単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
28 / 167

第27話 お母さん来襲

しおりを挟む
 咲子の心の中……

 お母さん達がこの家に来ることが決まってから、お父さんは妙にウキウキしている。
 まあ、その要因を作ったのは私だし、お父さんとずっと一緒なのも色々な面で不安は有ったから、丁度良いかなと私も思っていた。

 水曜日、木曜日も家事と夏休みの課題をして、折角知らない町に来たのだから少し、周りの散策をして見たり、何時もとは違う生活を楽しんでいたら、もう木曜日の晩ご飯の時間。最近はこってり系料理が続いていたから、今日は魚料理を作ってみる。

 ……

「咲子。今日は鮭か!」

「そう。魚料理も作らないと行けないと思って、鮭の塩焼きにしてみた!」

 今日の晩ご飯は鮭の塩焼き、塩茹でしたアスパラガス、ほうれん草のお浸し、冷や奴で有る。塩茹でしたアスパラガスは、醤油マヨネーズを付けて食べるみたいだ。

「今日は完全に和食だね」

「こってり料理ばかりでは流石に体に悪いからね。バランスよく食べないと!」

「まあ、そうだな…」

 このようなメニューが嫌いでは無いが、少々さっぱりしている気がする。でも、咲子は俺の事を考えて作ってくれたんだろうと思い、心の中で留めておく。

 一緒に『いただきます』をして今日も晩ご飯が始まる。
 しばらく食べ進んでいくと咲子が聞いてくる。

「ねぇ、お母さん達。明日、何時頃来るの?」

「ああ、そのことはまだ言ってなかったな」
「夕方、母さんからメールが有ってな、明日の昼過ぎと書いて有った」
「駅に着いたら連絡すると書いて有ったから、咲子と同じ位の時間じゃ無いのかな?」

「えっ、昼過ぎなの!? ずいぶん遅くない?」

 咲子は少し、びっくりした口調で言う。

「そうなんだよな……。日帰りだったら、そんなに居られないからな…」

「いや、いや、お父さん」
「昼から来て日帰りは無いでしょ! 流石に!?」

「でも、4人がこの家に泊るには少々厳しいぞ。布団も2組しか無いし」

「私達みたいに、2人で1組なら十分だよ!」

「ん~、母さん、そう言う考えなのかな?」

「きっと、そうだよ!」
「ここまでの交通費も馬鹿にならないし、本当に日帰りだったらお金が勿体ないよ」

 お金が勿体ない……。咲子らしい発言だ。でも、その発言はちょっと『モヤッ』とするが聞き流す。

「でも、お母さんも具体的な日にちを書けば良いのにね!」

「まぁ、母さんもこの家に来るのは初めてだから、上手に状況が掴めて無いんじゃないのかな」

「そういうもんかな?」
「う~ん……」

「明日になれば分かるさ!」

「お父さん。それはちょっと楽観的過ぎ…」

(お父さんは、お母さんを妙に信じている部分が有るし、お母さんも時々、突発的な行動を取るからな)
(まあ、私はどうでも良いんだけど…)

 その後は普通に食事をして、何時も通りの生活をして、その日は終わった。

 ☆

 今日は金曜日。母さんと三女の真央が来る日。
 午前中は咲子と一緒に家事をして、母さんと真央を迎える準備をする。
 簡単な物で昼食を咲子と一緒に取っていると、スマートフォンから着信音が鳴る。俺はスマートフォンを操作すると、母さんからのメールだ。メールの内容を見る。

『お父さん、こんにちは (^_^)』
『今、真央と電車に乗っていてね、13時20分頃に駅に着くよ!』
『お迎えよろしくね! (*^_^*)』

 メールを見終わり、咲子にさっきの内容を伝える。

「咲子。お母さん達、13時20分に駅に着くって」

「あ~、やっぱり、昼過ぎなんだね…」

「母さんの中でも色々有るんだろう。掃除をしたり、買い物をしたりとか」

 何故か咲子は、ここでため息をつく。

「はぁ~、お父さんは優しいね…」

「えっ、どうして?」

「そこまで、お母さんを信用しているから…」

「でも、相手を信用しなければ何も始まらないぞ」

「私が言いたいのはそういった意味では無いから! あぁ、もう良いや!!」
「ごちそうさま! お父さんも早くご飯食べて!!」
「後片付けして、お母さん達迎えに行くよ!!」

 咲子がそう言って席を立ち、自分の食器を持ってさっさと台所に歩いて行く。俺は慌てて残りの昼食を掻き込んで咲子の後を追った……

 ☆

 母さん達が駅に着く大体10分前、俺と咲子は母さん達を迎えるために駅に着いた。

「咲子を迎えに来た時を思い出すよ。まさか、母さん達も迎えに来るとは思っても居なかったよ」

「はい、はい、それは良かったね。そんなニコニコ顔で言わないでよ。こっちが恥ずかしいよ///」

 咲子はそう言いながら俺と少し距離を開ける。でも、嬉しいのだから仕方ない。
 母さん達と会った後の予定を色々考えながら、母さん達を待つので有った。

 ……

 咲子と駅の改札付近で待っていると、スマートフォンから着信音が鳴る。

「母さんからかな?」

 スマートフォンを操作するとやはり、母さんからのメールだ。メールの内容を見る。

『こんにちは!』
『もうすぐそっちに着く予定だったけど、車内で急病人が出て○×駅で止まっているの(>_<)』
『しばらくしたら動くと思うけど、遅れるね(^_^;)』

「……」

「ねぇ、やっぱりお母さんから?」
「……どうしたのお父さん? じっとスマートフォンを見ていて…」

「何か、急病人が出て、○×駅で電車止まっているんだって。それで遅れると…」

「あっ、そっかぁ……まあ、しょうがないよね」

「あぁ……、どうしようも無いもんな」

 急病人対応なら、それほど待たされる事は無いと思って、そのまま改札付近で待つことにした。
 しばらくすると駅の構内アナウンスで、電車の遅延が放送されていた。

「お父さん、暇だね……」

「そうだな。だけど、もうすぐ来るよ」

 ……

 到着時刻の約10分遅れで、母さん達が乗っている電車が駅に到着した。

「あっ、お母さんと真央だ!」

 改札からゾロゾロ出てくる人混みの中から、素早く母さん達を見つける咲子。母さんは片手に、大きなビニール袋を持っている。
 その声に気付いたか、真央も『咲子お姉ちゃん~』と声を上げていた。
 改札を出た真央が早速、咲子の方に向かって来ると言うべきか突進してきた。

「咲子お姉ちゃん~~」

 真央は飛びつく様な勢いで咲子に向かっていく。

「うぁ! おっとっと!!」

 咲子は不意を突かれたのか、真央に抱きつかれた時に少しよろめく。
 俺的には咲子に飛びつくより、俺に飛びついて欲しかった気がするが、仲が良い証拠だと思うことにした。

「もう、真央!」
「急に飛びついて来ないで!!」

「だって、寂しかっただもん。それに、咲子お姉ちゃんだけ、遊びに行ってずるいんだもん!」

「だって、真央はクラブ活動有るんだから仕方ないって……。大丈夫なのクラブ活動?」

「うん。お盆休みだって!」

「えっ、そうなの? 本当、お母さん?」

「ええ、そうよ。真央の言う通りよ♪」
「例年の地区予選も1回戦負けしてしまったし、今年は暑すぎるから、しばらくお盆休みにしたらしいの」

「へぇ~~」

 少々驚いている咲子。
 真央は少々、小柄の子だが、屋外の地域クラブ活動に入っている。
 其所のクラブ活動は試合に勝つことが目的で無く、あくまでクラブ活動を楽しむ事が目的らしい。おかげで試合は毎回初戦敗退らしいが……

 まぁ、たしかに今年は例年より暑いし、熱中症等にでも掛かったら色々問題が起こるから、有る意味賢明な判断だろうと感じた。

 咲子と真央は、何か2人で話をしているようだ。俺はそれを眺めつつ……、母さんの方に向きを変えて話し掛ける。

「まぁ、災難だったね」

「えっ? あぁ、さっきの事ね。まあ、仕方ないよ!」

 母さんは特に気にしてないようだ。

「母さん達の方はどう? 何も変わってない?」

「ええ、何時もと同じよ。お父さんの方は、咲子が居るから色々大変でしょう!」
「それに、色々気に掛けているんでしょ!」

「メールの通りだよ。数日は戸惑ったが、今はもう慣れたよ」

「あらま、それは良かったね。少し心配したけど、私はお邪魔虫だったかな♪」

 母さんは悪戯いたずらっぽく言いながら話す。

(あぁ。やっぱり、母さんを見ていると40代前半とは思えないな。俺の中では、まだまだ十分に行けるよ!!)

 世間話やお互いの近況を話し合う。そうすると何かを察知したのか、咲子が『グィっ』と俺の服を急に引っ張ってきた。

「ねぇ、こんな暑い所で話し込まないで、どうせ話すなら家に戻ろうよ!」
「あっ、後、真央が喉渇いたって!」

「お母さん。私(真央)、喉渇いた。ジュース欲しい!」

「まぁ、それもそうだな」
「それと真央が喉渇いたか。まあ、今日も暑いし。帰りにコンビニ寄るか……でも家は狭いからな」

「ねぇ、お父さん」
「久しぶりにみんなで、ファミレスでも行こうか♪」

「えっ、母さん……でも、ファミレスに入ったら、その大丈夫か?」

『大丈夫か?』はお金の事で有る。咲子の倹約家の親分、母さんだからな。

「たまには良いでしょう! お父さんも頑張ってくれてるし、お盆だし!!」
「それにさっきも電車内でも、真央と一緒に『冷たい物食べたいね!』と話していたし」

「お母さん! ファミレス行くの!?」
「やった~、真央ファミレスだって!」

「わ~い!」

 ファミレスと聞いて、はしゃいでいる咲子と真央。人目の着く改札付近なのに……

「お父さん! 決まりだね!!」

 母さんはニッコリ微笑む。

 ……

 アパートに向かう前に、ファミレスに涼みに行く事に成った。
 母さんが手に持っていた大きな袋が気になったので、聞いて見たらタオルケットらしい。布団が2組有るのは知ってたけど、万が一に備えて持って来たらしい。
 生もの系統の食品は持って来て無いので、駅からそのまま近くのファミレスに向かうことに成った。
 こうして新たに母さんと真央が加わった、少しばかりの本来の生活が始まりだした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...