実らない恋と知った後。

るみなす

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月曜の朝から憂鬱な気分で学校へ向かう俺は、17歳の男子高校生である。

学校行きたくねぇ。

しかし、行かないわけにも行かず、おぼつかない足取りで学校へ向かう。

すると、背後から俺の名前を呼ぶ声がした。

ハッとして後ろを振り返る。

そこにはいつもの爽やかな笑顔で、俺に笑いかける親友の姿があった。

「はよーす!流星!」

「はよ…康介」

「どうしたんだ?また悩み事か?」

「いや…何でもない……」

「そうか…何か悩みがあるなら言えよ!俺ら親友なんだから」

「…ありがとう」

「親友」この言葉が痛いほど胸に突き刺さる。

俺は康介のことが好きだ。

友達とかの好きではなく、恋愛としての好きだ。

だから朝から康介に会うのは憂鬱で、会いたくなんてなかった。

なぜなら康介には…


「そういえば聞いてくれよ!昨日彼女と初デートしてきたんだよ!」

「彼女」その言葉にビクッと身体を震わせる。

康介の顔を見ると、嬉しそうで若干照れている様に見える。

とても幸せそうな表情だ。

「へ…へぇ良かったな…」

やめてくれそんな顔、だから会いたくなかった。

聞きたくないんだよ…お前の彼女の話なんて聞きたくもない!

親友なら喜ばなきゃいけないはずなのに。

胸の奥が苦しいぐらいにジクジクと痛みだす。

顔に出ないように笑顔を取り繕って、必死に感情を隠す。

「なんだよ…親友に初めて彼女が出来たって言うのに…嬉しくなさそうだな?」

その言葉を聞いて、思わずギクリとしてしまう。

今の絶対顔に出た…最悪だ。

昔からそうだ…本当にこいつは鋭すぎる。

幼馴染で付き合いが長いからか、康介は俺の表情から大体のことは読み取ってしまう。

「そ…そんなことねぇよ…本当良かったって思ってる……よ」

声が微かに震える。

溢れそうになる涙を必死に抑えるのが精一杯だ。

「そうか…それでよー彼女がな………」

そして康介が会話を再開する。

でも、俺には好きなやつの惚気話を聞く余裕なんて1mmも無い。

やめてくれ…本当に…


これ以上聞きたくない!


俺は思わず足を止め、康介に向かってこう言った。

「ごめん…俺学校でやらなきゃいけないことがあるから先に行くわ」

咄嗟に口から出た言葉は、逃避の言葉だった。

逃げたかった。

今だけは…1秒でも康介のそばから。

「え?あ…おい!流星!?」

一瞬見えた康介の顔は、唖然としていた。

しかし、そんなことは一切気にせず全力で走った。

息が苦しい…胸が痛い…心臓や肺がはち切れそうだ。

しばらく走ったあと、通学路の通り道にある路地裏に入り息を整える。

「ハァ……ハア………うっ………何で…だよ……」

息を整えた後、あの場で抑えていた気持ちが一気に溢れ出す。

その場でうずくまるように地面にしゃがみ込み、ボロボロと零れる涙が乾いたアスファルトを濡らす。

「好き…好きなんだよ…康介ぇ………」


隣にいられればそれでいいって思ってた。

ただ康介の笑った顔を見て、当たり前のように日常を過ごせればよかった。

女の気配なんて今まで1度も無かったから、康介もそうなんじゃないかって思ってた。

でも違った。

1週間前に、康介はいきなり彼女が出来たと言った。

その時は、頭に殴られた様な衝撃が走った。

グラグラして…わけが分からなくなった。

自惚れてたんだ。

もしかしたら、康介も俺と同じ気持ちかもしれないって。

今までずっと一緒に過ごしてきた康介が、これからも俺のそばに居てくれるって。

でも、結局俺は男であって、親友と言う壁は越えられない。

辛い、苦しい。

もし、俺が女だったら康介と恋人になれたのだろうか?

少なくとも今より可能性は高いに決まってる。

でも、もしもなんて世界があるはずもなく、今あるのはこの非情な現実だけ。

こんな不毛な恋したくなかった。

そしてこれはきっと永遠に実らない恋。
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