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エイプリルフール③
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これも移動。去年のやつです。
いつもとは反対。
ミズキ→お姫様
夫×5→現代から異世界にきちゃった
*****
「えー、異世界の男が5人も?厄介すぎるでしょ」
私はこの国の姫。そう姫。まぁ夫を選んでいる最中の権力争いの真っ只中にいる姫だ。
100年置きくらいに全く別の世界から人間が召される。その知識や国にもたらす影響からか王族の伴侶となるのが通例だ。それが一度に5人も、しかもみんな男。
「姫様しかふさわしい王族はおりません」
「王族もなにも親戚も全然女がいないじゃない。もう呪いなんじゃない?何代か前の王が異世界の方になにかしたんじゃなくって?絶対そうよ。呪いよ絶対」
「姫様、そう呪い呪い言うと自分にもふりかかるとオレリーズ様からも言われているでしょう?」
オレリーズは友人。魔術に長けた令嬢、いえ婦人だ。
「そうね…オレリーズの言うことなら聞きましょうか」
「私めの話も聞いてくださいませ…」
その異世界の男が5人もいるという城内でも小さめのホールに向かう。まぁ一番大きいホールじゃなくてよかったわ。見世物になるもの。
すれ違う官吏は私を伺うし、もう情報を得ているであろう高位貴族は生暖かい笑みを私に向けてくる。散々縁談断り続けたツケね、普段なら嫌味の1つでも返すけれど今日は許す。こんなところで時間食ってられないから。
「リップは?アイメイクも崩れてない?前髪は?」
将来的には伴侶になるかもしれない(ほぼ確定だけど)男達と会うから、一応入る前に顔のチェックだ。
「いつも通りお美しいですよ」
「わかってるわよ。もー、これで相手が不細工なら私城の廊下走りながら出奔するわ」
「やめてください…私達が大変なんですから」
「そうね、すぐ私の部屋に戻って荷物を纏めて追いかけてきてもらわなきゃならないからね」
「姫様に付いていくのは確定なんですね…」
当たり前じゃない。私の侍従なんだから。
一度深呼吸をして扉を開ける。
そこにいたのは同い年くらいの男が5人、全員タイプは違うがかなりの整った顔面。
「ミズキ、遅いじゃないか」
「申し訳ありません。いきなりだったものですから」
父と宰相がいる。あとは騎士団長も。
「それで?その殿方達とは?」
見渡したら異装の男性がフロアの真ん中に固まっていた。あら、
「随分と…見目のいい殿方ばかり…」
別の世界からというから美的感覚なんかも違うのかと思いきや。タイプは皆違えども整った顔立ちの男が5人。偉そうにしてるのが1人と動じてないのが2人、不審そうにしているのが1人とどうみても怯えているのが1人。
「皆様初めまして。私はこの国の王女、ミズキです。」
スカートの両端を持って可愛らしくカーテシーもどきをしてみた、お父様達は若干怪訝そうな顔をしているけれど、この方が親しみがわきやすいだろう。
「男性ばかりに囲まれて不安だったでしょう?気分転換に私と外でお茶でもしませんこと?ちょうど庭の百合が見頃なの。香りもいいし気分も晴れるんではなくって?」
まぁ断られることはないだろう。先に行っているから私の侍従に連れてきてもらいなさいと言って侍女達とその場を去る。侍従からはなんともいえない目線を送られていたがここは無視をした。
「ドレスは着替えた方がいい?さっき着たばかりなのだけれど」
「今日のお召し物は裾を引きずるタイプのものではありませんしそのままでよろしいのでは?」
「そうよね。お茶は何がいいかしら…癖のないもののほうがいい?」
「そうですね…お疲れかもしれませんしカフェインレスのものがよろしいかと」
「そうね、それとケーキスタンドでも用意してもらって…男性ばかりだったし軽食も必要ね、厨房にお願いしてきてちょうだい。スープ?お茶よりスープのほうがいいかしら?」
「姫様、普段同性とばかり茶会をしているから変に気を回しすぎですわ。彼らはまだなにもわからぬ赤子のようなものなのですからそこまで気を回さなくても」
