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決まって金曜日の夜、二人でプレイすることが続いた。好調だった。春崎は満足感の高いプレイと調子のいい日々を過ごしていた。
二人がプレイを始めて一ヶ月ほど経った金曜日、珍しく壮真にプレイの予定をずらされた。土曜日の夜に会うことになり、いつも空けてくれていた金曜日を他で埋められたことに春崎は不安感がある。その不安感はSub性の欲求をひどく刺激した。金曜日をやり過ごすことができれば土曜日には会える。それはわかっていた。その金曜日の夜、どうしてもプレイをしないことに我慢できなかった。どうせ、付き合ってもいないし、お互いをプレイのパートナーだと明言もしていない。土曜が永遠に来ないようにすら思えた。だから、以前、足しげく通っていたダイナミクスバーへと赴いてしまった。
その場しのぎでもいいからと、プレイ相手を探す。店員も知り合いも皆「久しぶりだね」と声を掛けた。その中で見知ったDomが春崎に言う。
「特定の相手を見つけたんだと思ってたよ」
そのDomの名前を春崎は必死に思い出そうとした。顔は覚えている。名前とどんなプレイをする男だったかが思い出せない。どうせ、こいつとするかもしれないのに名前が出てこないのはダメだ。
「そうなりそうな人はいるよ」
「なら、こんなところに来ていいの?」
そのDomに煽られていた。怒りも、プレイに対する欲求も。ただ、春崎はその手の嘲笑に笑って返せなかった。以前のように露悪的になれない。わざわざプレイ相手すら貶めるように誰彼構わずプレイに興ずるビッチの仕草をするのが急に怖くなった。何故、怖いのか。一人の人をちゃんとパートナーにしたくなったから。その人に恥じることをしたくないから。
「帰る」
「ハルちゃん冗談だよ。気を悪くしないで」
春崎は腰を引き寄せられて驚いた。こんなありがちな接触に驚く自分に更に動揺してしまう。
「春崎さん!」
そこに壮真が声を掛けた。春崎の手を取る。もしかしてDom二人に取り合いにされるのか。それは恥ずかしいからやめてほしいと春崎はちょっと思った。
「壮真、なんでいるの」
春崎はまずその疑問を問う。壮真が答えた。
「ここにいるかもって聞いて……」
「誰に?」
「以前プレイしてもらってたそういうお店の指名してた人に」
「なんでおれのこと知ってるのその人、ホントに何?」
壮真にことの次第を詳しく聞きたいけれど腰に巻き付く名前の思い出せないDomが邪魔だった。
「なんだよお前」
そのDomが壮真を睨みながらGlareを出す。春崎はDomの男の、自分の腰を掴んでいる手を払いのけようと叩いた。別にDomからしたら怖くもないだろうが春崎は凄んで言う。
「帰るっつってるよな?」
そのDomの名前は思い出せないがプレイはどうも薄っぺらかったのは思い出した。言葉責めが好きで、コマンドがペラペラで、こういう時のGlareも効いているのかいないのかわからないぼんやりしたものだった。
そのDomが手を離す。
「こんなところでGlareなんて出すな」
壮真が苦い顔をして言う。ほんと、他にもSubはいるんだから、と春崎は思ったあと、壮真に取られている方の手で壮真のその腕を軽くつねった。名状しがたいが、ムカついたので。壮真が痛みに手を離すと、フォローも兼ねてその肩に手を置いて言う。
「帰ろっか」
結局、そのDomの名前を思い出せなかった。お店を出て春崎の住まいに壮真と二人で行く。春崎は壮真のことが頭に来ていた。Glareを出されてやり返さなかった壮真に苛立っていた。別に正式なパートナーでもないし仕方ないんだけれど、普通に腹立つなコイツ。と、春崎は思っていた。その気持ちが、プレイをしていないことと直前のGlareと相まって意識を混濁させていく。春崎自身はそれに気付いていない。
