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第2章 海を目指して
第47話 広がる大雪原
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「な、なにこれ……!?」
辺り一面に広がる大雪原。雪の1粒1粒から魔力を感じる。ここまで大規模な魔法を使うのか……!?
「八鬼魔眼……流石に人知を超えてるね」
「どーすんの、ルミツ? この中に飛び込むのは格好の的だよ?」
「僕の魔法にも限度があります。ただの雪ならともかく魔法の雪となると、全て溶かしきれないと思います。そもそも僕がいるって知ってるのにこんな魔法を発動したってことは、多分僕より格がかなり高い……」
「とりあえず燃やしちゃえばいいんじゃないかしら~?」
「……まぁ確かにそうか」
火炎魔法『炎獸の園』
私たちの足元から少しずつ雪が溶けてゆく。炎の壁は数メートル、十数メートルまで進んで雪を溶かす。
「意外といけそーじゃない?」
「……いや、ダメだな」
首を傾げたサラマンダーは魔法に手をかざした。
火炎魔法『炎獸の園』解除
「あれ、なんで辞めたの? 順調だったじゃーん」
「この魔法は同心円状に広がる魔法だから、敵さんに、ここの中央に居ますよと親切に教えてるようなものだよ」
「確かに。十中八九私たちを狙ってるだろうから、この魔法は危険だったね。今ので勘づかれた様子もないし、とりあえずこことは別の所で身を隠さないと」
「ああ、同感だ」
「……たしかに」
どうしたものか。
雪原となると敵は魔法の中央部にいるだろうか。
だが雪原内はおそらく全てソイツのテリトリーだ。特攻したところで勝ち目は薄いだろう。それに中央部を探すのもまた体力を使う。いい判断とは言えないか。
「……皆、何か近づいてくる」
「……?」
サラマンダーが雪原の遠くへ指をさす。
暗殺者として、吹雪でも対象を視認できる能力を身につけた私よりもサラマンダーの方が索敵能力は優れているようだ。
その方向を私は凝視する。
僅かに見える、何者かの影。それは単体ではなく、複数に及んでいた。
「……確かに、何か来てるね」
少しずつ……ではない。その影は物凄いスピードでこちらへと近づいてくる。
私はそれを遂に視認する。
……なんだあれ?
手足の生えた3段の雪だるまだ。
「雪だるま……?」
ラグマラサの言った通りだ。あれは魔法だろう。やはり相手は八鬼魔眼だ。
「みんな気をつけて。来るよ」
そのうち一体の雪だるまがさらに加速し、私たちと距離を詰めてきた。
「……!」
速い──!
2m程あるその巨体からは想像できない程の速度で私たちの前に立ちはだかった……!
スキル『山椒竜の息吹』
「主様には手は出させないよ」
サラマンダーの魔法によって雪だるまは消え去った。
「気持ち悪いなぁ……!」
確かにすごく気持ち悪かった。人間のような雪だるまが笑顔のまま走ってくるのは正に狂気。
……? だが少し違和感。こんな簡単に溶けるのか? たとえサラマンダーの炎だとしても、相手は八鬼魔眼。こんな簡単に……
雪魔法『氷雪雁字搦樹』
「ぐっ……!」
「サラマンダー!!」
突如として現れた雪と氷の樹によって、サラマンダーは磔のように拘束された。
「大丈夫!?」
「なんの……これしき……!」
スキル『山椒竜の鉤爪』
「き、効かない……!」
「どうやら魔力制限が課せられるみたいだな」
「サラマンダー、少しでいいから炎出して」
シルフがサラマンダーに炎を求めた。
「……? うん」
サラマンダーの指先から漏れ出すようにして出てくる炎をシルフは竜巻で絡めとった。
「よし、いくよ」
風魔法『 風塵旋風・火炎付属』
熱を帯びた風の竜巻が氷樹を融解させてゆく……!
「おぉ」
「ちょぴっとコツはいるけど、余裕で溶かせるよ、このくらい」
「よし、このくらい溶けたらいける……!」
スキル『山椒竜の鉤爪』
氷樹はサラマンダーのスキルによってバラバラになり、脱出に成功する。
「くっ、ここまで精密に1人を捕らえる魔法、たとえ奴らといえど近くにいるはず……!」
だがしかし……
「少しずつ、雪だるまが距離を詰めてきてるね……」
「……まずいな。おそらく今のはトラップ用の個体だ。おそらく他の個体はさらに強さを増すだろう」
「一体一体倒すのは面倒、それに雪原の影響を受けていないこのダンジョンからあまり離れたくないな……」
そんな事を考えていると、遠くの方で爆発音がした。
「……?」
「爆発?」
「新手か……?」
「いや、違います……。この気配は……」
サラマンダーは耳を立て、感覚を集中させている。私も音のした方をよく見てみる。
……もしかして、
「群れの中央はここらでありますなぁぁぁぁ!!」
ドカァァァン!!
ズガドォォォォン!!
バァァァァン!!
次々と巻き起こる爆発、その中から聞こえる、1人の人の声。
その声はどんどんと近づいて来ており、私はその姿を視認した。
「大丈夫でありますかぁ!! 王国公式警察部隊副隊長ことウサミ=グリフォア=クウラエンター、援軍に参りましたぁ!!」
それは、近頃出会った者の姿であった。
「クウラ!」
「なっ、あの時の御一行の!」
こうして私たちは吹雪の雪原の中、クウラと合流するのであった。
辺り一面に広がる大雪原。雪の1粒1粒から魔力を感じる。ここまで大規模な魔法を使うのか……!?
