リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき

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252話 返信(2)

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 メーアレクト様からルーイ先生へと宛てられた手紙。その中には鳥の羽根が同封されていた。当然ただの羽根ではない。巨大な鳥を本来の姿とする、ニュアージュの神……シエルレクトの羽根だった。

「どうしてこんな物が手紙の中から……」

「俺がメーアに頼んだからだよ。シエルと話がまとまったら、あいつの羽根を数枚送って欲しいってな」

 受け取った手紙に目を通しながら、先生は俺の疑問に答えた。メーアレクト様に手紙を送ったのは、取引の事前準備だと聞いていたが……シエルレクトの羽根をどのように使うつもりなのだろう。
 手紙が届く直前に先生が言いかけていた言葉を思い出す。こちらの要求を飲まざる得ない状況にカレンとノアを追い込む。そのための鍵となる人物がいると……
 俺たちが把握している範囲で、それに該当すると思われる人物はひとりしかいない。先生は彼らの主である『エルドレッド』に対して何か仕掛けようとしているのか。

「シエルの奴……結構ごねたみたいね。俺たちが今こんなに頭を悩ませているのは、あいつがグレッグを食ったせいでもあるっていうのにさ。このくらい快く協力しなさいっての」

 先生の大きな溜息が部屋に響いた。先生はメーアレクト様を通じて、シエルレクトと連絡を取ったのだという。そして、先生の求めに対してシエルレクトは難色を示していると……

「先生。手紙の返事も来たことですし……計画の中身を明かして下さい。我々は何をすればよろしいのですか?」

 セドリックは急かすように先生に問い掛けた。先生がこれから為そうとしている事には、あのシエルレクトも噛んでいると分かったのだ。内容を早く聞きたいと思うのは当然だった。
 ニュアージュの神が我々にどんな協力をしてくれるというのだ。シエルレクトにはあまり良い印象が無いため、どうしても警戒する感情の方が前に出て来てしまう。

「ごめん、ごめん。ちゃんと説明するから……」

 手紙を読み終えると、先生は俺たちに向き直った。やっと話の続きが聞ける。俺とセドリックも背筋を伸ばした。

「まずは……ふたりが一番気になってるであろう、このシエルの羽根についてだ。これは、俺とシエルレクトの間に繋がりがあるという証のひとつとする」

「証……ですか」

「そう。カレンとノアは二人ともニュアージュ出身でかつ、魔法使いとも縁深い。シエルレクトの本来の姿も知っていた風だったから、この羽根の意味が理解できるだろう」

 先生はカレンとノアとの交渉にシエルレクトの名前を利用するらしい。でも、ただ名前を出しただけでは効果は薄く、信用もされない。よって、神の体の一部である羽根を証拠として提示するのだという。そのためにメーアレクト様を介して、シエルレクトと連絡を取ったのだそうだ。

「勝手に名前を使ったことがシエルにバレたら後々面倒だ。コスタビューテの人間にも迷惑がかかるかもしれない。だから前もって手紙で『お前の名前使うぞ』って宣言しておいたんだ」

『これで問題無い』と先生は得意げに笑っている。さすがのシエルレクトも、自分より位の高い先生の頼みは無碍にできなかったのかもしれないな。嫌々ながらも了承しているところからも察せられる。
 シエルレクトの協力は名前を借すだけだと聞いて少しほっとした。あの神とはあまり密に関わりたいとは思わないからな。
 さて、シエルレクトの名前を出すことで交渉が有利になるか……少しずつだけど、先生のやろうとしている事の全貌が見えてきたような気がする。
 恐らく先生は『エルドレッド』を使ってカレンとノアに揺さぶりをかけるつもりだ。エルドレッドは神と契約を結んでいる魔法使い。シエルレクトとの繋がりが普通の人間よりも強い。つまり、受ける影響も大きいということになる。それは当然、エルドレッドに仕えているであろうカレンとノアも承知しているはず。先生はその辺りの関連性を上手く利用して、こちらの要求を通す算段を練っているのではないだろうか。

「それじゃあ、俺の考えた計画を更に詳しく説明していくけど……とりあえず二人とも本番ではポーカーフェイスというか、演技頑張ってね」

「へっ?」

 予想外の忠告にセドリックと揃って間抜けな声を出してしまった。ポーカーフェイス……相手に手の内を悟られないよう、無表情を装えということだ。

「レオンとセディなら大丈夫だとは思うけど、一応念のため。俺の計画は相手にちょっとでも疑われたらアウトだからさ。こっちサイドに演技が出来ない奴いるとめちゃくちゃ不利になるのよ」

「クレハやクライヴのような全部顔に出るタイプはダメってことですね」

「そうそう。それが悪いってことじゃないんだけどね。適材適所……あのふたりは素直過ぎるから、こういうのはほんと向かないと思うよ」

「予め内容を知らされていれば平気ですよ。そんなに驚くようなお話なのですか?」

「驚くというか……話の中に一部はったりが混ざってるから、それが表情に出ちゃうとマズいかも。だからニュアージュの二人組と会話するのも基本的に俺だけでお願いしたいね」

 俺たちがしつこく反対したせいかもしれないけど、先生はかなり慎重だった。危険が伴うことであるし、用心し過ぎて損はない。けれど……普段からノリが軽い先生がここまで気を使っている姿をいざ目の当たりにすると、俺とセドリックにも緊張が走るのだった。
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