確かに侍女の言う通りである。しかし帰る方法もわからぬこの国での最初の印象はなるべく良いもののほうがいいのではないかと思ってしまう。
とりあえず一人の侍女を厨房へ行かせ、もう一人と髪を整えてから庭にある四阿に向かう。彼らは遅れてやってくるだろう。
「それにしても遅いわ」
「姫様は待つことになれておらぬからです」
「そう?私基本的に待たせる方だから」
「それですわ…姫様を娶りたいと数多の男性がいらっしゃいましたが姫様は全て御断りされてしまうんですもの…あの殿方達が姫様のお眼鏡にかなうことを祈るばかりです」
侍女達がうんうんと頷いているから総意なのだろう。少しだけ申し訳ない気になった。
「それで?連絡の方は恙無く?」
「はい。幸いにもあの場に旦那様のお一人がおられたので揃い次第こちらに向かわれるとのことです」
「そう、ならよかった。じゃあ私達はあの5人を待ちましょうか」
久々にいい男を前にできるのだからそれはウキウキする。呼んでいるオレリーズ達がくればうまいこと5人を使えるだろう。
「姫様、お客人をお連れいたしました」
「どうぞ。皆様、戸惑われているのに申し訳ありませんわ。今だけ、一時でも安らぎを感じていただけたら幸いですわ」
遅いからと仰々しいドレスからフリルシャツとスカートに着替えていたのは良かったみたい、そっちの世界の服が元なんだから親しみがあるだろう。そのままだと野暮ったく見えるからコルセットはシャツの上から。胸が強調されるから男相手には最高なはず。
私はお茶を淹れられないから侍女にやってもらうけれど、なんだこの雰囲気は。
「お名前、聞いてもよろしいかしら?」
左隣から時計回りに聞いた。ジョエル、ロラン、リュカ、ミシェル、ノアール。おっけーおっけー。覚える覚える。
色々な話をした。元の世界でも貴族だったのはリュカ、その従者としてミシェルとロラン。それまた別の所で政治に携わっていたというジョエルと研究者だと言うノアール。
うーん、大体は決まった。何がって?養子縁組先よ。流石に後ろ楯も何もない状態で王女と結婚は周りがうるさい、だから相応しい家に家名をもらうのだ。まぁそこが第2の家族と思えるくらいしっかりしたところを宛がう予定だけど。
「姫様」
侍従が声をかけたので、やっと来たかと通すように頼んだ。
「遅くなりましたわ。もー、ルネが遅くて!」
「ちがうわ、だっていきなり姫様が男性物の正装を私と揃いで5つなんていきなり言うんだから持ってくるものがたくさんあったのよ!」
「だから姫様にメゾンの人間を数人連れてきてもいいか聞くか?と言ったんだ。お前が一人でやるなんて言うから」
「仕方ないじゃない!私の仕事なんだから」
「3人ともこんなところで揉めないでちょうだい、彼らが驚いているでしょう?席は、いらないわね。あー、オレリーズのだけ持ってきて頂戴」
オレリーズの席を私の斜め後ろに用意してティーカップを追加で持ってきてもらうことにした。でもちゃんと残りの二人の分も護衛で一足先に戻ってきた彼女の夫の一人が持ってきた。別に良いのに。
「いい?そこの5人には未知なる才能があるかもしれないの。元いた世界には魔術は存在しないのでしょう?」
左隣にいる一番賢そうなジョエルに聞けば「そうです」と答えた。そうよね、歴代もそうだもの。
「このオレリーズは魔女と呼ばれるくらい魔力が高いの。みんなのことを鑑定させてもらうわ。それぞれの適正なんかもわかるから」
不審そうに私を5人が見つめる。そうよね、そうだわ。
「じゃあいいわ、信用できないものね。私が一肌脱ぎましょう」
「姫様っ!」
「先に言うけれど5人とも恐らく私の夫として迎えることになると思うの。嫌かもしれないけれど。でもそれを円滑に進めるのと、あなた達がこの世界で不自由なく過ごすために必要なことよ。私を信じられないなら私は一糸纏わずあなた達の鑑定に付き合うわ」
「姫様…おやめください。陛下の愛娘であるあなたがそこまでなさる必要はありません」
オレリーズの夫であるリビオがこの場では私の次に身分が高い、そのリビオが止めているんだからと皆に目で言われている。
