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第十六話戦争

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夢を見た。この世界に来る前の、子供の頃の幸せだった夢。なぜ今そんな夢を見たのかは分からなかった。目が覚めると見覚えがある天井が見えた。俺はいつのまにか泣いていたようで自分の涙が頬を伝って流れていた。
「なんで俺泣いてんだ?」
涙を拭い周りを見回すと今は夜なのだろうか、月明かりが布団のそばで眠っているルイに当たっていた。よく見ると、ルイの身体には包帯が巻かれていた。
...上級回復してもこれか...。あのときもっと周り気をつけていれば...
そんなことを考えているとルイが目を覚まし、俺と目が合った。
「ん...?幸輝?...幸輝!!」
ルイは思い出したかのように跳ね起き、心配そうに俺を見つめた。
「大..丈夫?」
「まあ...なんとか」
ルイの質問に俺は苦笑いをして答えた。
「よかった...。受けた毒が強かったのか処置が遅かったのかで5日も眠ったままだったんだよ」
「そうか...あれからどうなった?」
俺が倒れた後、上級回復によって回復したルイは爆発の煙幕と混乱に紛れて多少攻撃を受けながらも俺を担いで逃げたようだ。途中、死角からの攻撃で命を落としそうになったが、ギリギリのところでユハイド王国の兵たちが間に合い、難を逃れたようだ。そして、このことがきっかけとなり、もともと仲が良くなかったアーネスト皇国と、戦争が始まったようだ。戦争といっても、俺がいた国の昔の戦争のような感じではなく、魔法やザ!ファンタジーというような感じの戦争らしかった。また、この戦争はユハイド王国とアーネスト皇国だけにおさまらず、ユハイド王国派とアーネスト皇国派の間でも戦争が始まっているようだった。ちなみに俺が受けた毒はなくなりきれてなく、まだ安静が必要なようだった。
まあ、解毒魔法で直したけど。後々考えると俺を先に解毒してからルイを回復した方が良かったと思うがまあ、終わりよければすべてよしだ
そんなことを話していると国王の側近が入ってきた。話を聞くと、この時間は王は寝ているため代わりに自分が来たとのこと。重要なことは国王本人から聞くらしく、明日また国王と一緒に来るようだった。
話が終わり、側近が出ていくと、5日も眠ったはずなのに眠気が襲ってきた。
あ~眠い...そういえば今更だけどこの世界に時計ってあんのかな...。まいいや、寝よ
そして俺とルイはまた深い眠りにつき始めた。次の日に起きた時には、まだ朝日が登り始めたばかりの時間だった。
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