「八鬼魔眼……流石に人知を超えてるね」
「どーすんの、ルミツ? この中に飛び込むのは格好の的だよ?」
「僕の魔法にも限度があります。ただの雪ならともかく魔法の雪となると、全て溶かしきれないと思います。そもそも僕がいるって知ってるのにこんな魔法を発動したってことは、多分僕より格がかなり高い……」
「とりあえず燃やしちゃえばいいんじゃないかしら~?」
「……まぁ確かにそうか」
火炎魔法『炎獸の園』
私たちの足元から少しずつ雪が溶けてゆく。炎の壁は数メートル、十数メートルまで進んで雪を溶かす。
「意外といけそーじゃない?」
「……いや、ダメだな」
首を傾げたサラマンダーは魔法に手をかざした。
火炎魔法『炎獸の園』解除
「あれ、なんで辞めたの? 順調だったじゃーん」
「この魔法は同心円状に広がる魔法だから、敵さんに、ここの中央に居ますよと親切に教えてるようなものだよ」
「確かに。十中八九私たちを狙ってるだろうから、この魔法は危険だったね。今ので勘づかれた様子もないし、とりあえずこことは別の所で身を隠さないと」
「ああ、同感だ」
「……たしかに」
どうしたものか。
雪原となると敵は魔法の中央部にいるだろうか。
だが雪原内はおそらく全てソイツのテリトリーだ。特攻したところで勝ち目は薄いだろう。それに中央部を探すのもまた体力を使う。いい判断とは言えないか。
「……皆、何か近づいてくる」
「……?」
サラマンダーが雪原の遠くへ指をさす。
暗殺者として、吹雪でも対象を視認できる能力を身につけた私よりもサラマンダーの方が索敵能力は優れているようだ。
その方向を私は凝視する。
僅かに見える、何者かの影。それは単体ではなく、複数に及んでいた。
「……確かに、何か来てるね」
少しずつ……ではない。その影は物凄いスピードでこちらへと近づいてくる。
私はそれを遂に視認する。
……なんだあれ?
手足の生えた3段の雪だるまだ。
「雪だるま……?」
ラグマラサの言った通りだ。あれは魔法だろう。やはり相手は八鬼魔眼だ。
「みんな気をつけて。来るよ」
そのうち一体の雪だるまがさらに加速し、私たちと距離を詰めてきた。
「……!」
速い──!
2m程あるその巨体からは想像できない程の速度で私たちの前に立ちはだかった……!
スキル『山椒竜の息吹』
「主様には手は出させないよ」
サラマンダーの魔法によって雪だるまは消え去った。
「気持ち悪いなぁ……!」
確かにすごく気持ち悪かった。人間のような雪だるまが笑顔のまま走ってくるのは正に狂気。
……? だが少し違和感。こんな簡単に溶けるのか? たとえサラマンダーの炎だとしても、相手は八鬼魔眼。こんな簡単に……
雪魔法『氷雪雁字搦樹』
「ぐっ……!」
「サラマンダー!!」
突如として現れた雪と氷の樹によって、サラマンダーは磔のように拘束された。
「大丈夫!?」
「なんの……これしき……!」
スキル『山椒竜の鉤爪』
「き、効かない……!」
「どうやら魔力制限が課せられるみたいだな」
「サラマンダー、少しでいいから炎出して」
シルフがサラマンダーに炎を求めた。
「……? うん」
サラマンダーの指先から漏れ出すようにして出てくる炎をシルフは竜巻で絡めとった。
「よし、いくよ」
風魔法『 風塵旋風・火炎付属』
熱を帯びた風の竜巻が氷樹を融解させてゆく……!
「おぉ」
「ちょぴっとコツはいるけど、余裕で溶かせるよ、このくらい」
「よし、このくらい溶けたらいける……!」
スキル『山椒竜の鉤爪』
氷樹はサラマンダーのスキルによってバラバラになり、脱出に成功する。
「くっ、ここまで精密に1人を捕らえる魔法、たとえ奴らといえど近くにいるはず……!」
だがしかし……
「少しずつ、雪だるまが距離を詰めてきてるね……」
「……まずいな。おそらく今のはトラップ用の個体だ。おそらく他の個体はさらに強さを増すだろう」
「一体一体倒すのは面倒、それに雪原の影響を受けていないこのダンジョンからあまり離れたくないな……」
そんな事を考えていると、遠くの方で爆発音がした。
「……?」
「爆発?」
「新手か……?」
「いや、違います……。この気配は……」
サラマンダーは耳を立て、感覚を集中させている。私も音のした方をよく見てみる。
……もしかして、
「群れの中央はここらでありますなぁぁぁぁ!!」
ドカァァァン!!
ズガドォォォォン!!
バァァァァン!!
次々と巻き起こる爆発、その中から聞こえる、1人の人の声。
その声はどんどんと近づいて来ており、私はその姿を視認した。
「大丈夫でありますかぁ!! 王国公式警察部隊副隊長ことウサミ=グリフォア=クウラエンター、援軍に参りましたぁ!!」
それは、近頃出会った者の姿であった。
「クウラ!」
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