「いいじゃない、皆私の夫になるんだから。どうせ裸なんてすぐ見るんだし減るもんじゃないわ、ねぇ?そう思わない?」
目の前の男達に聞けばなんともいえない顔をしてる3人と、そうでしょうみたいな顔のままの2人。ふーん、そんなかんじ。
「まぁいいわ、ここはハリス卿に従います。でもどうしようかしら…」
本当ならこの場で一気に済ませたいんだけど、としかしたら自分の能力や適正が他人にわかってしまうのは嫌かしら?リビオはいるし、ルネも終わった者から採寸にはいってほしいし、ウィルバーは騎士だから必要。
「俺は気にしない」
センターにいる元いた世界では貴族だというリュカがそう言えば皆がそうですとなった。え?異世界の貴族やばくない?王族かよ
「リュカ様は世界的に有名な方だったんですよ。現代のリアル王子として各国で有名でした。まぁいろんな意味でですが」
左隣のジョエルが教えてくれた。そうか王族みたいなものね、その男が一言言えばいいだけなんて素晴らしいわ。
まぁそのお陰でスムーズに事が運んだ。やっぱりジョエルは頭もいいし魔力も豊富、元いた世界の知識は大いに生かしてもらいたい。ロランは類い稀なる身体能力をもっているみたいだから騎士団ね。リュカはもうさすが貴族。ほーってオレリーズが感嘆の声をもらしてしまうくらいにすべてがバランスよく優れているらしい。ミシェルもバランスはとれているけど魔力が他より高めの器用型らしい。
「ちょっとこれは…」
ノアールの鑑定をしようとしたオレリーズが手を下ろした。
「どうしたの?」
「とんでもないです…私でも測りきれないほどの魔力で…恐らくこの国の誰よりも…た、か…」
オレリーズが倒れた。え?嘘でしょ、そのレベル?こんなかわいい顔した男が?オレリーズはウィルバーが抱いて先に家に戻った。ノアールは心底心配していたが、私はこの可能性の塊がここにやって来たことに歓喜するしかなかった。
全員がルネに野良採寸をしてもらっている間、私はリビオと彼らの処遇、主に養子縁組先の話し合いを始めた。
「もうほぼ決まりじゃないですか?なるべく忠臣、高位貴族、本人達の適性をもってすれば」
「そうね、リュカは叔父様のところか新しく家を興すか…」
元の世界でも貴族だった彼は王族に迎え入れても惜しくないレベルだ。しかし私と兄妹や姉弟になってしまえば結婚はできなくなる。彼の見目は大変に好ましいので夫になれる家門に入ってもらいたい。新しく家を興してもいきなり高位貴族にするのは反感を買うこともあるだろうからやっぱり養子縁組ね。
「ミシェルは侍従長のところにしましょうか。役に立つ魔術もたくさんあるし、リュカの従者だったんでしょう?侍従としてもいいじゃない」
「ロランは騎士団関係ですか?」
「団長のところがいいわ。相性もいいんではなくって? 」
「まぁ、よさそうですね。ジョエルはどうします?」
「あれは宰相一択でしょうよ。将来的にお兄様を支えてあげられるような人になるはずよ。まぁ私の物だけれど」
性格は良いとは言えない。お兄様が悔しそうにするのを想像するだけで楽しいんだもの。自分が側近としたいくらい有能な男が妹の夫で、何一つ政治的に使う間もなく全てが固められていたなんて悔しいでしょうに。
「問題はノアールね…」
「それです」
魔力が高すぎる、それも現代の魔女とまで言われているオレリーズを気絶させるレベルなんだから想像もつかない。
研究が大好きな侯爵のところなんて連れていけば実験材料にされてしまうだろうし、魔術騎士団関連なんて酷使されてしまいそうだ。
「悩むわ…ちょっとこれは大変ね」
「うちにしますか?」
「だめね、あなたの家が魔力を持ちすぎると厄介なことになるわ。反乱の疑いありなんて言われたくないでしょう?」
「それはそうですが…姫様のためなら」
「私は兄を盛り上げるための存在よ?私が王位を狙ってるなんて思われたくないし…でも兄の政敵を炙り出すには丁度良いかしら?」
「おやめください、姫様の立場が悪くなります」
「もう悪いんではなくって?」
東国系の母から生まれたこの国では珍しいが美しい顔立ちの私が流した浮き名は数知れず、私を恋慕って舞台俳優が公演中に愛を叫び出したり、他国の王子が城のバルコニーで「結婚してくれなきゃ飛び降りる」と言ってみたり…ゴシップ誌を騒がせている人間なのだ。評判なんていいはずがない。
