【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

文字の大きさ
656 / 792
ナンパの代償 編

消毒 ☆

しおりを挟む
 面倒臭いけど、シャワーに入るなら顔も洗って、またメイクし直さなければならない。

 本当ならベースメイクをして眉毛を描いて終わりにしたいけど、涼さんと篠宮さんが用意したデートコースを、そのメイクで行く勇気はない。

 少なくともちゃんとお洒落をして、フルメイクで臨むのが礼儀だ。

 洗面所でメイクを落として服を脱ぎ、バスルームに入ってシャワーを出した時――。

「お邪魔します」

「ギャッ!」

 突然バスルームのドアが開いて涼さんが入ってきて、私は悲鳴を上げる。

「な……っ、なん……っ」

 両手で胸元を覆ってプルプル震えていると、涼さんはシャワーヘッドを高い所に掛けて「あー……」とシャワーを浴び始めた。

「……なにやってるんですか」

 呆然として尋ねると、彼は濡れた手で前髪を掻き上げ、妖艶に笑う。

「~~~~っ! だっ、駄目ですからねっ! これから朱里たちと会うのに、エッチ、駄目、絶対!」

 両腕をクロスさせてバツを作ると、彼はフハッと笑ってから私を抱き寄せた。

「したいけどしないよ。時間がないからね。……それに恵ちゃんを離したくなくなる」

「なら、どうして……」

 腕を振り払おうとすると、クルッと体を反転させられた。

「ん”っ!」

 目の前に鍛え上げられた胸板が迫り、私は変な声を漏らす。

 涼さんはそんな私を見て微笑んだあと、私の右腕を握ってきた。

「どのへん?」

「え?」

「さっきの男に握られたの、どのへん?」

 彼の意図を察し、私はほとほと呆れ果てる。

「別に腕を掴まれたぐらい、どうって事ないでしょう。痣がついた訳でもあるまいし」

 そう言うと、涼さんは目を見開いて凝視してきた。怖い。

「恵ちゃんの腕に痣なんてつけられた日には、社会的に抹殺するしかなくなるよ?」

「そういうのいいですから」

 嫌がると、涼さんは私の手首を見て「この辺かな?」と呟き、ボディソープを出すと両手で思いきり泡立て、腕を洗ってきた。

「まずはちゃんと消毒しないとね」

 わあ……、筋金入りだ……。

 私がドン引きしていると、涼さんは私の腕をよーく洗ったあと、シャワーで洗い流した。

 さらに彼は、洗ったばかりのそこにチュッチュッとキスをしてくる。

「へっ!?」

 驚いて上ずった声を漏らしても、涼さんは手首にキスするのをやめない。

 彼は掴まれていただろう場所に、まんべんなく唇をつけたあと、「こんなもんかな……」と呟いて顔を離す。

「また洗いますね」

「ひどい」

 そんなやり取りをしている間も、私たちはシャワーに打たれている。

「まったく……」

 さり気なく腕で胸元を隠しつつ、濡れた髪を掻き上げると、涼さんはニッコリ笑う。

「消毒終わり。……これで気が済んだとは言わないけど、まだめっちゃムカムカしてるけど、とりあえず応急処置は終わり」

「怪我してません」

「腕から全身に〝あの男菌〟が回ってるんじゃないかと思うと……」

「菌とか言うの良くない」

「ごめんなさい。じゃあ、感染」

 涼さんはめっちゃ不服そうに、病んだ目で私を見て言う。

「っっっはぁ~~~~~~~~…………。しょうがないなぁ…………」

 私は大きな溜め息をつき、ドンッと涼さんの胸板に掌を押しつける。

「気をつけますから。今度から言われた通りにしますから、しつこく怒らないでください。あの人だって悪気があった訳じゃないだろうし、もう終わり!」

 ピシャッと言うと、涼さんは溜め息をついて肩を落とす。

「……分かったよ。恵ちゃん、髪洗って。体洗ってあげるから」

 彼は少し気落ちした様子で言い、ボディソープをネットで泡立てると、私の体に両手を這わせてきた。

「んっ……」

 ビクッとして声を漏らすと、耳元で「駄目だよ」と囁かれる。

「しないんだから、そんな声を出して俺を誘惑しようとしても駄目」

「してな……っ、――――ぃ」

 時間がないというのに、涼さんは両手で乳房を揉んでくる。

 泡まみれの手が素肌を滑る感触がなんとも言えず、私はビクビクッと震えて彼の両手首を掴んだ。
しおりを挟む
感想 2,520

あなたにおすすめの小説

砕けた愛

篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。 あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます

久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」 大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。 彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。 しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。 失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。 彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。 「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。 蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。 地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。 そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。 これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。 数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

処理中です...