チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―自炊スキルを生かし、俺は異世界で養護施設を切り盛りしながら魔王も討伐する―

小春かぜね

文字の大きさ
21 / 56
攻勢をかけ始める魔王軍

第20話 養護施設に魔物が出現!

しおりを挟む
「スズヤさん!」
「メルメーサ王国はサケ(鮭)が美味しい国でして、この時期ですから、鮭が安く買えるのですよ!!」

「ですので、サケなんかどうでしょうか!♪」
「魚は嫌いでも、サケが好きな子は案外多いですからね!!♪」

 リンは嬉しそうな表情で俺に話す。
 俺は和やかな表情でリンに話し始める。

「良いね。サケ!」
「サケをオーブンで焼いて……粉ふき芋でも添えれば、子どもたちも喜ぶだろう!」

「良いですね、スズヤさん!」
「粉ふき芋。私も大好きです!!」

 リンは表情で俺に話す。
 メインはサケのオーブン焼き。添え野菜は粉ふき芋。朝食時に作ったカッテージチーズ作りで残ったホエイが有るから、そのホエイにキャベツ・タマネギでも入れてスープを作れば、俺は一気に慕われるだろう!?

 リンのお陰で、朝食の挽回が出来そうだ!

 ……

 市場内に有る魚屋で、サケの切り身を25切れ買う。
 旬の時期だけ有って、一切れ当り100キランで買えた。

 異世界でも、切り身で買えるのは嬉しい!
 ジャガイモなどの各野菜も安価に買えて、どうにか予算内で収まる。

 重い物は俺は持って、軽い物はリンに持って貰う。
 これで、馬車とか荷車が有れば、もっと便利なんだが……

 ☆

『きゃ~~』

『うぉ~~』

『逃げろ~~///』

 後少しで教会の所で、教会の方から悲鳴らしき声が聞こえて来る?
 何か有ったのは間違いない。リンが心配した表情で、俺に聞いてくる。

「スズヤさん!」
「教会の方で、何か有ったのですかね?(汗)」

「……まさかと思うけど、魔物でも現われた?」
「でもな……ここは城下町だし」

 俺は怪訝な表情で呟く。
 メルメーサ王国は現在、魔王軍と交戦状態だ!

 だから魔王軍がいつ来ても、おかしくない状態では有るが、ここは城下町で有る。
 魔王軍もそんな易易やすやすに、攻められないと思うが??

 俺は眉をしかめながら、リンに話し始める。

「取り敢えず、急いで戻ろう!」
「リン!!」

「はい!///」

 リンも表情を、強張らせながら返事をする。
 二人とも荷物を持っている状態で、走るより早歩きだが、悲鳴が聞こえた方向に向けて足を進める……

「!!」

「!?」

『バサ、バサ、―――』

 悲鳴が聞こえた場所は、教会裏手に有る養護施設から左真横に有る、子どもたちの遊び場(広場)で有り、其処には大きなコウモリが空中浮揚していた!
 コウモリの目線は突然の出現で怯えている、養護施設の女子二人に向けており、今にも襲い掛かりそうな雰囲気だ!

「キッキッキッ~~~」
「キッキッキッ~~~」

 誰もが見て分かる、黒い大型コウモリだ。
 邪悪な雰囲気を漂わせているから、魔王軍の偵察隊だろう。

『これから、食べよう!』の意味で(?)、大型コウモリは鳴いている!

「―――///」

「―――///」

 女子二人は互いに抱き合っていて、互いをかばっている。
 リンは戸惑った表情で、俺に言ってくる。

「スズヤさん。どうしましょう!///」
「こんな所まで、魔物が現われてしまいました…///」

「そんな事を言われても……武器なんて、厨房に有る包丁しか無いし、それに包丁を取りに行っている間に、大型コウモリは子どもたちを襲ってしまう(汗)」

 俺はをしながら、リンに話す。
 だけど、このまま見殺しにする事は出来ない……その時。

『バン!』

『ダダッ―――』

 養護施設の正面扉から、アスが血眼の表情で飛び出して来た!
 子どもたちの悲鳴を聞いてか、逃げのがれた子どもたちがアスに伝えたのだろう。

 女子二人を守る様にアスは女子二人の前へ出て、大型コウモリに威嚇を示す!
 アスは母性本能が強い女性なんだろう!

 だが、アスの腕力では絶対、大型コウモリには勝てないし、女子二人を連れて逃げる事も不可能だろう!

「キッキッキッ~~~」
「キッキッキッ~~~」

『ギロッ!』

 大型コウモリは女子二人から、アスの方に目線を変える。
 大型コウモリはアスを敵と見なし、羽音を響かせながら、アスの方に一気へ襲い掛かり始める!!

『ババッ、ババッ、―――』

「キキッ、キキッ、―――」

『パッ!』

「……ブランド!」

「えっ!?」

「えっ……」

 アスは右手を広げて、それ大型コウモリに向けて、険しい表情で何かの言葉を発すると、右手から火球が突然飛び出す!!
 俺とリンは、当然驚く!!

『シュ、シュ、シュ―――ボン!』

「グッギャアァァーーー」

「……」

 火球は見事に大型コウモリへ当り、大型コウモリは火球に包まれる!
 アスはその光景を、真剣な眼差しで見ている。

「グッギャアァァーーー」

『バタン!』←地面に落ちた音

「グッギャアァァーーー」

『ゴロ、ゴロ、―――』

「グッギャアァァーーー」

『ゴロ、ゴロ、―――』

『ゴロ、……』

「…………」

 大型コウモリは火を消そうと、地面に落ちてが……しばらくすると絶命する。
 これは、アトラクションでは無い。この世界で現実に起きている事だ。

『てく、てく、―――』

「……」

「ふぅー(汗)」

 アスは無言で大型コウモリに近付き、絶命確認をすると溜め息を吐きながら、冷や汗の表情を見せる。
 アスは、女子二人の元に戻ったタイミングで……

『ガバッ!』

『ガバッ!』

「うあぁぁーん。アス先生怖かった~~(泣)」

「アス先生。怖かったよ~~(泣)」

 女子二人がアスに目掛けて、泣きながら飛び込んでいく。
 アスは女子二人を抱き締めながら、介抱し始める。

「大丈夫だよ…!」
「お姉ちゃんが、悪いコウモリを退治したからね……」

 アスは母性を感じる微笑みで、女子二人を抱き締めている。
 この光景を見ていたリンは、眉をしかめながらボソリと呟き始める。

「アスちゃん……黒魔法使いですとは…」
「意外です……あんな優しい子が、黒魔法属性でしたなんて……」

(アレが黒魔法か……確かに物騒な魔法だ!)
(そして、アスが黒魔法使いとは……)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

処理中です...