呪符使いと「愛玩人形」

高山奥地

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呪符使いと「愛玩人形」

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文塚が遠出から帰ってきて、ちょっと疲れた様子でおれに言う。

「ただいま。いやぁ呪符を作るだけだと思ったら壁に書けって言われて困っちゃったよ。専用の紙じゃないと効力が十分発揮できないのに、無茶な注文されちゃってさ。その分費用はたくさんもらったけど」

にへらって笑う文塚の顔に胸の奥が熱くなる。けれど、まだおれは怒ってるから許してやらない。そっぽを向くおれに文塚が抱きつく。

「どうしたの?泰治くん」

穏やかな低い声。優しい声色にじわじわと体が火照ってくる。

「旧都はたのしかったか」

拗ねたそぶりで聞いてみた。まだ、怒ってるんだからな。と、アピールする。文塚は片方の手でおれの後頭部を撫でた。それからもう片方の手で頬に触る。

「仕事だから、遊んでいたわけじゃないんだけどな。それより私がいない間いい子にしてたかい?」
「誰とも寝てない。お前とも寝ない」

触れてくる手を退ける。おれは一人で旧都に行ったこと、まだ怒ってるんだぞ。わかっているのか!って意思表示。文塚は「ああ」と合点した様子で言う。

「だから今日は男型なんだ。そうかそうか」

軽い様子の文塚にムッとした。こいつ全然反省してない。

おれは高性能の「愛玩人形」。男女兼用の快楽処理玩具だ。どういう風に男女兼用かっていうとその形だ。そう、男の体にも女の体にもなれるのがおれなの。

本当はすぐにでも体にとびついて色々したいけれど怒ってるのでしてやらない。女の体にもなってやらない。

元々男型の方が楽だし。体になじむんだよな、男型の方が。

「まあまあ、寝床に入ろう」

文塚がおれを引っ張って寝室に連れてくる。

誘われると拒めないのが「愛玩人形」のサガというか。でもでも絶対女になってやらないし!

「絶対、女にならないから」

文塚にそう言うとヤツは微笑んで頷く。

「うん、そのままでいいよ」

くそ!むかつく!かっこいい!!

若干思考がごちゃごちゃしてきた。

最近、頭の中ごちゃごちゃすることが多い。文塚は情緒が発達してきてるからだって言ってたけど、それっていいことなのかな。

文塚がおれの服の釦をとって前をあける。薄く筋肉のついた体に触れる。平たい胸を撫でる。文塚が、男のおれを触っている。

お腹の下が熱い。わりとがっつり勃ってるし。

文塚がおれの下穿きを脱がす。いきなりおれのそれに唇を付けるからおれはびっくりしてしまった。

「え、ちょ……な!」

あぶねー、出るかと思った。こいつマジでおれのにキスしてる。ありえねぇ。男同士だぞ?よく出来るなぁ。

文塚がおれのそれを咥え始める。口でしごかれて、先っぽを舌でグリグリされて、裏筋とか弄られて、ぶら下がってる袋まで手で揉まれて、おれは快楽に弱いからすぐ気持ち良くなっちゃう。

「ぅ、んん……あぁ、あ!」

声を上げると文塚は嬉しそうにおれの顔を見上げてきた。あーもう!視線がうるさい!見るな!!

「ぅあ、ぁあ!あ、あああ……ぁ」

文塚が顔を動かして唇でおれのをしごいている。吸い付かれて、しごかれて、舐められて……。こんな気持ちになるの変だ。なんかすごくいけないことさせてるみたいな……。女の体の時も色々されてきたけど、それとはまた違う感じがする。口でこんな……こんなことさせてるなんて。

快楽にぐずついた脳がおかしなことを考えている。こいつが自分でやってるんだと分かってるのに変だ。こんな……奉仕させて、おれが気持ち良くなってるなんて……。おれは「愛玩人形」で人の性欲を処理するオモチャで、なのに……、こんな気持ち良くされて……。おれがこいつに奉仕させてるみたい。

「あぁ!文塚っ……!出ちゃう!出る……からぁ!」

一際強く吸い付かれて呆気なく文塚の腔内で達してしまう。文塚が口を離した。ヤツが言う。

「ごちそうさま」
「え、……飲んだ?」

あり得ねえ。飲みやがった。

もう、これ奉仕されてるじゃん。一旦逝って冷静になってわかる。これはご奉仕です!!

「馬鹿じゃないの?!」

「愛玩人形」にご奉仕ってあまりにも意味なさすぎじゃない?文塚はこれ楽しいのか?おれはこの状況を楽しんだ方がいいのか?

