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「ミズキ!おかえり!」

昨日より大きくなったノアが部屋の扉を開けた瞬間抱き付いてきた。あぁ、昨日は小さくてかわいかったのに今はあたしのほうがすっぽり。

「ただいま」
「ほらノアール、いつまでも扉を開けていると彼らがいますから早く閉めますよ」
「はい」
「では、そちらの方々は本日歩くだけのお勤め御苦労。報告することがあればどうぞ貴方達の上官へ。私達は本日はもう部屋からでませんから」

うっわー相変わらず容赦ないのね。歩くだけのお勤めとか…一応迫りくるヤバいやつ防いでくれたりしたよ?

「すみません、異世界の花嫁様にこれだけは」

執事の彼が上着の内側から取り出したのは

「手紙…?」
「返事は求めていないです。ただ読んでいただきたいと」
「誰から?」
「ミシェル様から…」

ジョエルは不愉快そうな顔をしていたけど、折角書いた手紙を返されるのもかわいそうだから受け取る。

「どうせそちらの近衛も預かってきているのでしょ?それぐらいわかりますよ。早くミズキに渡したらどうです?ミズキは私と違って優しいですから受け取らない、読まないなんてことはないですよ。渡したら早く報告にでも行ってください」

近衛の人からも預かって扉が閉まった。

「あたしまだヒナのやつすら読んでない…」
「あれは分厚いですから徐々に読んでいけばいいんですよ。その2通は読んでみたらいいんじゃないですか?」

昨日のサロンの大きいソファーに腰かけて読もうとするけど開け方がわからない

「ジョエル、」
「あぁ、開け方がわからないんですか?ペーパーナイフであけてあげますよ」

サロンの奥の執務室に取りに行ってくれた

「ミズキ、おかえり」
「うん、ただいま」

隣に座って甘えてくるノアがかわいい、大きくなってイケメンになったけど。ちゅーするかと思って目とじたら一向に唇が重ならない

「ノア?」
「今日はジョエル様の日だから我慢する。明日またいっぱいしよう、ね?」
「え?日替わり?」
「ううん、まだ話はしてないけどジョエル様はお忙しい方だしどうなるかわかんない。でも昨日は僕に譲ってくれたから。今日はジョエル様の日」
「1日に1人としかちゅーもしちゃダメなの?」
「ちがうちがう!僕が遠慮してるの…止まらなくなる自信があるから…だから今日はこれから魔術研究所に行くつもり。早くミズキと念話できるようにしなくちゃならないから」
「遠慮なんてしなくていいんですよ。二人とも夫なのですから。ほらミズキ、ペーパーナイフ持ってきましたから開けてあげますよ」

2通の手紙の封をあけてもらって読む。内容は謝罪と会いたい、話をしたいということだった。古代文字じゃなくても読めるわ。そこに感動してしまった。
あたしが読んでいる間ノアとジョエルは昼食の用意をしてくれていたみたいだ。ノアはまた出るからもう食べてる

「なにか変なことでも書いてありましたか?」
「ううん、鍵壊して鞄あけたことの謝罪と下着並べた謝罪。あとは会って話がしたいだって。昨日はあたしも怒ってごめんなさいすら聞かなかったからあたしも悪いよね」
「怒って当然の事を彼らはしたのですから、ミズキは悪くありませんよ。その手紙にもミズキを責めるようなことはなかったのでしょう?」
「うん…」
「じゃあ!行ってきます!」

すごい勢いでランチを済ませたノアがまた消えた

「朝も気になったんだけど…ノア消えた?」
「転移が使えますからね彼は。私も使えますけど彼ほどどこへでもはできません」
「へぇーすごーい」

手紙のことを話していたけどノアが消えたことのほうがびっくりだ。魔術すごいな。

「それよりも手紙…返事いらないって言ってたけどそうはいかないよね」
「書かなくていいんじゃないですか?そもそも首謀者は殿下でしょう?彼からは謝罪もなにもないのですから」
「それなら尚更残りの二人には書かなきゃいけないんじゃないの?」
「そんなに彼らと接点を持ちたいですか?」

なぜか顔が怒ってるジョエルにソファーに押し倒された。え?

