単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第29話 晩ご飯の献立

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 何時も行っているスーパーに着いた俺と母さん達は、店内を歩きながら晩ご飯の相談をしている。

「ねぇ、お父さんは何を食べたいかな?」
「お父さんの希望を叶えるよ♪」

 母さんは笑顔で言いながら、俺に優先的にリクエストに聞いてくれる。

「そうだな……今日も暑いけど、やっぱり、こってり系が良いな」

「うゆ、こってり系?」
「でも、今は咲子がご飯作っているから、こってり系は十分に食べていない? 咲子もこってり系は好きだし…」

「まあ、それもそうだけど、昨夜はさっぱり系だったから…」

「そうなの? 咲子?」

 俺の言葉を信用していないのか、母さんは咲子に聞いている。

「うん! さっぱりだよ!!」
「魚だったし、冷や奴だったし……」

 最初は元気良く喋っていた咲子だが、最後の方は小声に成っていく……
 自信が無いのだろうか?
 しかし、母さんは……

「う~ん。なら、こってり系でも問題ないか」

 俺の体を気遣っているのか、管理しているのかは不明だが、今日の晩ご飯は、こってり系料理に決まりそうだ。

「なら、こってり系は何が良い? 成るべく簡単ので…」

「そうだね…」

 先ほど、ファミレスで飲みたかったビールがここで再び思い出される。夏に飲むビールは最高だ! おつまみも当然欲しい!!
 夏のビールの定番おつまみと言えば、枝豆と出てくるが、俺はそこまで枝豆が好きでは無い。

 次に出てくる定番は、プリッ、プリッのウィンナーだ! ボイル(茹でた)したウィンナーにマスタードを付けてかじりつく!! 
 ビールのおつまみに持って来いだが、ウィンナーをおかずのメインにするのは、咲子や真央が嫌がるかも知れない……
 焼き餃子も良いけどここはやはり、ビールのおつまみと言えば、俺の中では“春夏秋冬”これしか無い!

「鳥の唐揚げが食べたいな~」
「夏の暑い日はビールをグッと飲って、唐揚げを頬張る~~」
「たまらんよ~~」

「あっ、鳥から良いね!」
「ご飯やジュースにも合うし!!」
 
 俺の発言の後、咲子もつられて言う。

「じゃあ、今日は鳥の唐揚げにする?」
「真央はどう?」

 母さんはちゃんと真央にも聞いている。

「私もから揚げが良い!!」
「から揚食べたい!!」

「みんなの希望が揃った事で、決まりだね! 今日は何処のメーカーにしようか?」
「○の素、○チ○イ、マ○ハニ○ロ、まあ、お値段の事考えればPB(プライベート商品)だけどね!」
「あっ、でも、このスーパーPB有るのかな?」

「えっ、えっ、母さん。冷凍食品なの!?」

 俺は定番のメーカーを聞いて少々焦る。
 母さんの手作り鳥唐揚げの意味で言ったのに、母さんは冷凍食品の鶏の唐揚げと捉えている。

「うん?」
「この暑い時期……」
「更に私(母さん)には初めての台所で、揚げ物を作れ!! と言うのかな……?」

 やさしい口調で話している母さんだが、所々怒っている口調も入り、母さんのこめかみ部分に、何故か怒りマークが付いているようにも見える。

「いっ、いや。普段の晩ご飯なら、それも良いかも知れないが、折角みんなが揃っているんだし、どうせなら手作りの方が良いのじゃ無いのかな…」

 すると母さんは、ここで少しため息をつく。

「そりゃあ~~、お父さんの言いたい事も分かるけど……だけどね、4人分の主菜+副菜。更に初めての台所で、いきなりの揚げ物は少しハードルが高すぎるよ!」

 母さんが言うのはもっともだ。
 俺の住んでいるアパートの台所は、普段母さん達が使っている台所と比べれば当然だが狭い。俺と咲子の2人分ならまだ良いが、4人分と成ると厳しいのは少し考えれば解る事だ。

「ごめん、母さん。やはり手作りは厳しいな。仕方無いが……」

 と言おうとした時、咲子が割って入ってくる。

「ねぇ、お母さん。私はお父さんの台所で何日か料理したけど、唐揚げは作れそうだよ!」
「ガスコンロも温度センサーが付いているまずまずのタイプだし、流石に台所は狭いけど、みんなで分担すれば出来そうだよ!」

「大きなお鍋やボウルも有るし、油や調味料も大体私が把握しているから大丈夫だよ!」
「ねぇ、真央? 手作りの唐揚げ食べたいよね!!」

「うん! 咲子お姉ちゃん。手作り唐揚げ食べたい!!」

「もう~、しょうがないわね!」
「なら、みんなが手伝う条件で、今日は唐揚げを作りましょうか♪」

 母さんは、やれやれの感じで喋っているが、最後の方は嬉しそうに喋っていた。
 鶏の唐揚げは、みんなの大好物なので、鶏肉も唐揚げ4人分と成ると結構な量を買う事に成る。

「サラダはどうしようかな?」

 母さんがそう呟いていると……

「お母さん! キャベツはお父さんの家にも有るよ!!」

「そう」
「じゃあ、キャベツは千切りにして、咲子。マカロニ茹でられるよね?」

「マカロニ? 平気だよ!」
「この前、そうめん茹でたけど上手に出来たし!!」

「ふむ。千切りキャベツとマカロニサラダと……。汁物は流石に作る場所無いよね…」

「母さん。汁物はインスタントの味噌汁が買い置きして有るから、それを代用したら?」

「そう? じゃあ、そうするね!」
「じゃあ、後必要な物は…」

 母さんは咲子に聞きながら、必要な物をドンドン買物カゴに入れていく。俺と真央は、母さん達の後ろを只、付いて行くだけだ。
 晩ご飯に必要な材料と、母さん達が食べるので有ろう、お菓子やジュースも含めて買物を済ませる。
 車に荷物を積み込んで出発しようとしたと時、母さんが『あっ!』と声を上げる。

「お父さん、お父さん! 私(母さん)と真央の食器無いよね!!」

「大丈夫だよ!」
「使い捨て容器だけど準備して有るから。コップもプラスチックだけど用意して有るよ!」

「そう!」
「流石お父さん!! 気が利く~~♪」

『いや、いや、お父さん。昼から来て日帰りは無いでしょ流石に!?』と咲子が言った、言葉通りに成った時に備えて、今日の午前中に急いで買って来て置いたのだ。
 本当の日帰りだったら必要は殆ど無いが、使い捨て容器は有れば便利だから不自由は無い。

 今からアパートに戻っても、まだ晩ご飯作りには少し早い。それまでの間。母さん達にはくつろいで貰おうと考えながら、車を発進させた。

 アパートの駐車場に車を止めて、スーパーで買った荷物と母さん達が持ってきた荷物をそれぞれが持って部屋に入る。
 俺は軽く部屋の中を母さんと真央に説明する。その間咲子には、買って来た食材を冷蔵庫に閉まって貰っている。しかし、真央は詰まらないと感じたのか直ぐに咲子の方に行ってしまった。

「―――って感じ!」

「意外に部屋広いね。聞いていた通り内装も綺麗だし、単身向けより新婚向けだね!」

「そうだよね。備え付けの冷蔵庫も1人向けでは無いし、そうかもね」
「まあ、会社が借りてくれた物件だけど、不自由なく暮らしているよ!」

 母さんに部屋の説明を終えた後は、居間にしている部屋に案内して、俺は麦茶を用意する。人数分の座布団(クッション)は午前中に用意して置いた。
 不必要な物は、寝室にしている部屋や押し入れに閉まったが、それでも6畳の部屋に4人が入ると流石に狭く感じる。咲子は真央と一緒に洗濯物を取り込んで畳んでいた。

「はい、母さん。麦茶」
「咲子と真央のもテーブル(座卓)に置いておくよ!」

「ありがと~♪」
「は~い!」

 それぞれが返事をする。
 母さんは麦茶を一口付けて一息つくと……

「結構、頑張っているわね咲子…」

「あぁ、少し頑張りすぎだよ。本来はお客さんなのに…」

「あら?」
「じゃあ、私や真央もお客さん?」

「まあ、ここのヌシは父さんだからな!」

「へぇ~~。なら今日の晩ご飯は、やっぱり全部、お父さんに作って貰おうかな♪」
「お父さん以外は、私達お客さんだし♪」

「そっ、それは、ちょっと……」

「ふふ、冗談よ♪」
「本当に咲子1人で行かせて、色々な面で私も心配していたけど、このままずっと居て貰った方が、お父さん的には助かるんじゃ無い?」

「そりゃあ、まぁ。……今の家事は、殆ど咲子がやってくれているから非常に助かるけど、もう少ししたら二学期も始まるし…」

「いっそ、こっちの学校に咲子を転校させちゃえば?」

 母さんは冗談で有ると思うが、とんでもない提案をしてくる。

「だっ、大丈夫だよ。そんな大変な事させなくても、もうすぐこの単身赴任も終わるはずだから…」

「あら、そう?」
「良い提案だと思ったのに…」

 母さんは、あららの表情しながら麦茶を飲む。
 母さんは時々、とんでもない事をサラッと言うからな。こう言った、微妙な事も平気で口に出す。家の中だけでの発言で済んでれば良いのだが……
 話を切り替えるために、俺は聞かなくては行けない事を聞く。

「えっと……それで、母さん達の予定はどの様で?」

「あぁ、それね!」
「今晩は泊まるけど、明日はどうしようかなと…」

「何か用事有るの?」

「別に無いけど、お父さんも月曜日から仕事でしょ?」
「それなら、明日の夕方には戻ろうかなと考えているの」

「それなら平気だよ!」
「一応、月曜日は休むかもと、会社には伝えて有るから!」

「へぇ~、意外に良心的だね!」
「応援派遣なのに!!」

「本来、1~2ヶ月の約束が伸びて居るんだから、仕方無いと感じて居るのじゃ無いかな」

「なら、日曜日の午前中までは、お邪魔させて貰おうかな?」
「折角、お父さんの所に来た訳だし♪」

「そうしてくれると嬉しいよ!」

 こうして、母さんと真央は、日曜日の午前中まではこちらに居る事に成った。咲子の事は聞きそびれてしまったが……
 洗濯物を畳み終えた咲子と真央も、テーブルに合流して話に加わった。晩ご飯の準備までの時間。再び談笑が始まった。
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