部屋に入る頃にはふらついていた。
「春崎さん? なんか、変じゃないか? Sub dropしてないか?」
異変に気付いた壮真が春崎を支えてソファに座らせる。春崎は壮真を睨んだ。
「壮真は、おれのことどうでもいいんでしょ。ずっと他人行儀だし」
「なんでそんな風に言うんだ」
「事実でしょ」
「俺は春崎さんのこと好きだよ」
「公衆便所なんか好きになる人いない」
「やっぱり気分が悪いんだな。そんなこと言い出すなんて、今ケアするから」
「いらんいらん。帰る。かえ、帰れるか……ら」
呂律がおかしい。目の焦点が合わない。
「ここ春崎さんの部屋だよ」
「じゃあ壮真が出ろよぉ……」
「嫌ならセーフワードを」
「……」
「俺は春崎さんが大切なんだ。こんなに愛おしい。俺のためによく頑張ってくれてる」
言われたケアの言葉にじんわりと春崎の気持ちが和らぐ。春崎の思考が明瞭になり、自分の言い分が子どもじみていると感じた。壮真は春崎を心配そうに見つめる。
「壮真、怒っていいよ。一人でバーに行ってごめん」
春崎が壮真に視線を合わせた。謝ると壮真が言う。
「それを言ったら俺は前に行ってたDom専門のプレイクラブのいつも指名してた人に会いに行ってたぞ」
「はあ? ぶん殴りたい」
春崎は若干のイラつきを示す。壮真が返した。
「殴りたいよな。ちゃんとそういう時に殴れるように、付き合ってほしいんだ。こういう約束してなかっただろ」
「うん、付き合う」
「……よかった」
壮真が安心したように言った。春崎は付き合えた余韻もなく詰問する。
「で、いつも指名してた人に会いに行ってたってなに?」
「春崎さんのことで相談をしに行ってた。その、恋愛相談なんだが……」
壮真の言葉に春崎は急にその人のことが可哀想になった。恋愛相談って友人のものでも迷惑な時だってあるというのに。
「それはその人もいい迷惑だろうがよ。何相談してたの」
「春崎さんがちゃんと満足できているか不安で」
そんなこと相談してたのか、と春崎は呆れる。それでもその手の不安も理解できた。春崎がプレイ毎にSub spaceに入っていても、今まではそんなことが出来なかったという過去が壮真を苦しめるのだろう。
「はぁ? ……まあ壮真コマンドくそ重いもんな。……もしかしてそのくそ重いコマンドのせいで友達いない?」
「そうだ」
壮真はコマンドが意図しないところで発動するから、友人付き合いも大変だったことだろうと春崎は思った。友達いないから本職の人に業務外のことをさせるくらい不安だったなんて、ちょっと笑える程度には可哀想だ。
「かわいそう……それで以前指名してた人しか頼れないなんて哀れすぎ」
「春崎さんと付き合えたからいいよ」
「それなんだけど」
と、春崎が言ってソファから立ち上がった。そして言葉を続ける。
「付き合うなら見せておくものがあるよ。びっくりするかもしれないけれど」
そう言って春崎はシャツを脱いだ。上半身には無数の傷ややけどの痕がある。
「おれはSubとしての欲求が強くて、前は誰とでもヤってた。でもそういうSubは結局普通のDomからは忌避されるから、やりたいプレイをSubに受け入れてもらえないDomしか相手してくれないんだよね。だから、こういうことばっかりしてたんだ……」
Subとしての本能はなんでも喜んでしまう。コマンドに応えられるのが嬉しくて仕方ない。でも身体は傷だらけになる。春崎にとってこれらの傷は引け目ではないけれどびっくりされることが多いのでこの上半身はそういうDomにしか見せたことがない。
この傷まで受け入れてもらえなければ壮真とは付き合えない。
「萎えた?」
春崎が壮真に聞く。壮真は顔をしかめて言った。
「普通に痛そうだな。……もっとちゃんと大切にしたいと思ったよ」
壮真が優しく春崎を抱き締める。春崎は茶化した。