「どうしたの?」
「そんなにあの二人が気になりますか?ミシェルの顔?ロランの体躯の良さ?」
「いや、そもそも全然顔みてないから覚えてないっんっ!!」

また激しいキス。あたし昨日もだけどこのソファーでは噛みつくようなキスしかされてない気がする
スカートはたくしあげられてまた指がはいってくる

「手紙読んで濡れたんですか?」
「ちがうってば」
「じゃあなんで?」
「…ジョエルがちゅーしてくれたから」

わざとらしく音をたてながら膣内を指で探られる。一番声が出たところを重点的に責められ、先程の熱も冷めない体はすぐにイってしまう

「おもらしまでしてしまったんですか?」
「ちがうもん…」
「わかってますよ。気持ちよかったんでしょう?」

ジョエルは思ったより嫉妬深くていじわるだ。

「ここはミズキのおもらして濡れてますから、私の膝の上にどうぞ」
「だからおもらしじゃないもん!潮ふいちゃっただけだもん。しかもジョエルのせい!」
「ふふっ本当にかわいいですね。続きがしたいんですが食事をしないとメゾンの人間が来ますから…こちらから呼んだのに、セックスしてるから帰れとは言えませんよ」

手はちゃんとおしぼり?で拭いてた。拭かなかったら引いてた。あたしのスカートもまたあの浄化的なのですぐ乾かしてくれたんだと思う。ソファーはそのままってのがジョエルの趣味なのだろう。いやらしい。

ランチはワンプレートに色んな種類が乗ってるやつだった。美味しい幸せ。なぜか膝の上に横抱きにされて食べさせられてるけど。

「次は?」
「その緑の豆のハムみたいなやつ」
「モルタデッラですね。ピスタチオなので豆ではなくナッツですよ」

ピスタチオって豆じゃないのか。そのことにびっくりしたけど、ハムもおいしかった。ランチなのにドリンクはシャンパンだったので大満足。グラスを持って口をあければ食べ物は入ってくるし、グラスが空けばすぐ注いでくれる。なんて幸せな時間なんだろう

「結婚式はどうします?」
「うーん、そうだなーこじんまりやりたいかも。盛大にはしなくていいや」

ランチは食べ終わっているので二人でグラスを傾けながら話をする。結婚式の話らしい。

「場所は?希望はありますか?どんな場所でも用意してみせますが」
「お庭キレイだったしガーデンウエディングかな?アーチみたいなのあって、噴水?池?みたいなとこの横で立食パーティー。花と緑に囲まれて真っ白なドレスで花嫁さんやりたいねー」
「ではミズキの希望通りにしますよ。ドレスは白ですね」
「ウエディングドレスと言えば白だよ白!ボールガウンだっけ?ウエストからわっさーって広がるやつ」
「まぁそこはデザイナーと相談ですね。今日のメゾンに頼んでもいいですし、別のメゾンやデザイナーにも作ってもらってそこで一番気に入ったところにウエディングドレスは仕立ててもらいましょう」
「ブーケもどうしようか?あれすっごい重いから投げるとか正気の沙汰じゃないよ。終わったらドライフラワーにして飾るのがいいな。この国に女の子の知り合いもいないし」
「ブーケトスではなくドライフラワーに?」
「そうだよ!でも自分で気に入ったお花でやるんだし人にあげるの勿体ないからドライフラワーにして取っておきたい。いつ見ても結婚式のこと思い出せるでしょ?」

ほんとは和装もやりたかったけどここでは叶わなさそう。色打掛着てみたかったー。前撮りだけでもいいから。いつか日本に帰れたら絶対和装にする。帰れるのかな?

「ジョエルは?結婚式どうしたいとか希望あるの?」
「…考えたことがありませんでしたね」
「えー、ドレスはこーゆーの着てほしいとか教会がいいとかレストランがいいとか海がいいとか」
「結婚には縁がないと思っていましたからね。万が一できたとしても他の夫たちともうまくやれる気もしなかったですし」
「ノアは?ギスギスしてないじゃん」
「お互いに結婚に縁がなく国に生涯を捧げるつもりでしたからね。ミズキに見初められたことが何よりの幸せですから」

横抱きにされたまま左手をとられて薬指にキスされる

「ミズキの誕生石はサファイアでしたね。カラーサファイアは色々ありますし、私達の色のサファイアを内側に嵌めるのもいいですね。外側ですとしつこくなりそうですし」
「そーゆー理想はあるのね。なんか嬉しい」

キスして笑って結婚式の話して。あーもう幸せ。ずっとこんなかんじだったらいいのに。

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