「…学園の教師はどうですか?魔術に精通はしていますが、政事や争いに加担するような人間ではありません。中立よりは王政寄りではありますが彼を悪く扱うことはないかと」
「あらいいじゃない。あの変わり者先生でしょ?奥様はしっかりした方だから安心だわ。あら、粗方終わったみたい。」
ルネが5人を引き連れて戻ってきた。ルネもまぁいい男なんだけどレベルが違うわね…
「この人達言葉通じるのよ。びっくりじゃない?」
「それで?すぐにでもいけそう?」
「まぁ既製ラインのものを元にすればね。姫様が全面に刺繍しろとか言わない限り大丈夫よ」
「とにかく最初の分だけは早めね。あと私服も何枚もいるし…入り用だから頼むわよ。ちゃんとしたものはそのあとからで」
言葉に問題はなしか。まぁさっき普通に名前も聞いたし、異世界から来る人となぜか言葉の壁がなかったというのはむかーし聞いたことがあったような気がしていたから気付かなかった。
「それにしても姫様よかったわね」
「ん?なにが?」
「好みでしょ、あの子達」
「…そうね」
ぶっちゃけなくても本当に好みだった。三者三様、十人十色というが本当に5人はそれぞれが違ったタイプではあるが本当に好みだった。私の未来明るすぎない?
「って夢をみたんだけど」
目覚めて横にいたリュカに話をしたら大笑いされた。そしたらすぐミシェルが来て水とミルクティーを用意してくれた。ミシェルに言っても笑われた。
「プリンセスはないだろ」
「私達なら異世界にいってもやっていけそうですけどね」
「…いなくなったら自然消滅だから」
二人とも慌てていたけれど、残された家族は本当にどんな思いなのだろうか…久々に母のことを思った。
end
いつもとは反対。
ミズキ→お姫様
夫×5→現代から異世界にきちゃった
*****
「えー、異世界の男が5人も?厄介すぎるでしょ」
私はこの国の姫。そう姫。まぁ夫を選んでいる最中の権力争いの真っ只中にいる姫だ。
100年置きくらいに全く別の世界から人間が召される。その知識や国にもたらす影響からか王族の伴侶となるのが通例だ。それが一度に5人も、しかもみんな男。
「姫様しかふさわしい王族はおりません」
「王族もなにも親戚も全然女がいないじゃない。もう呪いなんじゃない?何代か前の王が異世界の方になにかしたんじゃなくって?絶対そうよ。呪いよ絶対」
「姫様、そう呪い呪い言うと自分にもふりかかるとオレリーズ様からも言われているでしょう?」
オレリーズは友人。魔術に長けた令嬢、いえ婦人だ。
「そうね…オレリーズの言うことなら聞きましょうか」
「私めの話も聞いてくださいませ…」
その異世界の男が5人もいるという城内でも小さめのホールに向かう。まぁ一番大きいホールじゃなくてよかったわ。見世物になるもの。
すれ違う官吏は私を伺うし、もう情報を得ているであろう高位貴族は生暖かい笑みを私に向けてくる。散々縁談断り続けたツケね、普段なら嫌味の1つでも返すけれど今日は許す。こんなところで時間食ってられないから。
「リップは?アイメイクも崩れてない?前髪は?」
将来的には伴侶になるかもしれない(ほぼ確定だけど)男達と会うから、一応入る前に顔のチェックだ。
「いつも通りお美しいですよ」
「わかってるわよ。もー、これで相手が不細工なら私城の廊下走りながら出奔するわ」
「やめてください…私達が大変なんですから」
「そうね、すぐ私の部屋に戻って荷物を纏めて追いかけてきてもらわなきゃならないからね」
「姫様に付いていくのは確定なんですね…」
当たり前じゃない。私の侍従なんだから。
一度深呼吸をして扉を開ける。
そこにいたのは同い年くらいの男が5人、全員タイプは違うがかなりの整った顔面。
「ミズキ、遅いじゃないか」
「申し訳ありません。いきなりだったものですから」
父と宰相がいる。あとは騎士団長も。
「それで?その殿方達とは?」
見渡したら異装の男性がフロアの真ん中に固まっていた。あら、
「随分と…見目のいい殿方ばかり…」
