魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

文字の大きさ
48 / 155
第2章

第3話 蜂害の魔女②

しおりを挟む
 一方、アキセも森の中をさ迷っていた。
 ジャンヌを探していたら、見失ってしまった。そこで工作の魔女コルン・コボルドの発明品を使うことにした。魔術でも捜索の術があるが、聖女であるジャンヌには効かないが、コルンの発明品は、『呪い』を使うことなく聖女にも効く。コルンの技術は、『呪い』で作っているわけではなく、別の世界の技術も頭に入っているようで、この世界で解明できないほどの発明品を作っている。
 指輪に召喚したい発明品を念じ、空中から大きく巻いた古紙が出現する。
 『探しモノ地図』というコルンの発明品の一つで、探したいモノ、相手を探す代物である。
「どれどれ」
 広げた地図には、真っ白だったが、次第に描き始める。木がいくつも描いていく。森の中にいるようだ。その森の中の地図に人型が描かれる。
「見つけた。ん、もう一人いるな」
二つも描いた。誰かと一緒にいるようだ。
 この地図に描いた生き物の絵に触れれば、相手の情報を読み取れる。
相手の正体を探ろうとした時だった。
 茂みから何かが音がした。
 振り返れば、黄金に輝く目をした白い狼が牙を向いていた。
「え?」
 白い狼は口を開き、アキセを襲い掛かる。『探しモノ地図』は手放た瞬間に空中に消える。
アキセは咄嗟に白い狼の鼻と顎を手で押さえ、そのまま地面へ倒され、食われないように必死に耐えている。よく見れば、普通の狼より2倍大きかった。魔獣(モンスター)でも異獣(エヴォル)でもない。考えようにも白い狼はさらに押し出す。涎を垂らしながら、牙を向いてくる。手が塞がっては、魔術も使えない。打開策を考えようとした時だった。
「ストップ!」
 少女の声が響いた。一瞬白い狼は動きを止めたような気がする。
「ダメだよ!人を襲っちゃ!」
 少女の声が近づいた。おそらくこの狼の飼い主だろうか。
しかし、白い狼は少女の声を無視して、アキセに牙を向く。
――こいつ。これだから獣が嫌いなんだ。
「ダメだって!」
 白い狼がやっと離れた。
「大丈夫ですか?」
アキセの前に少女が心配そうに声をかける。
 長い茶髪をポニーテールに縛る。青い目。左腕に青い宝石が等間隔に埋め込まれている銀色の腕輪。狩人のような恰好をした若い少女だった。
「ごめんね。この子ね。勝手に襲う子じゃないんだけど」
 少女が白い狼を抑える。
「どうしたの?スピカ」
 スピカと呼ばれる狼は、アキセに歯を立て、威嚇する。
「いやいや、大丈夫だよ。お嬢さん」
 飼い主なら見張ってろ。死ぬところだった。
「あの~もしかしてこの先にある村に行く予定ですか?」
周辺に村はこの1か所しかない。おそらくジャンヌはこの先にある村に着くだろう。だか、威嚇する狼と一緒にいるのは、これ以上我慢ができない。
「いや、俺は・・・」
 アキセが立ち去ろうとするが、スピカが飛び掛かる。
――なんでー
 アキセは必死にスピカから逃げる。
「スピカ―」
 少女の声はスピカに届かなかった。



 魔女の誘導により村の手前まで誘導されてしまった。
 方向を変えようにも、行く先々に魔女が木を倒し、行き先を塞ぎ、誘導される。
「ちゃんと縦に振れば、こんな荒いことしなくてすんだのよ」
 白い炎をぶつけるが、風で払われる。
「今すぐに地面に叩きつけてやる!」
「もうそんな殺意を向けるならあっちにしてよね」
 魔女は指を指す。
「何に・・・」
 その先には森がざわめいていた。
「おお、きたきた」
 魔女は、手を額に当て遠く眺める。
 森の抜けた先に小さな家々があった。その上に黒い影が浮かんでいた。その動きは、鳥の動きではなかった。さらに木が軋める音、悲鳴が聞こえた。
 村は何者かに襲撃されている。
「あれって・・・」
ジャンヌが振り返ると魔女が消えていた。
 舌打ちをしたジャンヌは、村の中へと向かう。


村に着けば、人が襲われていた。
上半身は人の姿。手は虫のように6本はえている。目が虫の目。下半身はだか、針が大きい。背中に蜂のような虫の羽。
『呪い』が微小に漏れている。使い魔だろう。
使い魔は、魔女の従者である。魔女の一部のため、『呪い』が微小に出る。
蜂の使い魔は人を襲い、攫う者もいた。
ジャンヌは、蛇のように白い炎を放つ。白い炎は、蛇のような動きで蜂の使い魔を浄化させる。
蜂の使い魔は人を襲うのをやめ、ジャンヌに集中させるのが狙いだった。
狙った通り、蜂の使い魔は、ジャンヌに向かって襲ってくる。
光の刃を作ったロザリオで切ったり、白い炎を放ったりと蜂の使い魔を攻撃しても減った様子がない。
「たく、霧がない!」
 蜂の使い魔を切っても、数が減らない。
 いつの間にか蜂の使い魔に囲まれていた。一斉に蜂の使い魔が針を向け、襲いかかる時だった。
 襲いかかる蜂の使い魔に青白い光の矢が刺さった。
 この矢に見覚えがあった。
「この矢は・・・」
 空から雨のように光の矢が降ってきた。
 光の矢は、ジャンヌや人に当たることなく、蜂の使い魔だけに刺さっていく。光の矢が止んだ時には、蜂の使い魔は浄化され、消える。
 ジャンヌは安堵の溜息を吐き、ロザリオを懐にしまう。
 後でモノ音がした。
「久しぶりね。アタランテ」
 振り返れば、スピカに乗ったアタランテがいた。
「先輩も元気そうで何よりです」
 アタランテは笑って返す。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

処理中です...