追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-

晴本吉陽

文字の大きさ
29 / 98
第1部 星霊隊結成

第6話(3)星霊隊の仕事

しおりを挟む
同じ頃 桜丸病院内 病室
 安藤の放送が流れると病室の前で待機していた四葉は、星霊隊のメンバーたちを集合させるため、病室に入る。病室の中には雪奈と咲来がおり、2人はベッドに横たわる老婆と話していた。

「霜山さん、風音さん」

 四葉が2人に声を掛けると、雪奈と咲来はすぐに四葉の方に向く。四葉はすぐに話し始めた。

「おそらく、『星霊隊』にもこの後何かしらの指示が出ると思います。いつでも動けるように集合をお願いします」

 四葉が言うと、一瞬雪奈の表情がなくなる。しかし、雪奈はすぐに明るく返事をすると、ベッドの老婆に話しかけた。

「…わかりました!おばあさま、雪奈、行かなければならなくて…」

「いいのよぉ。気をつけるんだよ?雪奈はいい子だから、他人のことばかり気にしちゃうだろうけど、自分自身も大切にするんだよぉ?」

「はい!雪奈、頑張ります!」

「咲来ちゃんもねぇ。雪奈、ちょっと頑張りすぎちゃうから、見ててあげてねぇ」

「はいぃい!裏に表に隅々までなんなりとぉ!」

 咲来が大袈裟な返事をすると、老婆は四葉に気がつく。四葉は小さく会釈をした。

「すみません、お話し中なのに…」

「いいんですよぉ。私たちを守ってくださるんでしょう?助けてくれる人に文句なんて言えません。どうか、私の孫と、お友達の咲来ちゃんと、ここの皆さんをよろしくお願いしますね」

「…はい!」

 老婆に言われると、四葉は姿勢を正して返事をする。老婆はそんな四葉に微笑んだ。
 そうしていると、病室の扉が開き、璃子と麗奈が入ってくる。その背後には、日菜子のほか星霊隊のメンバーたち全員が立っていた。

「今から皆さんを搬送します。落ち着いて指示に従ってください。『星霊隊』の皆さんは、あちらの患者さんを。くれぐれも激しく動かさないように」

「わかりました!」

 璃子の指示に従って日菜子は他のメンバーたちを率いながら指示された患者の方へと動き出す。そうして四葉たちとも合流すると、キャスターのついたベッドごと、患者たちを病室の外へと搬送し始めた。



その頃 桜丸大学 悪魔軍拠点
 病院に潜伏させている悪魔軍のスパイから送られてきた映像と音声を見聞きした、悪魔軍の指揮官、ラウムは電話の受話器を取り、自分の部下たちに命令していた。

「そうだ。全兵力を裏門に集中させろ。人間は皆殺しだ。『やつ』に病院の電源を落とさせ、コーキと人間を分断する。私も裏門に向かう。作戦を始めろ」

 ラウムは指示を出し終えると受話器を置き机に立てかけていた軍刀と拳銃を腰に差した。

「弱者は死ぬのみ。弱いのが悪いのだ」

 ラウムはひと言そう呟くと、自らの体を一度黒い煙に変えるのだった。


9:00 桜丸病院地下駐車場
 日菜子たち星霊隊のメンバーたちは、ベッドに載った患者たちとともにエレベーターで地下駐車場にやってきた。
 エレベーターが到着するなり、弥生がライフルを構えて駐車場の中を警戒して偵察する。敵がいないことを確認した弥生がハンドシグナルを送ると、エレベーターの中にいた璃子を先頭に、日菜子たちがベッドを押してエレベーターから患者を出した。

「あまり良くはないのだけど、あそこにトラックが見えるでしょう?あれを使って患者を安全なところまで運ぶわ」

「了解です!」

 璃子が目の前に見えるトラックを指差しながら言うと、日菜子たちは患者たちの載ったベッドを押しながら返事をする。璃子は1人先にトラックの荷台まで走ると、その中にあった板を斜めがけし、スロープを作った。

「さ」

 璃子の誘導に従い、先頭にいた日菜子が急造のスロープを上らせるようにベッドを押す。日菜子は力一杯にベッドを押すが、人の重さとベッドの重さもあり、かなり手間取っていた。