別の世界からというから美的感覚なんかも違うのかと思いきや。タイプは皆違えども整った顔立ちの男が5人。偉そうにしてるのが1人と動じてないのが2人、不審そうにしているのが1人とどうみても怯えているのが1人。
「皆様初めまして。私はこの国の王女、ミズキです。」
スカートの両端を持って可愛らしくカーテシーもどきをしてみた、お父様達は若干怪訝そうな顔をしているけれど、この方が親しみがわきやすいだろう。
「男性ばかりに囲まれて不安だったでしょう?気分転換に私と外でお茶でもしませんこと?ちょうど庭の百合が見頃なの。香りもいいし気分も晴れるんではなくって?」
まぁ断られることはないだろう。先に行っているから私の侍従に連れてきてもらいなさいと言って侍女達とその場を去る。侍従からはなんともいえない目線を送られていたがここは無視をした。
「ドレスは着替えた方がいい?さっき着たばかりなのだけれど」
「今日のお召し物は裾を引きずるタイプのものではありませんしそのままでよろしいのでは?」
「そうよね。お茶は何がいいかしら…癖のないもののほうがいい?」
「そうですね…お疲れかもしれませんしカフェインレスのものがよろしいかと」
「そうね、それとケーキスタンドでも用意してもらって…男性ばかりだったし軽食も必要ね、厨房にお願いしてきてちょうだい。スープ?お茶よりスープのほうがいいかしら?」
「姫様、普段同性とばかり茶会をしているから変に気を回しすぎですわ。彼らはまだなにもわからぬ赤子のようなものなのですからそこまで気を回さなくても」
確かに侍女の言う通りである。しかし帰る方法もわからぬこの国での最初の印象はなるべく良いもののほうがいいのではないかと思ってしまう。
とりあえず一人の侍女を厨房へ行かせ、もう一人と髪を整えてから庭にある四阿に向かう。彼らは遅れてやってくるだろう。
「それにしても遅いわ」
「姫様は待つことになれておらぬからです」
「そう?私基本的に待たせる方だから」
「それですわ…姫様を娶りたいと数多の男性がいらっしゃいましたが姫様は全て御断りされてしまうんですもの…あの殿方達が姫様のお眼鏡にかなうことを祈るばかりです」
侍女達がうんうんと頷いているから総意なのだろう。少しだけ申し訳ない気になった。
「それで?連絡の方は恙無く?」
「はい。幸いにもあの場に旦那様のお一人がおられたので揃い次第こちらに向かわれるとのことです」
「そう、ならよかった。じゃあ私達はあの5人を待ちましょうか」
久々にいい男を前にできるのだからそれはウキウキする。呼んでいるオレリーズ達がくればうまいこと5人を使えるだろう。
「姫様、お客人をお連れいたしました」
「どうぞ。皆様、戸惑われているのに申し訳ありませんわ。今だけ、一時でも安らぎを感じていただけたら幸いですわ」
遅いからと仰々しいドレスからフリルシャツとスカートに着替えていたのは良かったみたい、そっちの世界の服が元なんだから親しみがあるだろう。そのままだと野暮ったく見えるからコルセットはシャツの上から。胸が強調されるから男相手には最高なはず。
私はお茶を淹れられないから侍女にやってもらうけれど、なんだこの雰囲気は。
「お名前、聞いてもよろしいかしら?」
左隣から時計回りに聞いた。ジョエル、ロラン、リュカ、ミシェル、ノアール。おっけーおっけー。覚える覚える。
色々な話をした。元の世界でも貴族だったのはリュカ、その従者としてミシェルとロラン。それまた別の所で政治に携わっていたというジョエルと研究者だと言うノアール。
うーん、大体は決まった。何がって?養子縁組先よ。流石に後ろ楯も何もない状態で王女と結婚は周りがうるさい、だから相応しい家に家名をもらうのだ。まぁそこが第2の家族と思えるくらいしっかりしたところを宛がう予定だけど。
「姫様」
侍従が声をかけたので、やっと来たかと通すように頼んだ。
「遅くなりましたわ。もー、ルネが遅くて!」
「ちがうわ、だっていきなり姫様が男性物の正装を私と揃いで5つなんていきなり言うんだから持ってくるものがたくさんあったのよ!」
「だから姫様にメゾンの人間を数人連れてきてもいいか聞くか?と言ったんだ。お前が一人でやるなんて言うから」
