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軽井沢デート 編
ドライブ
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翌日、私たちは九時半にマンションを出た。
「服、変じゃないかな」
私は助手席で白いティアードワンピースを摘まむ。
「似合ってるよ」
黒縁サングラスを掛けた尊さんは、黒いキャップにゆったりめの白T、黒い膝までのハーフパンツに、黒いハイカットスニーカーを履いている。
天気が崩れた時用に、後部座席にはライトブルーのデニムシャツも置いてある。
腕時計はタグ・ホイヤーのカレラだそうな。
ちなみに二人とも右手の薬指に、先日のショッピングで買ったペアリングがある。
彼から「似合ってる」と言われた私は、ホッと胸を撫で下ろす。
「軽井沢に行くなら、白いワンピースのお嬢さんをやってみたかったんです」
「なかなか、オーソドックスだな」
「オプションで、白っぽい日傘も持ってきてます」
正確にはグレージュだけれど、遮光性ばっちりのフリルがついた可愛い日傘がお供だ。
ワンピースはノースリーブで、日焼けしたら困るのでライトグレーの冷感UVカットカーディガンを着ている。
靴は尊さんと同じブランドの、黒いハイカットスニーカーだ。
「朱里は何を着ても可愛いよ」
スナック菓子のおじゃがっこをポリポリ食べていた私は、ポリ……、と囓るのをやめて運転席を見る。
「……なんだよ」
視線を感じた尊さんは、前を向いたまま尋ねる。
「休日の篠宮尊は、糖度高め……」
「褒めただけだよ」
彼は照れくさそうな顔をして、文句を言った。
「もっと褒めてほしいです!」
「素直だな。いつも褒めてるだろうが」
「もっともっと!」
「おーおー、欲の張った女はいいねぇ」
「食い気は負けません!」
「俺は色気も感じてるけど」
……このミコは、油断した時にクイッと攻めてくるから、油断ならない。
褒められるたびにドキドキしてしまうので、ついおふざけしてしまう悪癖ができてしまった。
しかも私は、このたび非常に冒険をして、アンシャンテブラ、ショーツという物を持ってきた。
アンシャンテブラとは、大事な部分がオープンになっている奴だ。
フランス語の挨拶で「初めまして」とか「お会いできて嬉しいです」という意味で使われる言葉だけど、「魅了された」「喜ばしい」という意味も持つ。
この下着で、いつも余裕たっぷりのミコを籠絡してやるのだ。
尊さんはこの週末デートについて、エッチを楽しむためにラブホデートを、と仮の提案をした。
その時、彼はセクシーランジェリーを用いてプレイしてみないか、とも言った。
半分は冗談のつもりだったと思うけれど、私だってたまには色んな事を忘れて、尊さんとイチャイチャしたい。
だからその姿勢を見せるためにも、こちらから色々用意したのだ。
そうでなければ、彼は私を怖がらせないために、過激な事はしないと思うので。
結局、尊さんは週末になる前に『デートする先がラブホだけっていうのは味気ないから、やっぱりどこか行くか』と言って、軽井沢に行き先を決めてくれた。
多分、またいいホテルもとってくれたんだと思う。
彼は先日の恵の誕生日デートで、高額なお金を使ったからといって、セックスを望んだりしないと言っていたけれど、私ができる事はこれぐらいしかない。
社会的地位もお金も持っている、家庭的なイケメン男性には、結局のところ愛情と快楽を捧げるしかないのだ。
勿論、大好きな婚約者だし、エッチに抵抗がある訳じゃない。
むしろ、沢山イチャイチャしたいし、甘えたい。
だからこそ、全力で挑むのだ。
私にも恵にも共通する事だけれど、私たちはすべき事を分かっていながら、羞恥心に邪魔されている。
それを取っ払う事こそ、尊さんや涼さんが最も望んでいる事だ。
(今夜を楽しみにしてろ! ミコ! びっくりして目玉飛び出ても知らないもんね!)
