暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜

赤海 梓

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第2章 海を目指して

第49話 不可解な雪だるま

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「なっ、これって……」

 目の前に広がっていたのは、ありえないほどの吹雪。ただの吹雪なんかではない。私ですら前が見えないほどの、最早壁と言えるほどの密度。

 吹雪が更に強くなった……? でも私たちは地下にいたのだから強くしたところで意味は無いだろう。
 一体なんの目的が……?

 その瞬間、吹雪の中から雪だるまが現れ、サラマンダーに殴り掛かる……!

「……!」

「サラマンダー!」


 火炎魔法『交差する獄炎クロスバーニング


 サラマンダーの魔法によって、雪だるまはバラバラになった。

「……この個体、手応えが硬い……?」

 先程雪だるまを燃やしたからこそ分かるのだろう。先程の個体よりも硬いようだ。

「気味が悪い」

 そうしてサラマンダーは洞窟の外へとその残骸を蹴り飛ばした。


 ──すると、その雪だるまは即座に再生した。


「えっ……!?」


 そしてまた雪だるまはサラマンダーに殴りかかった。


「ッ──!」


 そのパンチを腕で受けたサラマンダー、だがしかし体格の差が顕著に表れ、こちらまで吹き飛ばされた。


「っ……、すみません主様、油断しました」

「大丈夫、私が行く」


 例え小さな姿だったとしても、サラマンダーを飛ばすのはかなりのパワーが必要なはずだ。
 量産型がこれ程の力を持っているとなると、どれほどの実力なのか、正直計り知れない。
 だけど今はとにかく、コイツを追い払わなきゃね。


 私は1歩、また1歩と歩み寄る。雪だるまもまた、私の歩調と同じようにノシノシと近づいてくる。

 正面から向かってくるなんて上等じゃん……?


 先に仕掛けてきたのは雪だるまであった。サラマンダーの時と同じように、ただ殴りかかってくる攻撃。

 私は掌でそれを受け流す。
 そして空いた腹部に拳を入れ込む。

 ……確かに硬い。砂利の混ざった氷の塊みたいだ。……でも、


「壊せないこともないかな」


 そのまま腹部を貫通。衝撃波が構成できないほどにその身体をバラバラにさせる。


「所詮量産型ならこの程度か……」


 だが問題はこの後だ。再生すればかなりマズイ事になる。雪原内にいた全ての雪だるまが破壊しても意味がないとなれば、戦況は地獄だ。

 ……だがしかし、その雪だるまが再生することはなかった。


「……1回限りの復活って事なのかな……?」


 私はそんな考察をする。だがそれなら再生能力など持たせず、残りの魔力でもう数体は作れるはずだ。そんな無駄なこと、私ならしない。


「特定の条件下で……か」


 私はさっきのサラマンダーのように、雪を蹴飛ばす。だがしかしこれといった反応はない。


「やっぱり1回限りなのかな……?」


 でも敵の考える事が全て分かれば苦労はしない。1回限りの再生、という考察も絶対に間違いという訳でもない。
 だが、どうしても少し引っかかった。何か重要なヒントが隠されている気がする。


「ルミツ、大丈夫ー!?」

「あ、うん! 大丈夫だよー!」


 もどかしい気持ちを抑え、私は皆の元へと戻る。


「うぅ……なんか僕だけやられてしまい、申し訳ないです……」

「まあまあ、炎属性のサラマンダーが前衛になるのは必然なんだから、気にしないで。それよりもこれからを考えないと」

 この雪原を抜けるにはやはり八鬼魔眼を討伐しないといけないのだろうか。
 クウラもいるし、勝算はゼロじゃない。だけど、あまりに不確実だ。リスクを負った勝負はできるだけ避けたいと思う。

「……」

 あの雪だるまも再生する気配は無い。
 そもそも第3の魔眼トロワ・オイユが何処にいるのかすらわからないこの状況、作戦を立てようにも情報が少なすぎる。

 ……おびき寄せるか。



 ◇◇◇

「……だから、私は情報偵察に行ってくる」

「あぁ、気をつけて行ってきてくれ」

 そうして私はダンジョンを出た。
 あまりにも敵の情報が少ない今、ダンジョンに籠っていては劣勢が続くだけ。

「自分も外へ行くのであります! ダンジョン組は大人しく待機するのでありますよ!」

 クウラもまた、私に着いてきてもらう。
 彼女の実力は本物だろうが、未だ充分信頼に足るとは思っていない。私の傍に置いておきたかった。

「それじゃ、作戦開始」

 こうして私とクウラはダンジョンを出て、二人で走り去のであった。
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