魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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完結篇

第5話 堕ちるまでに⑤

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 この日の実験は、人工の魔族化の実験だった。
 人工で魔族を生み出す。
 急性な魔族化は抗体が間に合わず、体が禍々しくなり、理性を失い、暴走する。人間で魔族を生み出したことはない。
 部屋の中央に描いた陣に実験体を置き、魔族化させる。
3日前に仕入れた人間を使うことにした。その中にあの男もいた。
あの男は実験に失敗し、異形な姿になった。また実験に使うとのことで地下に閉じ込めたようだ。
 次の実験。手足を拘束した女を運んでいた。
 女と目が合えば、「レナード!レナード!」と叫びながらもがく。
 もしかして、男が話していたエリーゼという女だろうか。もう助ける義理はない。
 女は視線を見つめる。助けを求めるように。
 知らない。関係ない。昔の俺はもういない。そんな目で求めるな。
 実験が始まる。
 陣が光り、女はみるみるうちに姿が変貌していく。
 醜く、禍々しく。
 顔からアンバランスな嘴が伸び、髪が黒く長く垂れ伸ばす。二本の指に変わり、足が蛇のように合併する。
また実験が失敗した。
 その時、拘束されていた鎖が解け、女が向かってくる。
 暴走しても陣の周りに結界が張っているため、飛び出ることはない。だか、女は結界を破り、飛びつく。
「リカルド!」
 ローラが叫ぶ。
 馬乗りになり、魔族化した女に首を絞められる。
「レナード!レナード!レナード!」
 女は何度も名前を呼ぶ。
 殺される殺される殺される殺される死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。
 咄嗟に女の顔に掴んだ時だった。
 何かを吸い取っているような感覚。
 女の体がまた変化した。
 禍々しい肉体が抜けていき、体中に傷があるものの、女は人の姿に戻った。
なぜ、人に戻った。何か起きたのか理解ができなかった。
女は満足したような顔で倒れ、動かなくなった。
なんで笑ったんだ。
 その時、体の中が熱くなっていく。苦しい。呼吸ができない。体中から溶けていく。
「助けて・・助けて・・・」
 ローラに手を伸ばす。
 ローラが何かに怯えるな顔をした。いつもこの実験を見ているのになんでそんな顔をする。
「バケモノ!」


 気が付いた時には、椅子に座っていた。
 この椅子は、魔道具『ブレインチェス』。術を刻んだ椅子で頭部に描かれた陣から脳、神経を繋ぎ、体や思考を操る。
 意識があるのに、体中の感覚がない。動こうにも動けない。
 ガラス超しに研究員が何かをしている。アレイスターもいる。
「どうだ。手を繋ぎ直しても魔力は発動するか」
「いいえ。魔力が感知しません」
「そうか」
 頭をかきながらアレイスターが言う。
 繋ぎ直す。何を。
 その時、左手首につきはぎの後があった。別の手だった。
 叫びたくなるも声を出せない。動けない。
 賢者様。弟子でも実験体にするのですか。
 訴えたくても声が出ない。
 アレイスターは俺のことを気にせずに実験を進める。
 その時、ガラスに反射した自分の姿が見えた。
顔半分が皮を剥がれ、顔全体が崩れている。脳みそも半分見せる。喉から触角がいくつも垂れている。右足が骨になっている。
 叫びたくても声が出ない。
 どういうことだ。なぜこんな姿に。
 分からない分からない分からない分からない分からない。誰か教えてくれ。
「さて、次の実験しようか」
 アレイスターはいつものように実験をする。
 自分の思考と関係なしに右手が動き、実験体に触る。
何かを感じる。何かを吸い取るような。手から物体ができ、足元にいくつも落ちていく。実験体は時に動かくなり、時に壊れたように動き回る。
 何をしているか、何をされているのか分からない。
実験される日々が続いた。何日も何日も。考えるのもやめた。


 目の前にまた黒い羽を持った女がいた。
 確かよきの魔女リリス・ライラ・ウィッチャーか。またあの夢を見ているようだ。
「ほら、言ったでしょ。ちゃんと後処理しなかったからよ」
 リリスの胸の中で抱かれていた。
「恋はね。薬にも毒にでもなるのよ。だから恋もちゃんと相手しないから、こうなるのよ」
 何を言っているのか分からない。
「あなたはローラが好きだったんでしょ。だから、あんなことを言われてとても嫌だったでしょう」
 ローラ。
 そういえば、あの時から見ていない。
「でも、仕方がないわよ。誰だって醜いモノは嫌いでしょ」
 リリスは耳元で囁く。


 その時、目が覚める。
 それはサイレンが鳴ったからだった。
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