私はじわーっと赤面しつつ、おじゃがっこをまた食べ始める。
「これからランチ行くんだから、菓子はほどほどにな」
「お母さんがいる!」
「はぁ~い、ミコトママよ」
「いひひひひひ」
私は尊さんとたわいのない話をし、約二時間半のドライブを楽しんだのだった。
**
「服、変じゃないかな」
私は助手席で白いティアードワンピースを摘まむ。
「似合ってるよ」
黒縁サングラスを掛けた尊さんは、黒いキャップにゆったりめの白T、黒い膝までのハーフパンツに、黒いハイカットスニーカーを履いている。
天気が崩れた時用に、後部座席にはライトブルーのデニムシャツも置いてある。
腕時計はタグ・ホイヤーのカレラだそうな。
ちなみに二人とも右手の薬指に、先日のショッピングで買ったペアリングがある。
彼から「似合ってる」と言われた私は、ホッと胸を撫で下ろす。
「軽井沢に行くなら、白いワンピースのお嬢さんをやってみたかったんです」
「なかなか、オーソドックスだな」
「オプションで、白っぽい日傘も持ってきてます」
正確にはグレージュだけれど、遮光性ばっちりのフリルがついた可愛い日傘がお供だ。
ワンピースはノースリーブで、日焼けしたら困るのでライトグレーの冷感UVカットカーディガンを着ている。
靴は尊さんと同じブランドの、黒いハイカットスニーカーだ。
「朱里は何を着ても可愛いよ」
スナック菓子のおじゃがっこをポリポリ食べていた私は、ポリ……、と囓るのをやめて運転席を見る。
「……なんだよ」
視線を感じた尊さんは、前を向いたまま尋ねる。
「休日の篠宮尊は、糖度高め……」
「褒めただけだよ」
彼は照れくさそうな顔をして、文句を言った。
「もっと褒めてほしいです!」
「素直だな。いつも褒めてるだろうが」
「もっともっと!」
「おーおー、欲の張った女はいいねぇ」
「食い気は負けません!」
「俺は色気も感じてるけど」
……このミコは、油断した時にクイッと攻めてくるから、油断ならない。
褒められるたびにドキドキしてしまうので、ついおふざけしてしまう悪癖ができてしまった。
しかも私は、このたび非常に冒険をして、アンシャンテブラ、ショーツという物を持ってきた。
アンシャンテブラとは、大事な部分がオープンになっている奴だ。
フランス語の挨拶で「初めまして」とか「お会いできて嬉しいです」という意味で使われる言葉だけど、「魅了された」「喜ばしい」という意味も持つ。
この下着で、いつも余裕たっぷりのミコを籠絡してやるのだ。
尊さんはこの週末デートについて、エッチを楽しむためにラブホデートを、と仮の提案をした。
その時、彼はセクシーランジェリーを用いてプレイしてみないか、とも言った。
半分は冗談のつもりだったと思うけれど、私だってたまには色んな事を忘れて、尊さんとイチャイチャしたい。
だからその姿勢を見せるためにも、こちらから色々用意したのだ。
そうでなければ、彼は私を怖がらせないために、過激な事はしないと思うので。
結局、尊さんは週末になる前に『デートする先がラブホだけっていうのは味気ないから、やっぱりどこか行くか』と言って、軽井沢に行き先を決めてくれた。
多分、またいいホテルもとってくれたんだと思う。
彼は先日の恵の誕生日デートで、高額なお金を使ったからといって、セックスを望んだりしないと言っていたけれど、私ができる事はこれぐらいしかない。
社会的地位もお金も持っている、家庭的なイケメン男性には、結局のところ愛情と快楽を捧げるしかないのだ。
勿論、大好きな婚約者だし、エッチに抵抗がある訳じゃない。
むしろ、沢山イチャイチャしたいし、甘えたい。
だからこそ、全力で挑むのだ。
私にも恵にも共通する事だけれど、私たちはすべき事を分かっていながら、羞恥心に邪魔されている。
それを取っ払う事こそ、尊さんや涼さんが最も望んでいる事だ。
(今夜を楽しみにしてろ! ミコ! びっくりして目玉飛び出ても知らないもんね!)
私はじわーっと赤面しつつ、おじゃがっこをまた食べ始める。
「これからランチ行くんだから、菓子はほどほどにな」
「お母さんがいる!」
「はぁ~い、ミコトママよ」
「いひひひひひ」
私は尊さんとたわいのない話をし、約二時間半のドライブを楽しんだのだった。
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