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第2章
第2話 女の国 前半③
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まさか堂々と城に入るとは思わなかった。
確かにこの国の権力者と協力すれば、手っ取り早い。権力があるほど人は、図に乗ってしまう。ジャンヌはそんな相手と面倒くさくて、関わりたくない。
魔女を退治に来たと言えば、城に入れてくれた。
アガタの考えでは、この国に魔女の体を保管していれば、聖女を入れてくれないと思ったが、城に入れてくれた。この様子では知らないのか、それともわざわざ知って悟られないようにしているのか。まだ安心はできない。
女王がいる玉座まで案内された。顔を見上げるほどの大きいステンドグラスの窓を背後の玉座にこの国の女王が座っている。
女王は20代後半くらい。長い茶髪に緑色の目。ドレスを着ていた。
「あなたは、この国の女王様でいらっしゃいますか」
アガタは女王に質問した。もうアガタに全部任せることにした。
――もう面倒くさい。もう好き勝手にやって。
「ええ。54代目のクレア・エディソンと申します。聖女様がいらっしゃったというには、最近の事件は、魔女が原因のようですね」
「はい、女王のおっしゃる通りで」
アガタは笑顔で返す。
「早速で申し訳ないですか。私たちは魔女狩りに専念したいので、この国の権限をもらっていただければ、颯爽と解決しますよ」
「いいでしょう。この国の安寧のためです。できる限り協力をしましょう」
「ありがとうございます」
アガタが一礼したので、つられて一礼した。
「失礼ながらもう一つ」とアガタが問いかける。
「女王様。この国に魔女の頭があるという噂ご存知でしたか」
アガタが率直に言う。
――そんな堂々に
クレア女王は、表情を何一つ変えなかった。
「その噂は初めて訊きました。まさかそれが原因で魔女が来たとお考えですか」
クレア女王も知らない。
「まだ確定ではないですが、視野に入れていますので」
「そうか・・・」
クレア女王が少し黙り込む。
「女王様」
唐突に別の声が入ってきた。短い金髪で長身。正装な格好をした美麗な女性だった。
「サッフォーか」
「明日、講演がございます。護衛を依頼してはよろしいかと」
「聖女様は・・・」
「いいですよ」
アガタは即答で返す。
「助かります。今夜はこちらで泊まるとよい」
クレア女王は言う。
「ありがとうございます」
今夜の寝床は決まったようだ。
侍女に案内された客人用の部屋に休んでいた時だった。
「まさか、堂々と訊くとは思わなかったけど」
アガタはクレア女王の前で堂々と噂を訊いた。少し肝を冷やす。
「あそこまで言えば、何かしら起こるさ」
聖女の来日、噂できたとすれば、何かしら行動が起きると考えたんだろう。
「さて、ジャンヌ。今のところ見て、思ったことを言いな」
椅子に座っていたアガタがジャンヌに問いかけた。
「ここでいいんですか?」
この城に隠しドアで誰かに聞かれる場合もある。まだ本音を言いたくはないが。
「いいのいいの」
アガタの陽気さに溜息を吐く。
「女王ははっきり決められないですね。知らないと言っていましたけど、本音なのか微妙ですし。この国って血縁制ではない選挙制じゃないですか。すぐに代替わりもするし、頻繁に人も変わっている。女王に訊くより、ベテランな方に訊いた方が早いと思いますけどね」
「なるほどね。もう少しなんだけどね」
「何がですか」
アガタは肝心なところを言わない。いつも試されているところが嫌になる。
「まだ言えない。僕もまだ推測でしかないから」
「そうですか」
ぶっきらぼうに言う。
「もし魔女が仕掛けるとしたら」
アガタが問いかける。
「明日の講演会でしょうね」
ジャンヌは答えた。
「明日現れなかったら、次を考えよう」
その時だった。外がやけに騒がしくなっていた。
「なんだろう?」
ジャンヌとアガタは部屋を出る。
廊下に騎士たちが走っていた。
「何かあったんですか」
アガタが通りかかった騎士に話かける。
「男どもが脱走しました」
「男?」
「野蛮な男もいます。確保しなければ」
騎士は走っていく。
「野蛮な男ね」
この国は、男は奴隷と変わらない。女から虐待を受けている。女に恨みを持つ男もいるだろう。
「この国はよっぽど男が嫌いなようですね」
「仕方ないさ」
アガタは肩をすくめる。
「この国の成り立ちを知ってしまうとね。この国にいる以上、ルールに従わないと。僕はとりあえず、女王の元に行くから、ジャンヌは手伝いに行きな」
「魔女とは関係ないですよね」
面倒くさいから。
「魔女かもしれないだろう。一応借りを作らないとね」
「はいはい」
やる気のない返事をし、廊下を走る。
城と城壁の間に庭が広がっていた。
この城に抜けるには、門を通るしかない。騎士たちも門前で構えていた。
城の中であちこち探すよりも、逃げ道で待っていればいずれ現れる。ジャンヌは木の上で待ちくせをすることにした。
これはさぼっていはいない。待ちくせである。
その数分後。予想通り。男が現れた。
「見つけた」
下へ降りる。
「悪いけど、この国に従って捕まってくれないかな」
フードをかぶっていて、顔がよく見えなかった。
「もしかして・・・聖女・・・です・・か?」
男は、言葉を詰まりながら言う。
「聖女だとしても、見逃すつもりないわ」
「あの・・・助けて下さい!」
「はあ?」
男は縋り付いてきた。
「実は・・・」
男が言いかけた時だった。
「聖女様!」
背後から騎士団が走ってくる。男も尻物狂いで出口へ走る。
「待っ!」