「くっ…!」

「貸して」

 日菜子が手間取っていると、璃子がベッドの逆側を片手で軽々と引っ張り、ベッドを荷台の中に引き上げる。璃子の腕力の強さに、日菜子は思わず目を丸くした。

「次!」

 璃子は全く気にせず、荷台の中でベッドを整列させると、晴夏が下から両手で押してきたベッドと患者も、同じように片手で引き上げた。

「…もしかして璃子さんって、ものすごい怪力?」

「いや、もしかしないね。間違いない」

 日菜子と晴夏は、璃子の腕力の強さに、小声でやり取りする。
 そんな時、突然地下駐車場の電気が消え、辺りは暗くなった。

「!?」

「敵襲ー!」

 弥生の声が地下駐車場内にこだますると、銃声とギターの音が聞こえてくる。日菜子がすぐに表情を鋭くしていると、四葉が日菜子に声をかけた。

「患者さんたちは私と狭間さんが引き受けます!桜井さん!」

「わかった!晴夏!明宵!雪奈!一緒に来て!」

 日菜子は四葉の言葉を受けると、仲間たちの名前を呼びながら、弥生たちのいる方角へと走っていくのだった。

 その頃、弥生と咲来は、地下駐車場の出口であるスロープの近くで悪魔たちがやってくるのを目撃すると、それぞれ自分の武器であるライフルやギターで応戦していた。

「ひいい!敵が多すぎますですよぉ!!」

 咲来が弱音を吐く通り、咲来がつむじ風で敵を3体ほど吹き飛ばしても、次の瞬間には10体以上が奥から湧いて出てくる。弥生は近くにいた悪魔の眉間を銃撃で貫くと、咲来に声をかけた。

「ここの道塞げない!?さっきの竜巻みたいなやつで!」

「無理ですぅう!!あれ魔力が暴走してたからできただけなんですよぉ!!無能でごめんなさああい!!」

「うーんそっかぁ」

 弥生は咲来の言葉を聞きながら、やってくる悪魔に銃撃を浴びせて倒していく。しかし、数で勝る悪魔たちは、犠牲を気にせず弥生と咲来のもとに近づいてくると棍棒を振り上げた。

「シネェエエエヤァ!!」

(やば、間に合わない!)

 弥生は自分に向けられたその攻撃を回避できないことを悟った。

「オッラァ!!」

 その瞬間、弥生の背後から青白い電撃が走ってきたかと思うと、弥生を殴ろうとしていた悪魔が黒い煙に変わる。弥生が見ると、そこには悪魔を殴り抜けた晴夏の姿があった。

「あ、晴夏ちゃん!」

「へへ、オレだけじゃねぇぜ」

 晴夏がそう言ってアゴを動かすと、その方角からは日菜子、明宵、雪奈が走ってきていた。

「雪奈!入口を塞いで!」

「了解しました!『フリーレン』!!」

 走ってきた日菜子が雪奈に指示を出すと、雪奈は持っていたステッキで地面を突く。その瞬間、氷の蔦が地面を走っていったかと思うと、次の瞬間にはスロープの出入り口まで伸びていき、そこを通ろうとしていた悪魔ごと氷漬けにするようにして分厚い氷の壁が出来上がった。

「ナ、ナニィ!!?」

 分厚い氷の壁の内側に残された悪魔たちは激しく動揺する。数こそ多いものの、その悪魔たちは完全に浮き足立っていた。

「よし、みんな、やっちゃえ!!」

 日菜子が声を掛けると、それに呼応するようにその場にいたメンバーたちは動き出す。動揺して抵抗できない悪魔たちに、日菜子たちは自分たちそれぞれの武器で襲いかかるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

【完結】魔王を殺された黒竜は勇者を許さない

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
幼い竜は何もかも奪われた。勇者を名乗る人族に、ただ一人の肉親である父を殺される。慈しみ大切にしてくれた魔王も……すべてを奪われた黒竜は次の魔王となった。神の名づけにより力を得た彼は、魔族を従えて人間への復讐を始める。奪われた痛みを乗り越えるために。 だが、人族にも魔族を攻撃した理由があった。滅ぼされた村や町、殺された家族、奪われる数多の命。復讐は連鎖する。 互いの譲れない正義と復讐がぶつかり合う世界で、神は何を望み、幼竜に力と名を与えたのか。復讐を終えるとき、ガブリエルは何を思うだろうか。 ハッピーエンド 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/03/02……完結 2023/12/21……エブリスタ、トレンド#ファンタジー 1位 2023/12/20……アルファポリス、男性向けHOT 20位 2023/12/19……連載開始

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

処理中です...