単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
26 / 167

第25話 咲子の考え その3

しおりを挟む
 ……

 俺は今日の仕事も無事終わり、何時も通り職場で風呂を済ませ、帰路に着こうとしていた。

(咲子のやつ、どうしているだろうな?)
(昨夜の事も有るし、まあ、一応留守番していてくれるんだから、手土産の一つでも買って帰るか)

 今日は特に何処かに寄る予定は無かったが、何時も夕飯等を買っている、近所のスーパーに寄る事にした。

 ☆

 スイーツコーナーでシュークリームと焼きプリンと、咲子の明日のお昼用にと思って、チルドピザを買って帰路に着く。
 昨日の時間より、10分位遅くアパートに到着する。
 車を定位置に止めて、駐車場からベランダの方を見ると、今日は明かりが付いていた。

(今日はもう料理を作り終えているのか? それとも、これからか?)

 トントンと階段を上っていき、玄関の鍵を開けて入る。入った瞬間『おぉ!』と心の中でときめいた!

(この匂い! まさかハンバーグ!!)
(でも、咲子は何も言ってなかったぞ!)

 少しウキウキ気分で靴を脱いでいると、咲子が玄関にやってくる。

「おかえり、お父さん!」

「ただいま、咲子。なぁ、この匂いって……」

「なんだとおもう~~」

 咲子は何故かニヤニヤ顔で聞いてくる。

「もう、ハンバーグしか無いよな!!」

「……」

「あれ? 違うの!?」
「だけど匂いからして、これしか無いはずだが!」

 すると咲子はクスッと笑う。

「お父さん~~。子どもみたい!」
「うん、今日はハンバーグ。それも私の手作り!!」

 手作りの部分を強調して言う咲子。

「へぇ~、咲子がハンバーグ作れるなんて知らなかったよ」

「うん、今日が初めて!」

「初めてでも、嬉しいよ」

「まぁ、まぁ。感動も良いけど、準備出来ているから、着替えてご飯にしょう!」

「うん、ありがと。あっ、後、これ……」

 俺は先ほど買ったスーパーのレジ袋を咲子に渡す。

「……? これは何?」

「デザートにシュークリームと焼きプリン買ってきた」
「後、そのピザは明日のお昼にでも食べて」

「わぁ。ありがとう~~」

 咲子は袋の中を覗き込みながらお礼を言う。

「咲子……昨日は悪かったな…」

「……? 何のこと?」

 私はあの事だなと直ぐに思ったけど、しらばっくれる。

「気分を悪くすることを言ったこと……」

「……別に気にしてないよ!」
「それより早く、ご飯、ご飯。私もお腹空いているんだから!」

 昨夜の事は杞憂きゆうで済んだみたいだ。俺は心の中でほっと息をつく。

「直ぐ着替えてくるよ」

「うん!」

 咲子の心の中……

(やっぱり、お母さんの言う通りだ!)
(食べ物でコロッと元通りに成った……。まあ、気にしていないは嘘なんだけどね。あれは建前上!)

(いい加減、私とお父さんの関係をはっきりさせないとな……まあ、でも、まずはご飯だ! 上手に出来ていると良いな♪)

 ……

『いただきます!』

 2人で食事前の挨拶をして、晩ご飯が始まる。
 ハンバーグの添え物に千切りキャベツ、ポテトサラダとマカロニサラダも添えて有り、更に味噌汁も付いており豪華なハンバーグ定食で有る。

 俺は何時もの様に発泡酒で喉を潤した後、早速ハンバーグに箸をつける。
 箸を入れた時、当然ファミレスのCM見たいに肉汁が『ブワッ』と吹き出したりはしない。
 焼き焦げた表面を箸で『ぐぃっ』と押し込んでハンバーグを切って、一口大にしたのを食べる……

「焼き加減も丁度良いし、母さんが作るのと同じ味がするよ」
「うん、美味しい。咲子ありがとう!」

「良かった。喜んで貰えて。まあ、こんなもんだよね!」
「うん!!」

 咲子もハンバーグを食べて、自分で納得して晩ご飯は進んでいく。

「咲子。サラダもダブルとは豪華だね!」

「1パックを別けると少なく成るし、それなら別の種類を混ぜた方が良いなと感じて!」

 その様に咲子は言う。
 俺はポテトサラダ、マカロニサラダの両方が好きだから、両方食べられてお得な気分だ!
 夕食も中盤に差し掛かった所で、俺のスマートフォンから電話の着信音が鳴る。

「あれ、ご飯時に誰だろう?」
「珍しいな」

 俺は近くに置いて有るスマートフォンを取り上げ着信名を見る。

「母さんか…」

『ピッ!』

「はい」

「あっ、お父さん! こんばんは!」

「はい、母さんこんばんは。どうしたの?」

「あのね。今週の週末、そちらに行こうかな~と、考えているのだけど大丈夫?」

「別に大丈夫だけど、急にどうしたの?」

「私は別に良いんだけど、真央が咲子に会いたいと急に言い出してね!」

「俺にじゃなくて、咲子にか……」
「まぁ、普段から、真央は咲子にべったりだからな……分かった。なら、準備しておくよ!」

「じゃあ、細かいことはメールで送るからお願いね♪」

「あっ、週末じゃ無くても、金曜日休みが貰えたから、そこからでも大丈夫だよ!」

「そうなの? じゃあ、金曜日に真央とそっちに行くね!」

「んっ、分かった!」

「……お父さんの所は、今日の晩ご飯は何なの?」

「母さん、聞いてよ! 」
「咲子が、態々ハンバーグ作ってくれたんだよ!」

「そうなんだ! 良かったね~~。大好物作って貰えて♪」

「あぁ、焼き加減も丁度良いし、咲子は本当に料理上手だよ!」

「ふふ、良かったわね♪」
「じゃあ、私達も今からご飯食べるから、じゃあね♪」

「あぁ……」

 俺はそう言って、スマートフォンの通話終了ボタンを押す。

「お母さんから?」

「うん。金曜日に、真央と一緒にこっちに来るんだって!」
「母さん。全然、来たがら無かったのに急にどうしたんだろうね?」
「真央が駄々こねたのかな?」

「さぁ?」
「それより、冷めても美味しいハンバーグだけど、冷め切っちゃう前に食べよ!」

「あぁ、そうだよな。折角咲子が作ってくれたんだから」

 ……

 そんなわけで母さんと真央が、金曜日にこちらに来ることに成った。
 宮子の名前は出てこなかったから、こちらには来ないのだろう。

 しかし、流石にこの部屋で4人泊るのは難しいから、恐らく日帰りに成るだろう。そうなると、その時に咲子も一緒に帰るのだろうか?
 そうなってしまうと、少し予定日よりも早くなりそうだが、それはそれで仕方ないかなと思った。
 金曜日に母さんと真央に会えることで、週末の楽しみが一気に出来た。週末が楽しみだ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

処理中です...