「やさしーじゃん」
その語尾が少し震えて泣いているみたいだった。その日、春崎と壮真はお互いを一番大切な人にしあった。
二人がプレイを始めて一ヶ月ほど経った金曜日、珍しく壮真にプレイの予定をずらされた。土曜日の夜に会うことになり、いつも空けてくれていた金曜日を他で埋められたことに春崎は不安感がある。その不安感はSub性の欲求をひどく刺激した。金曜日をやり過ごすことができれば土曜日には会える。それはわかっていた。その金曜日の夜、どうしてもプレイをしないことに我慢できなかった。どうせ、付き合ってもいないし、お互いをプレイのパートナーだと明言もしていない。土曜が永遠に来ないようにすら思えた。だから、以前、足しげく通っていたダイナミクスバーへと赴いてしまった。
その場しのぎでもいいからと、プレイ相手を探す。店員も知り合いも皆「久しぶりだね」と声を掛けた。その中で見知ったDomが春崎に言う。
「特定の相手を見つけたんだと思ってたよ」
そのDomの名前を春崎は必死に思い出そうとした。顔は覚えている。名前とどんなプレイをする男だったかが思い出せない。どうせ、こいつとするかもしれないのに名前が出てこないのはダメだ。
「そうなりそうな人はいるよ」
「なら、こんなところに来ていいの?」
そのDomに煽られていた。怒りも、プレイに対する欲求も。ただ、春崎はその手の嘲笑に笑って返せなかった。以前のように露悪的になれない。わざわざプレイ相手すら貶めるように誰彼構わずプレイに興ずるビッチの仕草をするのが急に怖くなった。何故、怖いのか。一人の人をちゃんとパートナーにしたくなったから。その人に恥じることをしたくないから。
「帰る」
「ハルちゃん冗談だよ。気を悪くしないで」
春崎は腰を引き寄せられて驚いた。こんなありがちな接触に驚く自分に更に動揺してしまう。
「春崎さん!」
そこに壮真が声を掛けた。春崎の手を取る。もしかしてDom二人に取り合いにされるのか。それは恥ずかしいからやめてほしいと春崎はちょっと思った。
「壮真、なんでいるの」
春崎はまずその疑問を問う。壮真が答えた。
「ここにいるかもって聞いて……」
「誰に?」
「以前プレイしてもらってたそういうお店の指名してた人に」
「なんでおれのこと知ってるのその人、ホントに何?」
壮真にことの次第を詳しく聞きたいけれど腰に巻き付く名前の思い出せないDomが邪魔だった。
「なんだよお前」
そのDomが壮真を睨みながらGlareを出す。春崎はDomの男の、自分の腰を掴んでいる手を払いのけようと叩いた。別にDomからしたら怖くもないだろうが春崎は凄んで言う。
「帰るっつってるよな?」
そのDomの名前は思い出せないがプレイはどうも薄っぺらかったのは思い出した。言葉責めが好きで、コマンドがペラペラで、こういう時のGlareも効いているのかいないのかわからないぼんやりしたものだった。
そのDomが手を離す。
「こんなところでGlareなんて出すな」
壮真が苦い顔をして言う。ほんと、他にもSubはいるんだから、と春崎は思ったあと、壮真に取られている方の手で壮真のその腕を軽くつねった。名状しがたいが、ムカついたので。壮真が痛みに手を離すと、フォローも兼ねてその肩に手を置いて言う。
「帰ろっか」
結局、そのDomの名前を思い出せなかった。お店を出て春崎の住まいに壮真と二人で行く。春崎は壮真のことが頭に来ていた。Glareを出されてやり返さなかった壮真に苛立っていた。別に正式なパートナーでもないし仕方ないんだけれど、普通に腹立つなコイツ。と、春崎は思っていた。その気持ちが、プレイをしていないことと直前のGlareと相まって意識を混濁させていく。春崎自身はそれに気付いていない。
部屋に入る頃にはふらついていた。
「春崎さん? なんか、変じゃないか? Sub dropしてないか?」