突如風が吹きかける。風の中で鈴の音が鳴った。
「鈴?」
風が止んだ時には、脱走犯の姿がなかった。
確かにこの国の権力者と協力すれば、手っ取り早い。権力があるほど人は、図に乗ってしまう。ジャンヌはそんな相手と面倒くさくて、関わりたくない。
魔女を退治に来たと言えば、城に入れてくれた。
アガタの考えでは、この国に魔女の体を保管していれば、聖女を入れてくれないと思ったが、城に入れてくれた。この様子では知らないのか、それともわざわざ知って悟られないようにしているのか。まだ安心はできない。
女王がいる玉座まで案内された。顔を見上げるほどの大きいステンドグラスの窓を背後の玉座にこの国の女王が座っている。
女王は20代後半くらい。長い茶髪に緑色の目。ドレスを着ていた。
「あなたは、この国の女王様でいらっしゃいますか」
アガタは女王に質問した。もうアガタに全部任せることにした。
――もう面倒くさい。もう好き勝手にやって。
「ええ。54代目のクレア・エディソンと申します。聖女様がいらっしゃったというには、最近の事件は、魔女が原因のようですね」
「はい、女王のおっしゃる通りで」
アガタは笑顔で返す。
「早速で申し訳ないですか。私たちは魔女狩りに専念したいので、この国の権限をもらっていただければ、颯爽と解決しますよ」
「いいでしょう。この国の安寧のためです。できる限り協力をしましょう」
「ありがとうございます」
アガタが一礼したので、つられて一礼した。
「失礼ながらもう一つ」とアガタが問いかける。
「女王様。この国に魔女の頭があるという噂ご存知でしたか」
アガタが率直に言う。
――そんな堂々に
クレア女王は、表情を何一つ変えなかった。
「その噂は初めて訊きました。まさかそれが原因で魔女が来たとお考えですか」
クレア女王も知らない。
「まだ確定ではないですが、視野に入れていますので」
「そうか・・・」
クレア女王が少し黙り込む。
「女王様」
唐突に別の声が入ってきた。短い金髪で長身。正装な格好をした美麗な女性だった。
「サッフォーか」
「明日、講演がございます。護衛を依頼してはよろしいかと」
「聖女様は・・・」
「いいですよ」
アガタは即答で返す。
「助かります。今夜はこちらで泊まるとよい」
クレア女王は言う。
「ありがとうございます」
今夜の寝床は決まったようだ。
侍女に案内された客人用の部屋に休んでいた時だった。
「まさか、堂々と訊くとは思わなかったけど」
アガタはクレア女王の前で堂々と噂を訊いた。少し肝を冷やす。
「あそこまで言えば、何かしら起こるさ」
聖女の来日、噂できたとすれば、何かしら行動が起きると考えたんだろう。
「さて、ジャンヌ。今のところ見て、思ったことを言いな」
椅子に座っていたアガタがジャンヌに問いかけた。
「ここでいいんですか?」
この城に隠しドアで誰かに聞かれる場合もある。まだ本音を言いたくはないが。
「いいのいいの」
アガタの陽気さに溜息を吐く。
「女王ははっきり決められないですね。知らないと言っていましたけど、本音なのか微妙ですし。この国って血縁制ではない選挙制じゃないですか。すぐに代替わりもするし、頻繁に人も変わっている。女王に訊くより、ベテランな方に訊いた方が早いと思いますけどね」
「なるほどね。もう少しなんだけどね」
「何がですか」
アガタは肝心なところを言わない。いつも試されているところが嫌になる。
「まだ言えない。僕もまだ推測でしかないから」
「そうですか」
ぶっきらぼうに言う。
「もし魔女が仕掛けるとしたら」
アガタが問いかける。
「明日の講演会でしょうね」
ジャンヌは答えた。
「明日現れなかったら、次を考えよう」
その時だった。外がやけに騒がしくなっていた。
「なんだろう?」
ジャンヌとアガタは部屋を出る。
廊下に騎士たちが走っていた。
「何かあったんですか」
アガタが通りかかった騎士に話かける。
「男どもが脱走しました」
「男?」
「野蛮な男もいます。確保しなければ」
騎士は走っていく。
「野蛮な男ね」
この国は、男は奴隷と変わらない。女から虐待を受けている。女に恨みを持つ男もいるだろう。
「この国はよっぽど男が嫌いなようですね」
「仕方ないさ」
アガタは肩をすくめる。
「この国の成り立ちを知ってしまうとね。この国にいる以上、ルールに従わないと。僕はとりあえず、女王の元に行くから、ジャンヌは手伝いに行きな」
「魔女とは関係ないですよね」
面倒くさいから。
「魔女かもしれないだろう。一応借りを作らないとね」
「はいはい」
やる気のない返事をし、廊下を走る。
城と城壁の間に庭が広がっていた。
この城に抜けるには、門を通るしかない。騎士たちも門前で構えていた。
城の中であちこち探すよりも、逃げ道で待っていればいずれ現れる。ジャンヌは木の上で待ちくせをすることにした。
これはさぼっていはいない。待ちくせである。
その数分後。予想通り。男が現れた。
「見つけた」
下へ降りる。
「悪いけど、この国に従って捕まってくれないかな」
フードをかぶっていて、顔がよく見えなかった。
「もしかして・・・聖女・・・です・・か?」
男は、言葉を詰まりながら言う。
「聖女だとしても、見逃すつもりないわ」
「あの・・・助けて下さい!」
「はあ?」
男は縋り付いてきた。
「実は・・・」
男が言いかけた時だった。
「聖女様!」
背後から騎士団が走ってくる。男も尻物狂いで出口へ走る。
「待っ!」
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「鈴?」
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