「仕方ないじゃない!私の仕事なんだから」
「3人ともこんなところで揉めないでちょうだい、彼らが驚いているでしょう?席は、いらないわね。あー、オレリーズのだけ持ってきて頂戴」
オレリーズの席を私の斜め後ろに用意してティーカップを追加で持ってきてもらうことにした。でもちゃんと残りの二人の分も護衛で一足先に戻ってきた彼女の夫の一人が持ってきた。別に良いのに。
「いい?そこの5人には未知なる才能があるかもしれないの。元いた世界には魔術は存在しないのでしょう?」
左隣にいる一番賢そうなジョエルに聞けば「そうです」と答えた。そうよね、歴代もそうだもの。
「このオレリーズは魔女と呼ばれるくらい魔力が高いの。みんなのことを鑑定させてもらうわ。それぞれの適正なんかもわかるから」
不審そうに私を5人が見つめる。そうよね、そうだわ。
「じゃあいいわ、信用できないものね。私が一肌脱ぎましょう」
「姫様っ!」
「先に言うけれど5人とも恐らく私の夫として迎えることになると思うの。嫌かもしれないけれど。でもそれを円滑に進めるのと、あなた達がこの世界で不自由なく過ごすために必要なことよ。私を信じられないなら私は一糸纏わずあなた達の鑑定に付き合うわ」
「姫様…おやめください。陛下の愛娘であるあなたがそこまでなさる必要はありません」
オレリーズの夫であるリビオがこの場では私の次に身分が高い、そのリビオが止めているんだからと皆に目で言われている。
「いいじゃない、皆私の夫になるんだから。どうせ裸なんてすぐ見るんだし減るもんじゃないわ、ねぇ?そう思わない?」
目の前の男達に聞けばなんともいえない顔をしてる3人と、そうでしょうみたいな顔のままの2人。ふーん、そんなかんじ。
「まぁいいわ、ここはハリス卿に従います。でもどうしようかしら…」
本当ならこの場で一気に済ませたいんだけど、としかしたら自分の能力や適正が他人にわかってしまうのは嫌かしら?リビオはいるし、ルネも終わった者から採寸にはいってほしいし、ウィルバーは騎士だから必要。
「俺は気にしない」
センターにいる元いた世界では貴族だというリュカがそう言えば皆がそうですとなった。え?異世界の貴族やばくない?王族かよ
「リュカ様は世界的に有名な方だったんですよ。現代のリアル王子として各国で有名でした。まぁいろんな意味でですが」
左隣のジョエルが教えてくれた。そうか王族みたいなものね、その男が一言言えばいいだけなんて素晴らしいわ。
まぁそのお陰でスムーズに事が運んだ。やっぱりジョエルは頭もいいし魔力も豊富、元いた世界の知識は大いに生かしてもらいたい。ロランは類い稀なる身体能力をもっているみたいだから騎士団ね。リュカはもうさすが貴族。ほーってオレリーズが感嘆の声をもらしてしまうくらいにすべてがバランスよく優れているらしい。ミシェルもバランスはとれているけど魔力が他より高めの器用型らしい。
「ちょっとこれは…」
ノアールの鑑定をしようとしたオレリーズが手を下ろした。
「どうしたの?」
「とんでもないです…私でも測りきれないほどの魔力で…恐らくこの国の誰よりも…た、か…」
オレリーズが倒れた。え?嘘でしょ、そのレベル?こんなかわいい顔した男が?オレリーズはウィルバーが抱いて先に家に戻った。ノアールは心底心配していたが、私はこの可能性の塊がここにやって来たことに歓喜するしかなかった。
全員がルネに野良採寸をしてもらっている間、私はリビオと彼らの処遇、主に養子縁組先の話し合いを始めた。
「もうほぼ決まりじゃないですか?なるべく忠臣、高位貴族、本人達の適性をもってすれば」
「そうね、リュカは叔父様のところか新しく家を興すか…」
元の世界でも貴族だった彼は王族に迎え入れても惜しくないレベルだ。しかし私と兄妹や姉弟になってしまえば結婚はできなくなる。彼の見目は大変に好ましいので夫になれる家門に入ってもらいたい。新しく家を興してもいきなり高位貴族にするのは反感を買うこともあるだろうからやっぱり養子縁組ね。
「ミシェルは侍従長のところにしましょうか。役に立つ魔術もたくさんあるし、リュカの従者だったんでしょう?侍従としてもいいじゃない」