異変に気付いた壮真が春崎を支えてソファに座らせる。春崎は壮真を睨んだ。
「壮真は、おれのことどうでもいいんでしょ。ずっと他人行儀だし」
「なんでそんな風に言うんだ」
「事実でしょ」
「俺は春崎さんのこと好きだよ」
「公衆便所なんか好きになる人いない」
「やっぱり気分が悪いんだな。そんなこと言い出すなんて、今ケアするから」
「いらんいらん。帰る。かえ、帰れるか……ら」
呂律がおかしい。目の焦点が合わない。
「ここ春崎さんの部屋だよ」
「じゃあ壮真が出ろよぉ……」
「嫌ならセーフワードを」
「……」
「俺は春崎さんが大切なんだ。こんなに愛おしい。俺のためによく頑張ってくれてる」
言われたケアの言葉にじんわりと春崎の気持ちが和らぐ。春崎の思考が明瞭になり、自分の言い分が子どもじみていると感じた。壮真は春崎を心配そうに見つめる。
「壮真、怒っていいよ。一人でバーに行ってごめん」
春崎が壮真に視線を合わせた。謝ると壮真が言う。
「それを言ったら俺は前に行ってたDom専門のプレイクラブのいつも指名してた人に会いに行ってたぞ」
「はあ? ぶん殴りたい」
春崎は若干のイラつきを示す。壮真が返した。
「殴りたいよな。ちゃんとそういう時に殴れるように、付き合ってほしいんだ。こういう約束してなかっただろ」
「うん、付き合う」
「……よかった」
壮真が安心したように言った。春崎は付き合えた余韻もなく詰問する。
「で、いつも指名してた人に会いに行ってたってなに?」
「春崎さんのことで相談をしに行ってた。その、恋愛相談なんだが……」
壮真の言葉に春崎は急にその人のことが可哀想になった。恋愛相談って友人のものでも迷惑な時だってあるというのに。
「それはその人もいい迷惑だろうがよ。何相談してたの」
「春崎さんがちゃんと満足できているか不安で」
そんなこと相談してたのか、と春崎は呆れる。それでもその手の不安も理解できた。春崎がプレイ毎にSub spaceに入っていても、今まではそんなことが出来なかったという過去が壮真を苦しめるのだろう。
「はぁ? ……まあ壮真コマンドくそ重いもんな。……もしかしてそのくそ重いコマンドのせいで友達いない?」
「そうだ」
壮真はコマンドが意図しないところで発動するから、友人付き合いも大変だったことだろうと春崎は思った。友達いないから本職の人に業務外のことをさせるくらい不安だったなんて、ちょっと笑える程度には可哀想だ。
「かわいそう……それで以前指名してた人しか頼れないなんて哀れすぎ」
「春崎さんと付き合えたからいいよ」
「それなんだけど」
と、春崎が言ってソファから立ち上がった。そして言葉を続ける。
「付き合うなら見せておくものがあるよ。びっくりするかもしれないけれど」
そう言って春崎はシャツを脱いだ。上半身には無数の傷ややけどの痕がある。
「おれはSubとしての欲求が強くて、前は誰とでもヤってた。でもそういうSubは結局普通のDomからは忌避されるから、やりたいプレイをSubに受け入れてもらえないDomしか相手してくれないんだよね。だから、こういうことばっかりしてたんだ……」
Subとしての本能はなんでも喜んでしまう。コマンドに応えられるのが嬉しくて仕方ない。でも身体は傷だらけになる。春崎にとってこれらの傷は引け目ではないけれどびっくりされることが多いのでこの上半身はそういうDomにしか見せたことがない。
この傷まで受け入れてもらえなければ壮真とは付き合えない。
「萎えた?」
春崎が壮真に聞く。壮真は顔をしかめて言った。
「普通に痛そうだな。……もっとちゃんと大切にしたいと思ったよ」
壮真が優しく春崎を抱き締める。春崎は茶化した。
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