「ふふふ、びっくりした?」

文塚がにこにこしておれの腰のあたりに手を回す。もう片方の手がおれの内腿を撫でる。さわさわと何度か手が行き来した。その手が後ろの窪みにまわる。びっくりして腰を引こうとするが、さっき後ろに回された手に阻まれた。指でひだを撫でられて、わりとあっさり中に入ってくる。

「あぅ、ね、……ねぇ!おれ、女になった方がいい?」
「いや、そのままでいいよ」

文塚が言った。

違う、おれが男のままなのがやなのに。なんで文塚はそのままでいいと思ってるんだ。

指がお尻の奥をやわやわと進む。そんなところに何があるんだ。おれが疑問に思っていると文塚の指がその点に当たった。

「ひぁっ、……ぁ、ぅう」

快楽がお尻の奥から押し寄せてくる。

そんなとこに性感帯あったのかよ!聞いてないんだけど!うわぁぁあ触るな!触んな!

とは言えないし、文塚の指が優しくおれの中のそこを押してくるし。

「んんぅ……!、!」

やだ……!おれ、まだ男なのに。こんな、中で気持ち良くなんてなりたくないのに。

グニグニと中のそれを触られてまた勃ってきた。

嫌なのに、気持ちいい。

「……文塚……ぁ、ダメ、おかしく……なる」

指が増えた。圧迫感が増すけど、さっきから結構すんなり入ってきてすごく怖い。中で揉み込むように動かされて苦しいのに気持ちいい。

「ぅ、んん。……くっ、あ」

気持ちいい。ダメ。気持ちいい。そんなことばっかり考えている。どこもかしこもとろけきっておかしくなってる。でもこれ、どうなったら終わりなの?中がグスグスしてもう本当に、本当に無理。

「さすがに泰治くんはすぐ柔らかくなるね」
「へ?」

文塚がおれの体を半転させて背中側から自分の男の部分をおれのお尻にあてがう。え、そこ、入るの?お尻ほぐした次の段階ってこれ?!

「無理!無理無理!壊れちゃう!!」
「大丈夫だよ。ちゃんと入るように設計してあるはずだから」

はずって何ぃ。お前が設計したんじゃないの?!

文塚がゆっくりそれを押し入れてきた。うえええ。変なとこ押されてる気がするのが怖い。わりとすんなり入るところがまた気持ち悪い。

「うぅ」

文塚は馴染ませるように中でちょっと動いた。やめろやめろ。怖いから!本当に怖いんだぞ!!

若干おれの前が萎えてる。文塚がそれに気付いておれの雄をにぎにぎと触る。

「んん」

声が出る。そりゃ、気持ちいいし。

触られてる前に気をとられているうちにじわじわと全部入れられてしまった、らしい。一旦ちょっと抜かれて、さっき気持ち良かった中のそこに文塚のそれが押し付けられる。

「うぅ」

中が気持ちいいのはいやだ。変だ。だって、男なのに中なんて意味ないのに、こんな……。

優しくグッ、グッと文塚のが小刻みに動いて、そこに当たって、お腹の奥がとろけ出すような熱い波が、じんじん押し寄せてくる。

「ぅ、ん……あ!っあ!」
「かわいい」

お腹に手をあてがうように撫でられる。ぞわぞわと肌が粟立って気持ち良くなってしまう。外からの刺激におれの中が嬉しそうに反応してる。ギュッて中、締め付けてる。だめなのに、逝きそう。やだ、おれ、今、男なのに女みたいになっちゃう。

「こ、こわい……ゃ!やだ!」
「君の基本型が、男の時は奉仕型で女の時の許容型とは違う情動を見せるからね。まだ情緒が育ちきってないのかな」

そんなのも可愛いけどね。とかなんとか言いながら文塚が中を突く。

もう、頭が文塚の言葉を理解しきれていない。ギュウギュウと中を締め付けて生々しく文塚の熱いそれを感じてしまう。さっきからどうにかなりそうなのに、全然終わる気がしなくて、でもだんだん文塚の動きに余裕がなくなってきてるのがわかる。

「ごめん、もうちょっと楽しみたかったんだけど余裕、ない」

私も溜まってたからと言いながら、腰を押さえて文塚がガツガツ突いてくる。おれはそれが抜けそうになる度に中でキュウキュウ締め付けてしまう。抜かないで、ずっと中にあってほしい。圧迫感が気持ちいい。さっきは怖かったのに、すぐに快楽を追い出す頭は全く救いようがない。

お腹の中がじんじんして、頭がボーッとしてくる。ふわふわする。逝ってる?なんか、すごい。

「あ、あああ!あああああ!」

おれの精液がほとばしる。文塚がおれの中に注ぎ込む。中がビクビク動いて、文塚の精を絞り取っている。

しばらくして、文塚はおれの中から出ていった。



「あー、くそ」

おれは悪態をついた。うわ、声カラカラ、声出すのしんどい。

あんな風にされるなんて。というか、怒ってたつもりだったのにグダグダに抱かれてしまうなんて。

「泰治くん」

文塚が落ち着いた声で言う。

むかつく。あっち行け!

声には出さない。喉がしんどいから。

「今度は二人で旧都に観光に行こうね」

はぁ~~?むかつく~~!!先に言えし!!

「ね?」

小首を傾げるな!ばーか!ばーーーーか!!!!


おわり
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