大人しくて控えめの彼女なのに全然違った!!

小春かぜね

文字の大きさ
7 / 23

彼女の策略 (2)

しおりを挟む
「良輔・・・」
「何度も言うけど、わたし彼氏居るんだ・・・」

 何度聞いても衝撃的な言葉だ。
 頭が真っ白に成り、胸に何かが突き刺さる感じがして、そして、真央の言葉が思い浮かぶ。

『でも、私の見る限り、日生には彼氏は居ないと思うよ!』
『私もあの子とは付き合い長いからね~~!』
 でも、ここで真央を恨んでも仕方ない。

「あの言葉、やはり本当だったんだ」

「うん・・・」
「夏休みの短期アルバイトの時に、彼氏と知り合って、私のアルバイトの終わり頃、向こうから告白されたの・・・」

「そうなんだ・・・」

 夏休み。
 日生がアルバイトをしていたのは知ってはいたが、まさかそんな展開に成っているとは思いもよらなかった。
 もう、どうしたら良いか分らない・・・
 このまま『そうなんだ。ごめん』と言って立ち去るべきか、それとも食い下がるべきか。
 しかし日生は、この場では思いにも依らない言葉を言う。

「でも、一番好きなのは良輔だよ・・・」

「えっ」

 日生は悲しそうな笑顔で言う。
『好きなのは良輔だよ・・・』は嬉しいけど、素直に喜べない!

「・・・」

(なにそれ!)
(彼氏が居るのに俺の事好き? それって、二股じゃん!!)

 嬉しいような悲しいような感情。どうしたら良いんだろう? 
 今すぐ真央をここに連れて来たい!!

「日生ちゃん。真央には何て言ったの? さっきの事みんな話した?」
「でも、そうしたら真央はあそこまでからかえんよな?」
「俺、二股だもん」

「真央には言ってない・」

 また、衝撃の事実を聞かされる・・・何か嫌になってきた・・・

「今朝『言った』って言ったよね!」

 俺は問い詰める様に聞いてしまう。
 優しい言葉とか、思いやりとか、そんな余裕は今の俺には無い!!

「真央には良輔の事が好きとしか言ってない」
「彼氏の事も真央には一切話していない・・・」

「俺、昼ドラマの主人公の気分だわ・・・」

 俺は捨て台詞を吐くように言ってしまう。実際、昼ドラマは殆ど見た事無いが・・・

「そうだね・・・」

 そして、それを認める日生。彼女は昼ドラマを見ているのだろうか?
 だけど日生は、俺と真央を騙している。一体どうしたいのだろう?
 何が彼女をそうさせた!?

「日生ちゃん。授業もう間に合わないね」
「二人とも遅刻じゃなくて欠課だね」

「うん・・・」

 3時間目の授業は『情報』。まぁ、欠課になってもあまり大きな影響はないが・・・
 彼女の気持ちは分った・・・
 俺の事が好きでも、彼氏が居るという事が・・・。でも、これでは何も解決にならない。
 まず、どうしたいか日生の気持ちを聞いて見る。

「日生ちゃんはどうしたい・・・この関係?」

「どうしたい?」
「改めて友達・・・じゃ、流石にもうダメだよね?」

 関係を捨てたいと言った割にはえんを求めてくる。
 流石にこの子は何がしたいのか分からない。だけど、これが惚れた縁なのか?

「友達・・・。何か俺が告白した時と似ているね」

「有ったね!」

 告白した時も似たようなやり取りがあった。俺に好きと言った事で吹っ切れたのか・・・? 
 日生に笑顔が少しずつ戻って来ていた・・・
 ここは少し、妥協点を探ってみる。

「まあ、彼氏が居るなら、俺も下手に手出しは出来ないけど、日生はその人のこと本当に好きなの?」

 そうすると意外に日生は首を振る。

「好きじゃないの?」

 こくんと日生は首を頷く。

「別れようとは思わないの?」

「便利なんだ・・・」

 はっ? 何だ! その『便利なんだ』の言葉!? 便利屋さんか! 色々突っ込みたいが、もう少し深く聞いて見る。

「えっ、便利とは?」

「うん。彼氏年上なんだ・・・」
「車も持っていて、私の言うとおりに動いてくれる。なんか、もったないじゃん!」

 その言葉を聞いて俺は頭がクラッとする。
 俺の愛していた人が、まさかそんな子だったとは!?
 さっきの言葉も嫌な顔せずにスラスラ喋っていたから、恐らく本音だろう・・・

「でも、やっぱり好きなのは俺?」

「うん! 良輔が一番好き!!」
「だから、良輔とは卒業したら付き合いたい! それまでは友達で居よう!」

 満面の笑顔で答える日生。
 これが彼女の本性か・・・
 仮に卒業後、俺が日生と付き合っても本当に愛してくれるのか?
 アッシー君・貢ぐ君に為る可能性が非常に高い・・・

「だからね良輔。真央にはこの事言わないで!」
「真央、正義感強いから怒ると思う・・・」

「いや、俺でも怒るよ。いくら、相手から告白されたと言ってもその人が哀れだよ」

「そんな事無いよ!!」
「何時もニコニコ私の言う事聞いてくれるよ! 私の側に居るだけで幸せだって!!」

 ケロッと言う日生。もう、何が何だか分らなくなっていた。
 大人しい感じの女の子がここまで狡猾こうかつだと、何を信用して良いか解らなくなる。
 俺はこのまま日生との関係を続けて良いのか?
 それとも本性を見た以上、この子は捨てるべきか・・・

 俺の中では大きな決断が迫られていた。
 どの選択と結果が、お互い幸せになれるかの・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました! 「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

処理中です...