別れたい女と別れたくない男

そいみるくてぃー

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ぶっちゃけ顔も見たくない。

「はぁ~?今日飲みかよ、まぁいいけど」

視界の端にいるのは彼氏、うん、まだ彼氏。今日は夕ごはん一緒に食べに行く予定だったのに自分の友達と飲みに行くらしい。はぁ?

『今日行けなくなった』

ごめんもねーのかよこのくそ野郎。
通知に出てきたこのメッセにいらっとして通知すらつけなかった。
聞こえてるのわかってるから連絡してきただけでしょ?無断とかドタキャンじゃないだけましか

「あれ彼氏じゃん」
「あー、そんなやつもいたかもね」
「なに?別れた?倦怠期?」
「どっちでもないからウケるの。まぁ潮時ではあるね。あー恋したーい」
「学生のうちだよねー、恋愛めっちゃ楽しいの」
「そうそう。ドキドキしたいんだよ。アプリとかやろうかな」

ぶっちゃけたまにヤるだけな男友達はいなくもない。そいつとカレカノは嫌だし、彼氏もなんかもう秒読みっぽいし、必要なのは新しい恋だ。

「ねぇどのアプリがいい?」
「SNS使えば?サブ垢作ればいいじゃん」
「出会い用?めんどくさー」
「出会いってなに?」

大学のカフェテリア、しかも彼氏が意外と近くにいたのに話す内容ではなかったかも。まぁいつまで彼氏かも微妙だしちょうどいいかも

「新しい出会いほしいなーって話。りっくんに関係なくない?」
「はぁ?出会い用のアカ作ろうとしてる彼女に関係ないとか言われる筋合いねーんだけど」
「りっくん友達と喋ってたじゃん。なんでこっち来たの?今日の約束もなくなったんだから関係ないじゃん」
「なんでそんな喧嘩腰なわけ?いみわかんねー」

こっちのほうが意味わかんないんですけど

「愛されてんじゃん」

りっくんがいなくなったあと友達に言われたけれどすぐに現実をみせてあげた。

「はぁ?あれみてみ?りっくん周り女多すぎ。狙ってるのバレバレ。ほら、こっち睨んでるやつもいるし」
「わかりやすー。あの女の顔、写真に撮って送れば?すっごい面白いんだけど」
「あれで私が悪いってりっくんに言ってるらしいよ。あの女の言うことは聞いて、私のことは聞かないからちょー悪者扱いされてんの」
「そりゃイヤにもなるわなー。高校から付き合ってるんだっけ?」
「そ。1年の頃。付き合ってからだともう5年以上?」
「なっが。そりゃ飽きるわな」
「でしょ?」

飽きたわけどはないがうんざりしてる。うん、うんざりしてるが正解。モテる男が彼氏で嬉しかったのは高校の頃まで。なぜか大学も一緒だし、相変わらずモテる彼氏の周りにはいつも女がいた。付き合ってるのも聞かれれば言ったけど、自分からすすんで言わない陸斗のせいで憶測を呼びに呼ぶことになった。私がメンヘラ説とかね。迷惑すぎる。

『陸斗のこと早く解放してあげてよ』
『いつまで陸斗のこと縛るの?』
『陸斗に依存するのやめなよ』

これを全て主語を私に替えて陸斗に言ってほしかった。

最初に別れを切り出したのは大学1年のGW明け。スルーされた。そのあともちょくちょく言っているが、キレられたり無視されたり話にならなかった。付き合って5年以上、もう気持ちはないに等しい。解放してくれないのは陸斗、縛っているのは陸斗、依存してるのも恐らく陸斗。本当に困る。

「とりまアプリか」
「まぁブラウザでもあるけどね」
「いーよ、とりあえず定番のやつで」
「位置情報だと学内のやつとかいそう笑」
「いいねー、知り合いの彼氏とかいたら食おうかな」

それは現実となった。

「やっば陸斗の彼女じゃんw」

彼の方を知っているらしい。

「知り合い?」
「まぁね、友達。学部違うし彼女ちゃんとも学部違うから知らないかな?」

折角気分転換したかったのに彼氏の友達とか最悪

「陸斗に言うつもりとかないけど今日はやめとく?」

折角面倒なやり取りも終えてここまできてるのにまたアプリやるのは勘弁。りっくんに言わないならいいか

「いいよ。でもちょっと話してからにしよ?どんな人かわかんないし」
「じゃーあー、居酒屋?ファミレス?普通にどっか店入る?」

この人が本当にりっくんに言わないか確信がまだ持てないから

「ファミレスで飲む」

これだ。
失敗してもあんまり痛くないやつ。

「ビール?ワイン?」
「とりあえずビール」
「じゃあグラスね。つまみテキトーに頼むよ」

この男は気配りできる男だった。

「名前なんだって?MIって」
「芽依」
「めいちゃん!俺しゅーたね。改めてよろしく、あっビールきた。かんぱーい」

飲みであるノリで安心。友達の彼氏でも変な遠慮がないしワンナイトの相手としては当たりじゃない?

