魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

文字の大きさ
41 / 155
第2章

第2話 女の国 後半①

しおりを挟む
 公演中に魔女の出現、男の進入、男の女装の騒ぎで公演は中止となった。 
結局、魔女は逃げられ、夜になっても逃亡中だった。クレア女王から権限を使い、騎士を借り、全力を挙げて、捜索に取り込んでいる。
 そんな中、ジャンヌは牢獄に行くことにした。
 アガタから様子見てきてと言われたことと個人的にも気になっていたからだった。その時のアガタは女の対応に忙しかった。
 牢獄は町から離れたところにあった。
 主に罪が犯した男が監獄しているという。
 クレア女王から権限をもらっていたため、楽に入れてくれた。
 看守に案内され、地下にある檻の前に着く。
「おー来た来た」
 ジャンヌは、その声で顔色が変わった。
 視線を向けば、檻の中で余裕な様子で壁に寄り添い、手には枷がはめられ、水ぼらしくボロイ服を着ていたアキセだった。
 似合っている。
「俺に哀れんできてくれたのか」
「それはない」
 速攻で拒否する。
「つーか。おまえ。俺を売ったろ。かばうことなく」
 
 数時間前、アキセが騎士に連行される時だった。
「この人、知り合いですか」と騎士から言われたが、「知らない」と返した。
 そのまま涙目になりながらアキセは、「あー」と情けない声と共に連行された。

 現在。
「あんたを檻に閉じ込めるいい機会と思っただけよ」
「甘いな。これくらいならすぐ出れる」
「あっそ。頑張れば。用事があるのは」
 ジャンヌは隣の牢屋に視線を向く。
昼間、クレア女王をかばった男が壁に寄り添って、手に枷をはめていた。
「あなたでしょ。昨日私に声をかけたの?」
 昨夜、城から脱走し、ジャンヌに話しかけたフードをかぶった男が、この男だった。
「いろいろと話してくれるかしら」
 ジャンヌは声をかける。
「クレア様を・・・助けてほしい・・・」
 男は縮こまりながら言う。


 名もなくこの国に生まれた男は、奴隷となる。性奴隷として女たちから虐待を受けていた。
青年となったある日、女を殺してしまう。
この国では女を殺害した男は重罪となる。
怖くなり、脱走を謀った。騎士に追われる中、必死に逃げた先で、クレアと出会う。
 通報されると思い、クレアに脅しかける。
 しかし、幼い頃から女たちから虐待を受けていたため、視線がまともに合わせられず、声も体も震えが止まらない。それでも脅しにかけるが、クレアは、優しく声で返してくれた。それに騎士からもかばってくれた。
 それから回復するまでにクレアが身を隠してくれた。その時にクレアからロランと名付けられた。
 クレアは女王候補者の1人で選挙に抱えていたにもかかわらずかばってくれた。
 そんなある日、クレアに理由を訊いた。
クレアはこの国の出身者。
母親は奴隷であった父と駆け落ちしようとしてこの国に出ようとしたが、捕まってしまう。しかし、男が連れ出されたと周囲から言いがかりをつけられ、罪が父に全部押し付ける形になってしまった。母は無罪を求めたけど、周囲の圧力で何もできず、父は拷問されて死んでいった。母は何もできずに悔やみながら、クレアを産んだという。
 母の過去を知ってから、この国に疑問を持った。男だけでない。男と交際し、生まれた子供を穢れた女と差別されている。クレアはこの国を変えようと決意した。
 男に権利を与え、平等な国に変えると。
 クレアだけでない。この国を変えたい者も増えていた。クレアは代表に立った。


 数日が流れ、選挙前になった。
クレアはロランを国の外へ逃がそうとした。
 この国を変えたら帰ってきていいと。抜け道を教えてもらい、国の外へ出ることにした。
 ところがもうすぐ国の外に出られた途端に気を失った。
 気が付いた時には裸体のクレアが怯えた目で見ていた。自信も服を着ていない。どうやら襲ってしまったらしい。
 全く記憶がない。なぜここにいることにも、クレアを襲ってしまったのも。その場にサッフォーが見ていた。
 ロランは、サッフォーの部下に取り押さえられてしまう。
 クレアは、「やめて」とロランをかばった。
サッフォーは、クレアに条件を出した。
 サッフォーの言うことを訊くことだった。さもなければ、ロランを牢獄に入れられ、より虐待にさせる。さらに処女の喪失だと知れば、女王の失脚になり、国外追放になる。
 クレアは女王としてやるべきことがあった。ここで終わるわけにはいかなかった。
クレアはロランをかばい、サッフォーの言いなりになるしかなかった。
 しかもその出来事が女王として当選した日だった。

 クレア女王は、処女の喪失とロランの人質に女王になりながらもサッフォーに従われることになった。クレア女王が考えた政策をことごとく潰され、サッフォーが定めた政策しか進まなかった。城内で悪質ないじめも起きていた。
ロランは奴隷として城の地下に閉じ込められていた。夜にはロランの目の前でクレアとサッフォーと夜を交わしていた。それが5年も続いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

処理中です...