魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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第2章

第1話 工作の魔女②

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「だーかーら!ついてくるなって言ってるでしょうが!」
「俺だって、久々に柔らかい布団の中に入りたいよ」
「ウソつくな!夜這いする気満々だろうが!」
 しぶしぶとアキセと歩きながら、町に着くが人気がなかった。夜になり、外出する人間が減ったわけではない。街灯と家からの灯りだけで、人声が一斉しなかった。妙な静けさがする。
 ジャンヌは溜息を吐く。
「これどう考えても魔女のテリトリーに入ったかも・・・」
 頭が痛くなる。
「なんで、分かるんだよ」
「経験上、人気のない町は魔女が住んでいるの」
 魔女は人気のない、廃れた場所に住むもある。
「だったら、もう脱出した方がいいんじゃないのか」
「言われなくてもするわよ」
 引き返して、出口に向かおうとした時だった。
 突然地面が大きく揺れる。
「何!」
 まともに立てられないほどの揺れ。
 ジャンヌとアキセは低く姿勢を取る。
大きい揺れと共にドーンと大きい音がした。その音は町の境界線から壁が伸び、町を包み込む。
 月明かりが遮断されたことで揺れが治まった。


「そう簡単に出させてくれないか」
 ジャンヌとアキセは、首が痛くなるほど伸びている壁を眺めていた。
「ここまでするなんて手間かけたものね」
「どれどれ」
 アキセは足元にあった石を拾い、壁に向かってポイっと投げる。石が壁につく前に壁から雷が発生し、石を砂に粉砕する。
「やっぱりね」
 やはりただの壁ではなかった。
「対策までしっかりしてる」
「これは『呪い』で作ったわけじゃなさそうね」
『呪い』で作ったモノであれば、触れただけで浄化され、消えるものだか。
「こんなの聖女のバカ力でなんとかならないのか」
 アキセはからかうような顔で訊いてくる。
 そうはいくか。
「私は魔女専門なんで。何。こんな壁を空けられないほど、魔術は廃れているのね」
 魔術は多くの技術を生み出した。しかし、しょかんの魔女ラプラス・ライブラーによって技術は奪われた。上等な技術は残っていない。
「おいおいその手には乗らないぞ」
「そうなのか。聖女の力を貸せないほど魔術は使えないちっぽけな知恵の塊だってことね」
 冷ややかに言う。
「こんな使えない魔術を使う魔術師の気がしれないわ」
「ん?」
「じゃあ仕方がない。やって上げるよ。これで消耗して魔女が現れたら、その魔術で助けてもらうのか。何も便りにならない魔術師に」
ジャンヌの肩にアキセが掴んだ。
「いいか。いくらラプラスに魔術を盗まれたからって、そこまで衰退していない。上級魔術を使わなくても、組み合わせ次第で上等な魔術ができるんだ。なめては困る」
 アキセが反論してきた。
「だったら、あの壁を壊して証明見せてよ。だったら少し考え直してあげる」
「たく」
 ジャンヌの思惑に気付いたのか、アキセが悪態をつく。
「ちゃんと目に焼き付けておけよ」
「はいはい」
 アキセが指飾りをつけ、陣を描く時だった。
 壁から飛び出した銃が打つ。アキセは咄嗟に後ろへ下がったことで回避した。
「おい、まだ何もしていないぞ!」とアキセは壁に向かって叫ぶ。
「ちゃんと狙っていたわね」
――ち、ちゃんと狙ってよ
 この壁は防止策し、壊すこともできない。つまり。
「は~結局、魔女を退治しないといけないのね」
 溜息交じりで言うジャンヌは、結局この展開になるのかと呆れた時だった。
 もの音がした。音のした方へ向く。家の陰から人形の兵士が、手と足を同時に動かし、リズムを崩さず歩いてくる。ただ一体だけではなかった。10体集まり、数が揃ったのか、一斉にジャンヌとアキセに視線を向けてきた。よく見れば、片手に持っていた銃を構えてきた。
「さっそくお出ましか」
 ジャンヌはロザリオを取り出そうとしたが。
「見つけたぞ!アキセ・リーガン!」
 唐突に子供の声が響いた。少し枯れたような幼い声。口調が強かったため、怒っているようだ。
「あんた。指名されているけど…」
 アキセに冷たい目線を向ける。
「ん~この特徴的な声、聴いたことあるような…」
 バン!
 アキセの横で弾が通り、後ろを向けば、小さく焦げた跡から細い煙が立っていた。人形の兵士の一体がアキセに打ってきた。
「とぼけるな!」
「思い出した。コルンだ!」
「思い出した~じゃない!」
 呑気に言うアキセにコルンはすかさず突っ込む。
 人間や魔族で作れるような技術ではない。考えられるのは一つだけ。
「まさかかと思うけど、魔女じゃないでしょうね」
 ジャンヌはジト目でアキセを見る。
「正解!」
 アキセはヘラヘラと答える。
 バンバン!
 人形の兵士が銃を撃ってきた。ジャンヌとアキセはすかさず建物のモノ陰に隠れる。
「何、私を巻き込ませるのよ」
「俺もコルンがここまでやるとは思わなかった」
 こいつとは本当に絡みたくない。ここ最近でろくなことがない。
「おまえだな!アキセの彼女か!」
――え、何?彼女?誰の?
「はああああああああああああああああああああ?!」
 爆発が起きたように低い声を上げながら、顔を歪むほどしかめ、振り返る。
「ちょっと!彼女って!」
 銃声に負けないように声を上げる。
「おまえが聖女の彼女ができたからって怖がるが!バーカ!ここで殺してやる!」
 コルンと呼ぶ魔女は、聴き耳を持たず、それきり途絶える。
 胸糞が晴れないので、ジャンヌはすかさずアキセの胸蔵を掴む。
「ちょっと!彼女ってどういうことよ!」
「いや、ジャンヌさん。今そういうことをしている場合では…」
 銃声が止むことなく響く。
「も~バンバン、うるさいわね!」
 ジャンヌは、胸蔵を掴んだアキセを人形の兵士に向かって投げる。
「ちょ!」
 人形の兵士がアキセに銃を向ける。
 人形の兵士の視界にとらえない速さで走り、光の刃を作ったロザリオで切りつける。
 あ~と情けない声を上げながらアキセが地面に落ちた時には、人形の兵士はバラバラに分解する。
 ジャンヌはアキセに近づく。
「いててて。ジャンヌ~これはひどくねえかっ!」
 ジャンヌはアキセの胸を踏み、ロザリオを下に向け、アキセの顔に向ける。
「話せ!彼女になっていることとあのコルンのことも!」
 顔を崩れるほど、にらみつけるジャンヌにアキセは冷や汗をかく。
「分かりましたから!まずその刃を収めてください!」
 
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