彼女は5歳年上、仕事が楽しくて仕方ない人らしくて放っておかれているらしい。同じマンションだから一応家はなしって言われた。私もありえないけど陸斗が合鍵持ってるからヤるなら家はなしとだけ言った。

「えー、じゃあ陸斗のこと縛ってるって全然嘘じゃん。放任主義も放任」
「だからさー、あんであんなりっくんの周りの女って嘘つきしかいないの?ほんと迷惑なんだけど」
「陸斗も特に否定してないからな、あれじゃね?プライドだよ」
「いらねー」
「はっはっは、ほんとめいちゃん全然話と違うじゃん。面白いね」
「しゅーたくんもめちゃくちゃ話もうまいし聞き上手。めっちゃ喋っちゃう」

お酒もすすんで気が大きくなっている。
テーブルの上に置いてた手の上にしゅーたくんの手が重なって

「そろそろ外、でよっか」

そんな誘ってくるようなかんじなのに右手はフォークを持って普通にごはん食べてる。
お金は割り勘。それくらいがいい。ファミレス飲みだし。

歩いていけるラブホテルに入って部屋の扉を閉めた瞬間激しめにキスされた。

「お風呂さ、1回終わってからでいい?」
「うん」

控えめにいっても最っ高だった。
義務みたいなセックスじゃなくてワンナイトの適当なセックスでもなくて久々にすごくいいセックスだった。

『脚閉じないで。あー、すっごい潮ふけるじゃん。エロいね』
『こんなイイ体もて余してたの?ほんと陸斗しょーもねーな』
『舐めてるとき声大きくなるのいいね。いっぱい舐めてイかせてあげたい』
『イキすぎて疲れた?水口移しでなら飲める?』
『ベッドびしゃびしゃ笑こっちでくっついてれば寝れるっしょ』

明け方までセックスを続けて二人で寝落ちた。お昼前に目が覚めて今駅で解散。

「久々にすげーよかった。めいちゃん、また会える?」
「またもなにも学校ですれちがってそうじゃない?」
「ちがう、こーやってエッチするの。もういや?あっ学校でも話しかけるけど」
「どっちもいいよ」
「じゃあまたね」

今日はもう自炊する体力がないから駅ビルで惣菜買って帰ると言った私と、ワンナイトの相手だったけど継続が決まった彼は普通に家に帰って寝るらしいのでバイバイした。
そういえばスマホと思って取り出したら電源が切れてた。モバイルバッテリー出して充電するのも億劫だし今日は交通ICで会計しよ。チャージ結構しといてよかった。

最寄り駅に着いてセックスしたあと特有の気だるさとともに帰宅だ。今日はよく寝れそう。週の真ん中の祝日ってめんどくさいって思ってたけど昨日がいい日に変わったし早く寝れそうだから明日は肌の調子までいいかもなんて思って部屋のドアを開けたら、昨日家を出たときとちょっと空気が違う。え?
1DKの私の城、シンクに飲んでないビールの空き缶、え?こわ。部屋のローテーブルには置いた覚えのないコンビニ袋。え?爆発物?と思って恐る恐る中を見たら私の好きなほ○○いが入ってる。え?

そういえばと思ってスマホをケーブルに繋いで充電しながら電源ボタン長押しして起動させる。秒でつかないのだけはスマホに対して唯一不満なところ。その間に手洗ってさっき買った惣菜冷蔵庫にいれよ。その間もブンブンスマホ鳴ってる。あー一気に通知きてんのか。

「なにこれ?」

スマホを見て驚いたのはりっくんからの通知の多さ。既読つけんのめんどくさいなーって思いながらも量があるので開かざるをえなかった。

『夜家にいて』

これが最初。はぁ?勝手に約束ブチったのりっくんなのになんてワガママなんだ。

『なに飲む?いつものでいい?』
『部屋電気ついてないけどいる?寝てる?』
『なんで家いないの?早く帰ってこいよ』

『なに怒ってんの?』

怒られるようなことをしている自覚はないらしい。

『家帰ってきたら電話して』

絶対にしなーい♡既読つけただけよくない?

『ちゃんと帰れた?』

別のSNSからさっきまで一緒だったしゅーたくんからの通知だ。この細やかな気配り!年上の彼女持ちだから?いやーすごい。

「いま、いえ、ついたところ。よし送った。お風呂はーいろ」

給湯ボタン押してメイク落としながら溜まるの待ち。いやー、化粧しっぱなしでもセックスのおかげでホルモン?調子いいのか肌質いいわ最高。
ポイントリムーバーでアイメイク落としてたら着信のバイブ。私目瞑ったままでも取れるくらい手にスマホ馴染んでるから普通に確認もせず繋いだ。

「はいもしもーし」
『なんで連絡よこさねーの?』

げっ、確認してから出ればよかった。スピーカーにして電話に出たけれど相手はりっくん。

「電源切れてた」
『夜中から?』
「友達と遊んでたから見てなかった」

あんたの友達とセックスと言う名の遊びだけど

『ふ~ん』

嘘はついていない。一切嘘は言ってない。

「りっくんこそ昨日飲み行ってたんでしょ?なんでうち来てたの?」
『いや、えっと』
「先にドタキャンしたのりっくんじゃん、なのになんでりっくんにそんな責められなきゃいけないの?意味わかんない」
『はぁ?なにキレてんだよ』
「りっくんもじゃん。なにあの通知、こわかったんだけど」
『お前が家にいないのが悪いんだろ』
「だからー、約束してたのドタキャンしたのりっくんでしょ?予定なくなった私が何しててもよくない?」
『はぁ?あとで俺が家に行くとか考えなかったのかよ』
「なにそれ、それなら先に言えばよくない?」
『芽依が家にいないのが悪いんだろ』

あーもう意味わかんない。なんでドタキャンされたの私なのに家でりっくんのこと待たなきゃなの?

『芽依!聞いてんの?』
「聞いてる。つーかお風呂溜まったしお風呂入るから切るね。りっくんほんと意味わかんないよ」

ちょうどよく鳴ったお風呂が溜まった音のおかげで通話切ってやった。

「えー、ほんとなんなの?意味わかんない」

浮気はバレてないはず



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