723 / 830
軽井沢デート 編
ドライブ
翌日、私たちは九時半にマンションを出た。
「服、変じゃないかな」
私は助手席で白いティアードワンピースを摘まむ。
「似合ってるよ」
黒縁サングラスを掛けた尊さんは、黒いキャップにゆったりめの白T、黒い膝までのハーフパンツに、黒いハイカットスニーカーを履いている。
天気が崩れた時用に、後部座席にはライトブルーのデニムシャツも置いてある。
腕時計はタグ・ホイヤーのカレラだそうな。
ちなみに二人とも右手の薬指に、先日のショッピングで買ったペアリングがある。
彼から「似合ってる」と言われた私は、ホッと胸を撫で下ろす。
「軽井沢に行くなら、白いワンピースのお嬢さんをやってみたかったんです」
「なかなか、オーソドックスだな」
「オプションで、白っぽい日傘も持ってきてます」
正確にはグレージュだけれど、遮光性ばっちりのフリルがついた可愛い日傘がお供だ。
ワンピースはノースリーブで、日焼けしたら困るのでライトグレーの冷感UVカットカーディガンを着ている。
靴は尊さんと同じブランドの、黒いハイカットスニーカーだ。
「朱里は何を着ても可愛いよ」
スナック菓子のおじゃがっこをポリポリ食べていた私は、ポリ……、と囓るのをやめて運転席を見る。
「……なんだよ」
視線を感じた尊さんは、前を向いたまま尋ねる。
「休日の篠宮尊は、糖度高め……」
「褒めただけだよ」
彼は照れくさそうな顔をして、文句を言った。
「もっと褒めてほしいです!」
「素直だな。いつも褒めてるだろうが」
「もっともっと!」
「おーおー、欲の張った女はいいねぇ」
「食い気は負けません!」
「俺は色気も感じてるけど」
……このミコは、油断した時にクイッと攻めてくるから、油断ならない。
褒められるたびにドキドキしてしまうので、ついおふざけしてしまう悪癖ができてしまった。
しかも私は、このたび非常に冒険をして、アンシャンテブラ、ショーツという物を持ってきた。
アンシャンテブラとは、大事な部分がオープンになっている奴だ。
フランス語の挨拶で「初めまして」とか「お会いできて嬉しいです」という意味で使われる言葉だけど、「魅了された」「喜ばしい」という意味も持つ。
この下着で、いつも余裕たっぷりのミコを籠絡してやるのだ。
尊さんはこの週末デートについて、エッチを楽しむためにラブホデートを、と仮の提案をした。
その時、彼はセクシーランジェリーを用いてプレイしてみないか、とも言った。
半分は冗談のつもりだったと思うけれど、私だってたまには色んな事を忘れて、尊さんとイチャイチャしたい。
だからその姿勢を見せるためにも、こちらから色々用意したのだ。
そうでなければ、彼は私を怖がらせないために、過激な事はしないと思うので。
結局、尊さんは週末になる前に『デートする先がラブホだけっていうのは味気ないから、やっぱりどこか行くか』と言って、軽井沢に行き先を決めてくれた。
多分、またいいホテルもとってくれたんだと思う。
彼は先日の恵の誕生日デートで、高額なお金を使ったからといって、セックスを望んだりしないと言っていたけれど、私ができる事はこれぐらいしかない。
社会的地位もお金も持っている、家庭的なイケメン男性には、結局のところ愛情と快楽を捧げるしかないのだ。
勿論、大好きな婚約者だし、エッチに抵抗がある訳じゃない。
むしろ、沢山イチャイチャしたいし、甘えたい。
だからこそ、全力で挑むのだ。
私にも恵にも共通する事だけれど、私たちはすべき事を分かっていながら、羞恥心に邪魔されている。
それを取っ払う事こそ、尊さんや涼さんが最も望んでいる事だ。
(今夜を楽しみにしてろ! ミコ! びっくりして目玉飛び出ても知らないもんね!)
