チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―自炊スキルを生かし、俺は異世界で養護施設を切り盛りしながら魔王も討伐する―

小春かぜね

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攻勢をかけ始める魔王軍

第17話 食事作りの予算

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 ……

 アスとの会話後。俺とリンはシスターの案内で、今度は教会側に有る厨房に向う。
 養護施設に厨房はない。

『パタン!』

 俺とリンから先に入り、シスターが入って厨房のドアを閉めた後。
 シスターは真面目な表情で、俺とリンに向けて話し始める。

「明日からスズヤには、養護施設の厨房を予定通り、担当して貰います!」
「本来は私も手伝うつもりでしたが、リンもいる事から、リンと協力して子どもたちへの食事を作ってください!」

「私と神父は、別で摂りますので用意は不要です」
「アスが今まで通りの事をしてくれますが、リンのメインは厨房手伝いでは無く、子どもたちの見守りが本職ですからね!」

「……先日は、予算に制限を掛けませんでしたが、今度からは予算内で食事を作って貰います!」
「パンと牛乳に関しては、教会側が準備しますので、スズヤは在庫管理だけお願いします!」

「現在。食費は一日、一万キランを目安にまかなっております」
「その範囲内で、安定した食事を出してください!」

「ちなみに、パン10本2,500キランで有り、牛乳は5ℓ800キランです!」
「基本。朝はパンと乳製品だけで構いません」

「ですが、夕食は必ず、朝食+主菜若しくはスープを出してください!」
「初めのうちは大変でしょうが、時期に慣れます!」

「後……これは追加の仕事ですが、氷冷蔵庫の氷セットや、教会や養護施設で使う、照明用の油管理もお願いします」
「これは後で教えます……何か、質問は有りますか?」

「……」

(一日1万キランと言われても、どうもピンと来ない!)
(日本で言う1万円で、子ども約25人分の食事を3食作れと言われれば、大抵不可能だろう!?)

 俺は先日。腕試しで、養護施設の食事担当をしたが、その時は予算制限が無かったので、贅沢なハムを使ったスープや、豪華なサンドイッチを作った。
 この世界でも、ハムや肉は高価な部類に入るし、魚介類はもっと高い!

 それ以外にも、牛乳を除くチーズなどの乳製品や、スープを作る材料費もいるから、1万キランでは案外厳しいのかも知れない。
 だけど、それを上手に遣り繰りするのがプロの料理人だ!

「いえ、特に有りません」
「シスター」

 俺は、澄ました表情でシスターに返事をする。
 シスターは納得した表情で、俺に話し始める。

「分かりました。スズヤ!」
「今晩は私とアスで作りますから、今日の所は明日に備えて、部屋で体を休めていてください」

「もちろん、手伝いは不要ですよ」
「厨房の鍵は、後でお渡しします」

 ……

 シスターから、照明用の油が備蓄されている場所を教えて貰った後。俺とリンはシスターから解放される。
 俺は自室が有る、養護施設に戻ろうとすると、リンが和やかな表情で話し掛けてくる。

「ねぇ、スズヤさん!」
「この後は、どうするおつもりです?♪」

「自分の部屋で、荷解にほどきでもしようかと思っている。リン」

 俺に荷解きをする程の荷物は無いが、澄ました表情でリンに言う。
『部屋で寛ぐ』とかを言うと、リンは絶対に俺を遊びとかに誘い始めるからな。

  だが、リンは少し困った表情で俺に話し始める。

「スズヤさん!」
「荷解きも大事ですが、明日からのメニューはキチンと考えているのですか?」

「まぁ……一応。考えているよ。リン!」
「朝はシスターが言う物を出して、夜は適当にスープを作ろうと思う」

 俺は、知ったか振りの表情でリンに話す。
 正直言えば料理なんて、その時の閃きに任せれば良いのだ!

「……そうですか」
「なら……何も言いません」

 リンに取っては面白くない回答だったらしく、少し不満表情で呟いて、何処かに行ってしまう!
 だが、俺がそれを追い掛ける事をしない。

 リンは一応。命の恩人で有るが、リンの俺ベッタリは少し疲れる。
 リンは俺の事を気に入っているが、俺よりもっと良い男性は他に居るだろうに……俺は所詮チー牛だぞ!///

 ……

『こん、こん、―――♪』

 食事の時間まで、自室のベッドで時間を潰していると……部屋のドアがノックされる。
 どうせまた、リンだろうと思い、俺はベッド上からドアに向けてな口調で言う。

「リン?」
「ドアは開いてるぞ!」

「……いえ、リンでは有りません///」
「……アスです」

「!///」

 相手がリンでは無くアスで有った為、俺はベッドから飛び上がり、急いでドアの方に向ってドアを開ける。

『ガチャ!』

 俺は申し訳ない表情で、アスに話し始める。

「すいません。アス……」
「てっきり、リンだと思いまして……(汗)」

「いえ、大丈夫ですよ。スズヤ先生!」
「これ……差し出がましい物ですが……」

 アスは困った微笑み表情で俺に言いながら、一枚の紙を差し出してくる。
 俺はアスから紙を受け取りながら、受け取った紙の内容を見始める。

『日曜日 朝食 パン チーズ 夕食 パン トマトスープ 梨 牛乳』
『月曜日 朝食 パン サワークリーム 夕食 パン 野菜スープ 牛乳』
『火曜日 朝食 パン ヨーグルト 夕食 パン 栗入りチキンスープ 牛乳』
『―――』

「最近、1週間で出されたメニューです!」
「参考に成ればと思い、お渡ししました」

「朝食に乳製品を出せば、敢えて牛乳を出す必要は有りません」
「でも、出さない場合は、牛乳を出すべきですね!」

 アスは、控えめな笑顔で俺に話す。
 アスは態々わざわざ手書きの直近メニューを書いて、俺の所へ持って来てくれた。

「……ありがとう。アス!」
「是非、参考にさせて貰うよ!!」

 俺は笑顔でアスに話す。
 流石、子どもたちを纏めるお姉さんで有る!

 アスは表情で、俺に話し始める。

「では、お母さんシスターの手伝いが有るので、これで失礼します」
「スズヤ先生…!」

『ペコリ』

『パタン!』

(なんか……先生と呼ばれると、こそばゆいな!///)
(チー牛おっさんなのに、先生と呼ばれる日が来るなんて♪///)

 アスはご丁寧に挨拶後。おじぎをしてから部屋のドアを閉める。
 リンの物腰は柔らかそうだが、アスの方がもっと柔らかそうだ!

 アスのお陰で、凄く献立が立てやすくなったぞ!♪
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