754 / 792
京都観光 編
朱里の歩き方
しおりを挟む
「お祖母ちゃんは八坂神社を『祇園さん』って呼んでるんです」
「あぁ、京都の人って神社仏閣を〝さん〟づけするよな。そういうの、いいなって思う」
「主な御利益は厄払い、縁結び、美容と言われていますね」
「縁結びは足りてるから、厄払いかな……」
「恋愛の意味だけじゃないので、私はいいお仕事運とか、いい人間関係とか願っちゃいますね。あと、勿論美容も!」
「それ以上綺麗になってどうするんだよ……」
「ミコトよミコト、世界で一番綺麗なのはだぁれ?」
「鏡じゃねっつの」
私たちは軽口を叩き合って笑う。
気持ちを込めてお参りしたあと、私は尊さんに言った。
「ちょっと寄り道していいですか? 『よーじや』の祇園本店に行って、あぶらとり紙を買いたいんです。恵や他の女子たちの分も買ってあげたくて」
「OK」
私たちはぐるっと境内を一回りして、また西楼門から出ると、とても渋いデザインの全国チェーンのドラッグストアを横目に、まっすぐ歩いて行く。
一区画歩いた角にお店はあり、私はテンションを上げながら入店した。
「尊さん、こういうお店いづらいでしょ。サッと済ませますから」
「別に平気だから、ゆっくり選べよ」
「ミトコにもあぶらとり紙買ってあげるからね」
「楽しみにしてるわ」
ノッてくれた尊さんの言葉を聞いてケラケラ笑ったあと、私は商品を見るために店の奥へ向かった。
『よーじや』は東京の北千住にあるけれど、関東エリアの他の店舗は空港ばかりだ。
オンラインショップで買い物できる物だけれど、送料はかからないほうがいいし、何せ本店で買ったというのが嬉しい。
ついついお財布の紐が緩んであれこれ買ってしまいそうになるのを堪え、私はお土産を買っていく人の顔を思い浮かべて商品を選んでいった。
「はー、豊作豊作」
ついつい調子に乗ってしまい、お土産にあぶらとり紙の五冊組を沢山買い、自分用に大箱を二つ買ってしまった。
「どうせ帰りも車だから、思う存分買い物しとけ」
「尊さんは大変だけど、車ってありがたいですよねぇ……」
「交通機関を使うと、どうしても荷物の重さや大きさに気を遣うからな」
そのあと私たちは花見小路通を上がり、祇園白川へ向かい、歴史的な街並みを見て京都らしさを味わう。
駐車場に戻ったあと、ブーンと移動して北野天満宮近くの駐車場に停め、混んでしまう前に『とようけ茶屋』で湯葉丼を食べる事にした。
本当はすぐ近くにあるうどん屋『たわらや』で、茹でるのに十五分近くかかる、ごん太の一本うどんを食べたい気持ちはあったけれど、初志貫徹だ。
お店はこぢんまりとしていて、二階の席に案内された。
私たちは生湯葉丼の他、一品料理で冷や奴とお刺身湯葉、葱揚げを注文した。
「はぁ~、ちあわせ」
私は丼をうまうまと食べ、味のある冷や奴にうなる。
「マジで美味い」
「ここに来たらですね、歩いてすぐの距離にある『澤屋』さんに行って、粟餅を食べるのがセットなんです。美味しくてぶっ飛びますから、胃を空けておいてください」
「必修科目か」
「テストに出ます」
「『朱里の歩き方 京都編』だな。食ばっかり」
「なんで核心を突くんですか」
私たちはそんな会話をしながらも、食事を平らげ、待っているお客さんのためにサッとお店を出る。
そのあと『澤屋』さんで粟餅をテイクアウトし、あとでどこか座れる所で食べる事にした。
そしてお待ちかねの北野天満宮へ行き、牛の像を数えつつなでなでし、本殿にもお参りする。
「梅の時期に来てみたいですね」
「だな。桜と紅葉の時期の京都も、混んでてエグそうだけど来てみたい」
「昨日、ちょっと話題に出ましたけど、お祖母ちゃんの家の近くの瑠璃光院。両親が秋にあそこに行って、朱里って名前が爆誕したんですよ」
「爆誕って」
私たちは境内をゆっくり歩きつつ、そんな会話をする。
「今年の秋にも京都に来る予定があるけど、その時は瑠璃光院マストだな」
「朱の里ですよ」
「急に相撲取りみたいになるな」
「どすこい」
「やめろ」
「どすこい」
私はピョンとジャンプして尊さんをどつく。
「やめろって」
尊さんはヒイヒイ笑う。この男、結構笑い上戸だ。
「あぁ、京都の人って神社仏閣を〝さん〟づけするよな。そういうの、いいなって思う」
「主な御利益は厄払い、縁結び、美容と言われていますね」
「縁結びは足りてるから、厄払いかな……」
「恋愛の意味だけじゃないので、私はいいお仕事運とか、いい人間関係とか願っちゃいますね。あと、勿論美容も!」
「それ以上綺麗になってどうするんだよ……」
「ミコトよミコト、世界で一番綺麗なのはだぁれ?」
「鏡じゃねっつの」
私たちは軽口を叩き合って笑う。
気持ちを込めてお参りしたあと、私は尊さんに言った。
「ちょっと寄り道していいですか? 『よーじや』の祇園本店に行って、あぶらとり紙を買いたいんです。恵や他の女子たちの分も買ってあげたくて」
「OK」
私たちはぐるっと境内を一回りして、また西楼門から出ると、とても渋いデザインの全国チェーンのドラッグストアを横目に、まっすぐ歩いて行く。
一区画歩いた角にお店はあり、私はテンションを上げながら入店した。
「尊さん、こういうお店いづらいでしょ。サッと済ませますから」
「別に平気だから、ゆっくり選べよ」
「ミトコにもあぶらとり紙買ってあげるからね」
「楽しみにしてるわ」
ノッてくれた尊さんの言葉を聞いてケラケラ笑ったあと、私は商品を見るために店の奥へ向かった。
『よーじや』は東京の北千住にあるけれど、関東エリアの他の店舗は空港ばかりだ。
オンラインショップで買い物できる物だけれど、送料はかからないほうがいいし、何せ本店で買ったというのが嬉しい。
ついついお財布の紐が緩んであれこれ買ってしまいそうになるのを堪え、私はお土産を買っていく人の顔を思い浮かべて商品を選んでいった。
「はー、豊作豊作」
ついつい調子に乗ってしまい、お土産にあぶらとり紙の五冊組を沢山買い、自分用に大箱を二つ買ってしまった。
「どうせ帰りも車だから、思う存分買い物しとけ」
「尊さんは大変だけど、車ってありがたいですよねぇ……」
「交通機関を使うと、どうしても荷物の重さや大きさに気を遣うからな」
そのあと私たちは花見小路通を上がり、祇園白川へ向かい、歴史的な街並みを見て京都らしさを味わう。
駐車場に戻ったあと、ブーンと移動して北野天満宮近くの駐車場に停め、混んでしまう前に『とようけ茶屋』で湯葉丼を食べる事にした。
本当はすぐ近くにあるうどん屋『たわらや』で、茹でるのに十五分近くかかる、ごん太の一本うどんを食べたい気持ちはあったけれど、初志貫徹だ。
お店はこぢんまりとしていて、二階の席に案内された。
私たちは生湯葉丼の他、一品料理で冷や奴とお刺身湯葉、葱揚げを注文した。
「はぁ~、ちあわせ」
私は丼をうまうまと食べ、味のある冷や奴にうなる。
「マジで美味い」
「ここに来たらですね、歩いてすぐの距離にある『澤屋』さんに行って、粟餅を食べるのがセットなんです。美味しくてぶっ飛びますから、胃を空けておいてください」
「必修科目か」
「テストに出ます」
「『朱里の歩き方 京都編』だな。食ばっかり」
「なんで核心を突くんですか」
私たちはそんな会話をしながらも、食事を平らげ、待っているお客さんのためにサッとお店を出る。
そのあと『澤屋』さんで粟餅をテイクアウトし、あとでどこか座れる所で食べる事にした。
そしてお待ちかねの北野天満宮へ行き、牛の像を数えつつなでなでし、本殿にもお参りする。
「梅の時期に来てみたいですね」
「だな。桜と紅葉の時期の京都も、混んでてエグそうだけど来てみたい」
「昨日、ちょっと話題に出ましたけど、お祖母ちゃんの家の近くの瑠璃光院。両親が秋にあそこに行って、朱里って名前が爆誕したんですよ」
「爆誕って」
私たちは境内をゆっくり歩きつつ、そんな会話をする。
「今年の秋にも京都に来る予定があるけど、その時は瑠璃光院マストだな」
「朱の里ですよ」
「急に相撲取りみたいになるな」
「どすこい」
「やめろ」
「どすこい」
私はピョンとジャンプして尊さんをどつく。
「やめろって」
尊さんはヒイヒイ笑う。この男、結構笑い上戸だ。
545
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。
ましゅぺちーの
恋愛
公爵家の令嬢であるリリスは家族と婚約者に愛されて幸せの中にいた。
そんな時、リリスの父の弟夫婦が不慮の事故で亡くなり、その娘を我が家で引き取ることになった。
娘の名前はシルビア。天使のように可愛らしく愛嬌のある彼女はすぐに一家に馴染んでいった。
それに対してリリスは次第に家で孤立していき、シルビアに嫌がらせをしているとの噂までたち始めた。
婚約者もシルビアに奪われ、父からは勘当を言い渡される。
リリスは平民として第二の人生を歩み始める。
全8話。完結まで執筆済みです。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます
久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」
大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。
彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。
しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。
失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。
彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。
「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。
蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。
地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。
そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。
これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。
数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。
縁の鎖
T T
恋愛
姉と妹
切れる事のない鎖
縁と言うには悲しく残酷な、姉妹の物語
公爵家の敷地内に佇む小さな離れの屋敷で母と私は捨て置かれるように、公爵家の母屋には義妹と義母が優雅に暮らす。
正妻の母は寂しそうに毎夜、父の肖像画を見つめ
「私の罪は私まで。」
と私が眠りに着くと語りかける。
妾の義母も義妹も気にする事なく暮らしていたが、母の死で一変。
父は義母に心酔し、義母は義妹を溺愛し、義妹は私の婚約者を懸想している家に私の居場所など無い。
全てを奪われる。
宝石もドレスもお人形も婚約者も地位も母の命も、何もかも・・・。
全てをあげるから、私の心だけは奪わないで!!
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる