしたのだが、否定の声を上げたのはモースであった。
「いや、少しだけ待って欲しい。私はギルドマスターに借りを作ってな。少々返させて欲しい」
「そうなの? あのモースから借りを作るなんて、クリアさんもやり手だね」
「ちょっとした事だ。言うほど大層なことではない」
「ま、挨拶も兼ねて会いに行こっか」
「あぁ。2時間程度ギルドマスターの元に置かさせてくれ」
「わかったー。皆はいいよね?」
「うん、別にいいよー」
「大丈夫です」
「よーし、決まり! それじゃあ最初にクリアさんの所に行こうかな!」
「ああ」
こうして私は別れの挨拶に回るのであった。
◇◇◇
「えっ、ルミツさんもう帰っちまうんですかい!?」
最初にギルドマスターに会いに行こうとギルドへ向かっていると、道中家を貸してくれたあの大男の冒険者と鉢合わせた。
「うん。昨晩は家貸してくれてありがとね。……1部屋だったけど」
「はは、そいつぁすいません。自分はいつも妻と寝てるんで1部屋で充分なんですよ」
「ふーん?」
「そりゃもう毎日抱き合い愛し合」
「はーい黙ってねー」
「ぐへっ!」
冒険者が後ろから誰かに棒で叩かれる。
「あっ、クリアさん」
「やーやールミツちゃん、おはよー」
後ろから冒険者を叩いたのはクリアさんだった。大きなほうきを持っている。
「クリア殿、待たせたな」
「あーそーだったそーだった。じゃあ1時間ちょいくらいモース借りてくけどいいよねー?」
「うん、話はモースから既に聞いてるから」
「分かったわー。それよりみんな今日出発するんだってー? さっき聞こえたわよー」
「あっ、はい。そうなんです」
「寂しくなるわねー。ルミツちゃんには色々助けて貰っちゃった」
「えへへ、まぁ普通のことをしたまでですから」
「あら、頼もしいわぁー」
「それじゃあまた、モースの迎えの時に会いましょ」
「えぇ、そうね。モース、こっちよ」
そしてクリアさんはほうきに乗り、空を飛ぶ。
「!? すごっ……!」
「そうてしょー? 魔道具の空飛ぶほうきよー。それじゃあモース、掴まって」
「ああ」
そしてモースはクリアさんと一緒に空へと飛ぶ。
「それじゃあ1時間くらいしたら帰ってくるわねー」
「悪いなルミツ。行かせてもらう」
「うん、じゃあギルド前集合ねー」
「ああ」
そうして2人はどこかへ飛び去って行った。
「行っちゃった……。モースの用事って何か分かる?」
「知らなーい」
「僕も知らないです」
「そっか。まぁいいか。それよりも、えっと……」
「そういや名乗ってませんでしたね。自分ロッツと言います!!」
「ロッツか。いい名前だね」
「へへ、ありがとうございやす」
「それじゃあ今までありがと、ロッツ」
「ええ、こちらこそ世話になりましたぜ」
そして私たちは握手を交わす。
「兄貴ー! こっち手伝ってくだせぇー!」
「ん? おう!! 悪いな、行かせてもらうわ」
「うん、行ってらっしゃい」
「ええ、皆さん方もお気をつけてください!!」
そう言い残し、ロッツは走り去っていったのであった。
「おうルミツ、おはよう」
「おはよールミツー」
モースたちはロイロさんの宿屋にて朝まで看病をしたという。精霊は寝なくてもいいとはいえ、ありがたいと同時に申し訳ない。
「ごめんね? 私だけ休んじゃって」
「そんな事ないですよ主様。僕たちが敵わなかった相手を追い払っただけでも本当にありがたい限りですから」
「そうだよルミツー! ルミツがいなきゃ今頃どうなっていたことやら……。ふぅっ、怖いねぇ……」
「その事は昨日で済んだんだ。今日からはまた普通の日常だ」
「……うん! そうだね!」
そうだ、いつまでも暗い気持ちに侵されてちゃいけない。
そうして私も看病にある程度参加するのだった。
◇◇◇
約数時間後。日は空の真上まで上り、僅かに汗ばむ気温であった。
「皆さん、今日までありがとうございました」
そうして私たちはセイントスクエアから礼を言われる。
「私たちは急ぎ次の箇所へと行かなければなりません。ですがその為に最善を尽くしました。もうこの村がそれぞれで自治することも可能でしょう」
「そっか、ありがとね。えっと……セイントスクエア」
「……ニリー」
「?」
「私の事はニリーとお呼びください。聖女セイントスクエア改め、ニリー=ウォルフォン。以後お見知りおきを」
「……! ニリー! よろしく!」
「ええ。それで、リア様はどちらに?」
「ああ、リアなら神社に行くって……」
「またあそこですか……。好きですね、ホント。それでは皆さん、お元気で」
「うん! ありがとね、ニリー!」
私は手を振って見送る。それに合わせてニリーも手を振り返してくれた。
「ふぅ、行っちゃったね」
「主様、この1日でまた少し強くなりました?」
「えぇ、そうかなぁ?」
「確かに、ルミツの瞳に更に芯があるように見える。その強さは紛い物ではなさそうだ」
「えぇ?」
よく分からないことを2人から言われる。昨日は模擬戦くらいしかやってないし、そんなに強くなることはないと思うんだけど……?
「それよりー、私たちはこれからどーするの? 私早く海行きたーい!」
「あははっ、そうだね。それじゃあ皆に挨拶してから今日出発しちゃおうか。皆はそれでいいかな?」
そんな提案をしたのだが、否定の声を上げたのはモースであった。
「いや、少しだけ待って欲しい。私はギルドマスターに借りを作ってな。少々返させて欲しい」
「そうなの? あのモースから借りを作るなんて、クリアさんもやり手だね」
「ちょっとした事だ。言うほど大層なことではない」
「ま、挨拶も兼ねて会いに行こっか」
「あぁ。2時間程度ギルドマスターの元に置かさせてくれ」
「わかったー。皆はいいよね?」
「うん、別にいいよー」
「大丈夫です」
「よーし、決まり! それじゃあ最初にクリアさんの所に行こうかな!」
「ああ」
こうして私は別れの挨拶に回るのであった。
◇◇◇
「えっ、ルミツさんもう帰っちまうんですかい!?」
最初にギルドマスターに会いに行こうとギルドへ向かっていると、道中家を貸してくれたあの大男の冒険者と鉢合わせた。
「うん。昨晩は家貸してくれてありがとね。……1部屋だったけど」
「はは、そいつぁすいません。自分はいつも妻と寝てるんで1部屋で充分なんですよ」
「ふーん?」
「そりゃもう毎日抱き合い愛し合」
「はーい黙ってねー」
「ぐへっ!」
冒険者が後ろから誰かに棒で叩かれる。
「あっ、クリアさん」
「やーやールミツちゃん、おはよー」
後ろから冒険者を叩いたのはクリアさんだった。大きなほうきを持っている。
「クリア殿、待たせたな」
「あーそーだったそーだった。じゃあ1時間ちょいくらいモース借りてくけどいいよねー?」
「うん、話はモースから既に聞いてるから」
「分かったわー。それよりみんな今日出発するんだってー? さっき聞こえたわよー」
「あっ、はい。そうなんです」
「寂しくなるわねー。ルミツちゃんには色々助けて貰っちゃった」
「えへへ、まぁ普通のことをしたまでですから」
「あら、頼もしいわぁー」
「それじゃあまた、モースの迎えの時に会いましょ」
「えぇ、そうね。モース、こっちよ」
そしてクリアさんはほうきに乗り、空を飛ぶ。
「!? すごっ……!」
「そうてしょー? 魔道具の空飛ぶほうきよー。それじゃあモース、掴まって」
「ああ」
そしてモースはクリアさんと一緒に空へと飛ぶ。
「それじゃあ1時間くらいしたら帰ってくるわねー」
「悪いなルミツ。行かせてもらう」
「うん、じゃあギルド前集合ねー」
「ああ」
そうして2人はどこかへ飛び去って行った。
「行っちゃった……。モースの用事って何か分かる?」
「知らなーい」
「僕も知らないです」
「そっか。まぁいいか。それよりも、えっと……」
「そういや名乗ってませんでしたね。自分ロッツと言います!!」
「ロッツか。いい名前だね」
「へへ、ありがとうございやす」
「それじゃあ今までありがと、ロッツ」
「ええ、こちらこそ世話になりましたぜ」
そして私たちは握手を交わす。
「兄貴ー! こっち手伝ってくだせぇー!」
「ん? おう!! 悪いな、行かせてもらうわ」
「うん、行ってらっしゃい」
「ええ、皆さん方もお気をつけてください!!」
そう言い残し、ロッツは走り去っていったのであった。
22
あなたにおすすめの小説
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる