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第十五話逃走中

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あそこだ!
俺はルイがいるであろう爆発地点へと走っていた。
バン!!
「ルイ!」
扉を勢いよく開け部屋の真ん中あたりを見るみんな飛ばされたのかとても静かで先程の爆発で部屋の原型がほぼ無く、砂埃が立っていてルイの安否が全く分からなかった。
嘘だろ...このでかい範囲爆発じゃ...ルイはもう...
俺が絶望しかけていると先程の砂埃が晴れてきていて、その中には初めて会った時よりも死にかけているルイフェス・ノア・ユハイドの姿があった。
「こ、幸輝...」
俺はそれに気づくなり!顔を真っ青にして駆け寄った。
「ルイ!!!」
ルイはまだかろうじて息があり、意識もある状態だったがその命の灯火ももうすぐ消え去りそうなほど弱っていた。
「あはは...ちょっと防御魔法かけたんだけど失敗しちゃって...」
「わかった...わかったからもう喋るな。すぐに回復してやるから」
俺がルイに回復魔法をかけようとすると背中に激痛が走った。痛みを我慢しながら振り返ると背中に矢が刺さっていた。
こんぐらいなら我慢なんて余裕だ...。ウッ
そう思った瞬間体から力が抜けた。
「ふははははは!!ユハイドの聖者を殺してやったぞ!」
な、なんだ!?
「ふふふっ!!あの矢にはドラゴンでも死ぬという猛毒が塗ってあるのだ!!聖者が手に入らぬのなら殺してしまえばユハイドは終わりだ!!この世界はアーネスト皇国のクライヴ・アーネスト様のものだ!!」
そこには俺に矢を放ったであろう魔法士らしきローブを纏っている弓矢を持った奴が不気味に大笑いをして立っていた。
ま...まさか..さっきの矢は毒...!?
このピンチの打開策を考えようとしている中、
俺の意識はだんだんと暗闇へと誘われていった。
う...せ...せめてルイだけ...で...も...
俺は最後の力を振り絞り上級回復魔法でルイを回復させた。
こ..これでルイはなんとかなるはず...。はは...短い異世界生活だったなぁ...まさかこの世界での俺の最後が毒やだとは...。こんな死に方するなら俺の世界で残業してジジイになってから死んだ方がマシだ...。まあ...この世界でも色々楽しかったよ...また会おうな...ル....イ...
そして俺の意識は完全に消え去った...
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