魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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完結篇

第5話 堕ちるまでに⑥

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 目の前に男がいた。
 確か実験体を集めていたブルーノだった。その手に切られた腕を持っていた。
「最初から気になってはいたが、アレイスターの狙いはこれか」
ブルーノは銃を向けていた。ブルーノの行動を察してしまった。
 殺される。
 ブルーノは引き金に指をかける。
 ローラ。
 その時銃声が鳴った。
 俺ではない。ブルーノが左肩から流れる血を抑えている。奥にいたのは、銃を構えたローラがいた。
 ローラは一直線に向かいながら、指飾りで陣を描く。ローラに触れられた途端にその場から消えた。



 森の中に転送したようだ。
 ローラが指飾りで魔術を発動し、椅子を壊してくれた。
 これで手足が自由になった。ちゃんと自分の意思で体が動く。
 こんな姿に変わっても、ローラは助けてくれた。何も変わらずにまだ俺のことを。
「ろおおおヴぁああ」とローラに手を伸ばす。
 ローラと言ったはずなのに、獣が吠えるような声を出した。
 話せない。
「は!」
 ローラが我に返ったように表情が変わっていく。
「また・・・私を・・・」
 ローラは下がる。
「ろおおおヴぁああ・・・」
 ローラの顔が徐々に顔色が変わっていく。おびえるように。
 そんな目で見ないで。俺だ。リカルドだ。
「いや!」
 ローラは銃を撃つ。
 え。
 ローラの行動に理解ができなかった。
 俺が分からないから撃ったのか。
 腹から血が流れていく。
「こんな・・・こんな怪物に惑わされたなんて・・・」
 何を言っている。
「来ないで・・・来ないで!」
 ローラは銃を撃つ。
「来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで!」
 銃は術を刻んでいる。弾を切ることなく、『呪い』と気力が混ざった魔弾が何度も打ち続ける。何度も何度も。
 体中から血が流れる。
「ヴぉあ・・・ヴぉ・・・ヴぇあ・・・・」
 やめてって言いたいのに。声が言えない。
「う・・・」
 銃が止まった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 ローラが頭を抱えて叫ぶ。
「やめて!私を壊さないで!」
 ローラがおびえながら銃を構える。
 なんで。この姿になっているからなのか。俺が分からないのか。リカルドだ。リカルドだ。
 ローラが引き金に指をかける。
 このままだと・・・このままだと・・・殺される。
 ローラが引き金を引く。


 死にたくない。


 気が付いたときには、ローラの頭がなくなっていた。
 口辺りが血生臭い。手に血がついている。
 まさかとは思うが、ローラの頭を食べていたのか。
 どうしてこうなった。食べるつもりもなかった。
 俺はこんなに醜くなって。ローラに怪物と言われて。
 分からない。考えるだけで頭が痛い。気持ち悪い。現実が受け止められない。
「ローラを食べたのか」
 背後からアレイスターの声がした。
「ローラはおまえに惑わされたから、精神に異常を起こした」
 何を言っている。アレイスターの言葉が理解できない。
「どうやら、おまえは魔族(アビス)だったようだ」
 は。
「見た目が人間と変わらない。淫魔か、惑わす系の魔女の子供か。それともリリムと推測した。その証拠に魔族(アビス)化し姿が変わったことで、誘惑が解けた」
 誘惑。
「ずっと惑わされ、無理やり解けたことで精神にも異常を起こした。おまえらの一族は最悪の場合、意思を壊してまで惑わす場合もあるからな。人形のように操って」
 俺がずっと惑わした。ローラを惑わした。思い当たることがあった。会えば、顔を赤らめて、なんでも否定することもなかった。本心ではない。
「おまえが悪いんだ」
 銃声が鳴る。
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