上 下
52 / 100

第52話 失言Ⅱ

しおりを挟む
「……」

 俺と朱里さんがRailに親友追加をしている間、さくらは無言で、監視する様な視線で見ていた。
 Railの親友追加以外の行動を起こしたら、直ぐに口を開きそうな雰囲気だった!?

「はい。OK!」

 俺と朱里さんは、Railに親友追加を無事に終える。
 不思議と朱里さんの声に張りが有る気がした。

「じゃあ、颯太さん!」
「さくらちゃんをよろしくね!!」
「今日は楽しかったわ。おやすみなさい!!」

 朱里さんはさくらの雰囲気を感じ取ったのか、Railの親友追加を終えると、別れと就寝の挨拶を始める!?

(俺はもう少し、朱里さんと話をしたいが……止めた方が良いか)
(また、さくらが不機嫌に成りそうだし)

「あっ、はい…。朱里さん、ごちそうさまです!」
「来月こちらに来た時はまた、朱里さんのお店に顔を出します!!」

 俺の今の選択肢は“さくら”しかない。
 朱里さんとの直接交流は次回に持ち越しだ。
 俺も朱里さんに別れの挨拶をするが……、俺がそれを言うと朱里さんの表情が急に変わる!?

「あっ、颯太さん!!」
「私のお店は基本、土曜日は14時までだし、日曜日が定休日なのよ!!」
「土曜日は14時までに来てくれれば良いけど、そうでなければ、さくらちゃんと来てもお店は閉まっているよ…///」

 朱里さんは焦った表情と口調で言う。

「あっ……そうですか」
「じゃあ、朱里さんとは簡単には逢えませんね……」

 俺は思わず残念な表情で言ってしまう。

「!!!」

 そして、その言葉をさくらは聞き逃さなかった!?
 さくらは無言で有ったが、顔を一気にしかめた!?

「えっ……颯太さん…」
「もしかして、私のこと気に成るの…?」

 朱里さんも俺の残念な口調に対し、少し驚きながら聞いてきた。

(しまった!!)
(つい、心の本音を言ってしまった!!)

 俺は頭の中で言葉を選んでいると、朱里さんが話し始める。

「ふふっ♪」
「さくらちゃんの言う通り、女性に対する免疫は本当に少なそうだね!」

「もし、私に会いたいのなら、私に直接連絡では無く、さくらちゃん経由でお願いね!!」
「後……さくらちゃんに関する以外の事で私に連絡をしたら、容赦なくブロックするから覚えて置いてね♪」

 朱里さんは“にこにこ”笑顔で言うが、何処か怒っている感じもした!?

(朱里さん……俺に気が有るのでは無いの!?)
(この人の考えも良く読めん人だ!!)

「ふぅ~~」

 朱里さんの言葉と対応を見ていたさくらが、何故か安心したため息を付いていた。

(これはさくらが側に居るから、ワザと言っているのか?)
(ここは俺も、朱里さんの忠告に素直に従う事にしよう)

「だっ、大丈夫です!」
「さくらの件以外で、朱里さんには連絡をしませんから!///」

「うん。それだけは本当に守ってね!!」
「私も、さくらちゃんに恨まれたくは無いし、颯太さんだってさくらちゃんを失いたくは無いでしょ♪」

「……はい」

「なら、よろしい!!」
「じゃあ、私は一足先に帰るね!!」
「場所は近所だから、歩いて平気で帰れるから!!」
「バイバイ、さくらちゃん。颯太さん!」

 朱里さんは和やかな表情で言うが、たたみかけるよう言い、素早く駐車場から出て行ってしまう!?

「今日も楽しかったです!!」
「おやすみなさい。朱里さん!!」

 さくらはそれを止めること無く、朱里さんに別れの挨拶をしている?

「えっと、朱里さん…!」
「気を付けて帰ってくださいね!!」

 俺とさくらが朱里さんに声を掛けると、朱里さんは背中越しで右手を挙げて手を振る!
 雰囲気的に『バイバイ』の合図だろう。

 俺の中では……何とも言えない気持ちで、朱里さんと別れてしまった…… 
 今度会える日は何時に成るんだろうか……
しおりを挟む

処理中です...