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プロローグ
勇者
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不気味なほどに静かな夜だった。
勇者一行は1日を無事に終えられたことに感謝し、見張りの僧侶を残して眠りにつく。
崇高な使命に沸き立っていた心はここ数日の旅路ですっかり落ち着いたようで、眠れるかなどという心配は無に等しかった。
明日からもやはり、こんな日々は続くのだろう。
勇者に抜擢されてから早数週間。
絵物語のような格好いい勇者の旅とは違い、ひたすらに地道に魔物を倒す日々。
途方もない道のりの夢半ばで倒れた前勇者達。
現実はあまりにも残酷で、理にかなっていた。
そんなことを考えていたら、いつの間に眠りについていたのだろうか。
そろそろ見張りを交代しなければ…と思った時、静かな森に、見張りの僧侶の悲鳴が響き渡った。
魔物か、野生動物か、はたまた魔族か。
襲撃というものは当たり前に初めてではない彼らだが、先程の見張りの僧侶の叫び声は心を掻き乱すのには十分だったようだ。
暗闇の中慌てふためき、互いの足を踏み、どこにいるか分からぬ敵に怯える。
「お、落ち着け…!」
なんとか張り上げた自分の声は震えていて、情けないにも程がある、という感じだ。
その間にも恐怖に押し潰された仲間達の断末魔が響いてくる。
ここから逃げてしまいたい。
しかし自分は勇者であり、このパーティーのリーダーなのだ。
剣を抜き、小さく魔法を詠唱する。
辺りが明るくなった時――勇者は絶望した。
温かいはずの灯りが見せたのは、愚かな姿を嘲笑うかのように仲間達を消していく悪魔の――魔族の姿だった。
その視線がこちらへ向いた時、疑問ばかりが浮かんだ。
あぁ、何故だろうか。
自分は優れた勇者で、皆に期待されているのに。
何故だろうか。
今まで誠実に生きてきたのに。
何故だろう、何故だろう、と自分に問いかけるたびに魔族が迫る。
不思議と心の中は恐怖ばかりではなかった。
美しい女の魔族は笑んでいた。
その姿はあまりに残酷で、この瞳が最期に映すにはあまりに美しかった。
勇者一行は1日を無事に終えられたことに感謝し、見張りの僧侶を残して眠りにつく。
崇高な使命に沸き立っていた心はここ数日の旅路ですっかり落ち着いたようで、眠れるかなどという心配は無に等しかった。
明日からもやはり、こんな日々は続くのだろう。
勇者に抜擢されてから早数週間。
絵物語のような格好いい勇者の旅とは違い、ひたすらに地道に魔物を倒す日々。
途方もない道のりの夢半ばで倒れた前勇者達。
現実はあまりにも残酷で、理にかなっていた。
そんなことを考えていたら、いつの間に眠りについていたのだろうか。
そろそろ見張りを交代しなければ…と思った時、静かな森に、見張りの僧侶の悲鳴が響き渡った。
魔物か、野生動物か、はたまた魔族か。
襲撃というものは当たり前に初めてではない彼らだが、先程の見張りの僧侶の叫び声は心を掻き乱すのには十分だったようだ。
暗闇の中慌てふためき、互いの足を踏み、どこにいるか分からぬ敵に怯える。
「お、落ち着け…!」
なんとか張り上げた自分の声は震えていて、情けないにも程がある、という感じだ。
その間にも恐怖に押し潰された仲間達の断末魔が響いてくる。
ここから逃げてしまいたい。
しかし自分は勇者であり、このパーティーのリーダーなのだ。
剣を抜き、小さく魔法を詠唱する。
辺りが明るくなった時――勇者は絶望した。
温かいはずの灯りが見せたのは、愚かな姿を嘲笑うかのように仲間達を消していく悪魔の――魔族の姿だった。
その視線がこちらへ向いた時、疑問ばかりが浮かんだ。
あぁ、何故だろうか。
自分は優れた勇者で、皆に期待されているのに。
何故だろうか。
今まで誠実に生きてきたのに。
何故だろう、何故だろう、と自分に問いかけるたびに魔族が迫る。
不思議と心の中は恐怖ばかりではなかった。
美しい女の魔族は笑んでいた。
その姿はあまりに残酷で、この瞳が最期に映すにはあまりに美しかった。
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