私はじわーっと赤面しつつ、おじゃがっこをまた食べ始める。
「これからランチ行くんだから、菓子はほどほどにな」
「お母さんがいる!」
「はぁ~い、ミコトママよ」
「いひひひひひ」
私は尊さんとたわいのない話をし、約二時間半のドライブを楽しんだのだった。
**
「服、変じゃないかな」
私は助手席で白いティアードワンピースを摘まむ。
「似合ってるよ」
黒縁サングラスを掛けた尊さんは、黒いキャップにゆったりめの白T、黒い膝までのハーフパンツに、黒いハイカットスニーカーを履いている。
天気が崩れた時用に、後部座席にはライトブルーのデニムシャツも置いてある。
腕時計はタグ・ホイヤーのカレラだそうな。
ちなみに二人とも右手の薬指に、先日のショッピングで買ったペアリングがある。
彼から「似合ってる」と言われた私は、ホッと胸を撫で下ろす。
「軽井沢に行くなら、白いワンピースのお嬢さんをやってみたかったんです」
「なかなか、オーソドックスだな」
「オプションで、白っぽい日傘も持ってきてます」
正確にはグレージュだけれど、遮光性ばっちりのフリルがついた可愛い日傘がお供だ。
ワンピースはノースリーブで、日焼けしたら困るのでライトグレーの冷感UVカットカーディガンを着ている。
靴は尊さんと同じブランドの、黒いハイカットスニーカーだ。
「朱里は何を着ても可愛いよ」
スナック菓子のおじゃがっこをポリポリ食べていた私は、ポリ……、と囓るのをやめて運転席を見る。
「……なんだよ」
視線を感じた尊さんは、前を向いたまま尋ねる。
「休日の篠宮尊は、糖度高め……」
「褒めただけだよ」
彼は照れくさそうな顔をして、文句を言った。
「もっと褒めてほしいです!」
「素直だな。いつも褒めてるだろうが」
「もっともっと!」
「おーおー、欲の張った女はいいねぇ」
「食い気は負けません!」
「俺は色気も感じてるけど」
……このミコは、油断した時にクイッと攻めてくるから、油断ならない。
褒められるたびにドキドキしてしまうので、ついおふざけしてしまう悪癖ができてしまった。
しかも私は、このたび非常に冒険をして、アンシャンテブラ、ショーツという物を持ってきた。
アンシャンテブラとは、大事な部分がオープンになっている奴だ。
フランス語の挨拶で「初めまして」とか「お会いできて嬉しいです」という意味で使われる言葉だけど、「魅了された」「喜ばしい」という意味も持つ。
この下着で、いつも余裕たっぷりのミコを籠絡してやるのだ。
尊さんはこの週末デートについて、エッチを楽しむためにラブホデートを、と仮の提案をした。
その時、彼はセクシーランジェリーを用いてプレイしてみないか、とも言った。
半分は冗談のつもりだったと思うけれど、私だってたまには色んな事を忘れて、尊さんとイチャイチャしたい。
だからその姿勢を見せるためにも、こちらから色々用意したのだ。
そうでなければ、彼は私を怖がらせないために、過激な事はしないと思うので。
結局、尊さんは週末になる前に『デートする先がラブホだけっていうのは味気ないから、やっぱりどこか行くか』と言って、軽井沢に行き先を決めてくれた。
多分、またいいホテルもとってくれたんだと思う。
彼は先日の恵の誕生日デートで、高額なお金を使ったからといって、セックスを望んだりしないと言っていたけれど、私ができる事はこれぐらいしかない。
社会的地位もお金も持っている、家庭的なイケメン男性には、結局のところ愛情と快楽を捧げるしかないのだ。
勿論、大好きな婚約者だし、エッチに抵抗がある訳じゃない。
むしろ、沢山イチャイチャしたいし、甘えたい。
だからこそ、全力で挑むのだ。
私にも恵にも共通する事だけれど、私たちはすべき事を分かっていながら、羞恥心に邪魔されている。
それを取っ払う事こそ、尊さんや涼さんが最も望んでいる事だ。
(今夜を楽しみにしてろ! ミコ! びっくりして目玉飛び出ても知らないもんね!)
私はじわーっと赤面しつつ、おじゃがっこをまた食べ始める。
「これからランチ行くんだから、菓子はほどほどにな」
「お母さんがいる!」
「はぁ~い、ミコトママよ」
「いひひひひひ」
私は尊さんとたわいのない話をし、約二時間半のドライブを楽しんだのだった。
**
あなたにおすすめの小説
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。