「ロランは騎士団関係ですか?」
「団長のところがいいわ。相性もいいんではなくって? 」
「まぁ、よさそうですね。ジョエルはどうします?」
「あれは宰相一択でしょうよ。将来的にお兄様を支えてあげられるような人になるはずよ。まぁ私の物だけれど」
性格は良いとは言えない。お兄様が悔しそうにするのを想像するだけで楽しいんだもの。自分が側近としたいくらい有能な男が妹の夫で、何一つ政治的に使う間もなく全てが固められていたなんて悔しいでしょうに。
「問題はノアールね…」
「それです」
魔力が高すぎる、それも現代の魔女とまで言われているオレリーズを気絶させるレベルなんだから想像もつかない。
研究が大好きな侯爵のところなんて連れていけば実験材料にされてしまうだろうし、魔術騎士団関連なんて酷使されてしまいそうだ。
「悩むわ…ちょっとこれは大変ね」
「うちにしますか?」
「だめね、あなたの家が魔力を持ちすぎると厄介なことになるわ。反乱の疑いありなんて言われたくないでしょう?」
「それはそうですが…姫様のためなら」
「私は兄を盛り上げるための存在よ?私が王位を狙ってるなんて思われたくないし…でも兄の政敵を炙り出すには丁度良いかしら?」
「おやめください、姫様の立場が悪くなります」
「もう悪いんではなくって?」
東国系の母から生まれたこの国では珍しいが美しい顔立ちの私が流した浮き名は数知れず、私を恋慕って舞台俳優が公演中に愛を叫び出したり、他国の王子が城のバルコニーで「結婚してくれなきゃ飛び降りる」と言ってみたり…ゴシップ誌を騒がせている人間なのだ。評判なんていいはずがない。
「…学園の教師はどうですか?魔術に精通はしていますが、政事や争いに加担するような人間ではありません。中立よりは王政寄りではありますが彼を悪く扱うことはないかと」
「あらいいじゃない。あの変わり者先生でしょ?奥様はしっかりした方だから安心だわ。あら、粗方終わったみたい。」
ルネが5人を引き連れて戻ってきた。ルネもまぁいい男なんだけどレベルが違うわね…
「この人達言葉通じるのよ。びっくりじゃない?」
「それで?すぐにでもいけそう?」
「まぁ既製ラインのものを元にすればね。姫様が全面に刺繍しろとか言わない限り大丈夫よ」
「とにかく最初の分だけは早めね。あと私服も何枚もいるし…入り用だから頼むわよ。ちゃんとしたものはそのあとからで」
言葉に問題はなしか。まぁさっき普通に名前も聞いたし、異世界から来る人となぜか言葉の壁がなかったというのはむかーし聞いたことがあったような気がしていたから気付かなかった。
「それにしても姫様よかったわね」
「ん?なにが?」
「好みでしょ、あの子達」
「…そうね」
ぶっちゃけなくても本当に好みだった。三者三様、十人十色というが本当に5人はそれぞれが違ったタイプではあるが本当に好みだった。私の未来明るすぎない?
「って夢をみたんだけど」
目覚めて横にいたリュカに話をしたら大笑いされた。そしたらすぐミシェルが来て水とミルクティーを用意してくれた。ミシェルに言っても笑われた。
「プリンセスはないだろ」
「私達なら異世界にいってもやっていけそうですけどね」
「…いなくなったら自然消滅だから」
二人とも慌てていたけれど、残された家族は本当にどんな思いなのだろうか…久々に母のことを思った。
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そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。
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勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。
戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──?
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