灰かぶりの星屑令嬢〜乙女ゲームっぽい異世界にTS転生してしまって……〜

アイズカノン

文字の大きさ
1 / 1

1話 転生したら異世界の令嬢でした。

しおりを挟む
《プロローグ》
 【王立ユーティエ学院】。
王都にあるゼーファ教の修道院を改装して建てられた学院。
純白な校舎の廊下を歩く一人の少女。
名をリピア。
 (ふぅ……、今日も一日が始まった……。)
憂鬱な目で廊下を歩く彼女。
 「おはよう。リピア。」
 「おはようございます。ガルム殿下。」
そんな彼女を知ってか知らずか、ガルムと呼ばれる少年が話しかけてきた。
 「今日も可愛いね。リピア。」
 「それはどうも。」
リピアの黒髪を懇切丁寧に触る。
彼女は引いてるとも知ら……、あっ、知ってるなこれ。
 「あんまり私の可愛い妹をたぶらかさないでくれます。殿下。」
 「わっ……。」
 「イリヤ……。」
イリヤと呼ばれる少女?がリピアをガルムから引き剥がす。
 「君……、騎士でしょ。なんで淑女の格好をしているのかな……?。」
 「リピアがこの僕を可愛いって言ってくれたからだよ。そうだよね、リピア。」
 「あっ……、うん、そうね。今日も可愛いよ……。」
イリヤは男である。
が、同時に可愛いものが好きな女の子でもある。
 「おい、お前たち。いつまでそうしている。授業始まるぞ。」
 「わかりました……、サース先生。」
 「はい……。」
サースと呼ばれる青年に怒られて、ガルムとイリヤは教室へ向かった。
 「ありがとうございます。先生。」
 「いいよ。リピア嬢が困っていたからついね。」
 「っ!?」
サースは優しくリピアを抱きしめる。
 「今日も一日頑張れそうだ。」
 「そう……、それは良かったわね……。」
 「あぁ。じゃ、また後で。」
 「うん……、また後で……。」
リピアは手を振って、サースを見送った。
 (どうしてこんなことに……。)
いま起きた惨状を憂鬱になりながらリピアも教室へ向かった。
時はリピアが5歳の頃まで遡る。


《灰かぶりの星屑令嬢》

 『僕』が目覚めた時にはもう『私』になっていた。
最期の『僕』の記憶が『私』の記憶に上書きされる。
それは階段からの落下。
嫉妬か、誰かへの忠誠か。
『私』はある侍女に階段からつき堕とされた。

 私が目が覚めた時にはもうベッドの上だった。
こばゆい痛みが脳を走る。
 「お嬢様……。旦那様!、お嬢様が……。」
老婆の侍女が私の寝室から慌てて出ていった。

 数刻が経ってそれなりに若い夫婦が私の寝室にやってきた。
おそらく両親だろう。
 「大丈夫か?、リピア。」
 「どこか痛いところない?。」
 「まだ少し頭が痛みますが、はい、大丈夫です。」
「そうか……。」といった様子で両親は胸を撫で下ろした……と思う……。
 「お前の体調が治り次第、お前の専属の侍女を選ぼうと思う。」
 「侍女ですか……?。」
突然の提案に混線する二つの思考と記憶が私に頭痛を引き起こす。
 「あなた。リピアは病み上がりなんだからそのくらいにしなさい。」
 「あっ……、あぁ……、すまなかった。リピア。」
 「いえ……、私は大丈夫です……。」
程々の作り笑顔でなんとか対応した……。
頭が痛い……。
 「それじゃあ……、またな。リピア。」
 「おやすみなさい。リピア。」
 「……おやすみ……、お父様。お母様。」
両親は寝室を出て、私は眠りについた。

 後日、私は両親が援助している孤児院で見かけた少女を専属の侍女に選んだ。
名前は【アリシエ】。
銀色のショートヘアに水色の瞳。
少し小柄な少女。

 それからアリシエは私の側で、一緒にいろいろと学びながら生活していった。
まるで仲むずましい姉妹のように。
恩か、義理か、彼女はいろいろな事柄。
特に私に対する事柄をよく学んで、吸収していった。
勉強はいつの間にか追い抜いて、専属の家庭教師のように私に勉強を教えてくれる。
ダンスを初めとした実技もそう。
なんか気づいたら男役で私のパートナーやってるし、テーブルマナーも忘れかけたら耳打ちしてくる。
なんか過保護になってない?。

 そんなこんなで5年が経ち。
私、【リピア=スターダスト】は10歳になった。
程々に成長した身体。
胸もしばしの大きさがではじめて、未だにバランス感覚がなれない……。
 「リピア様。応接室でガルム殿下がお待ちです。」
 「ありがとう。アリシエ。」
 「もし、リピア様が危険を感じたらすぐにお呼びください。駆けつけますから。」
 「そこまではしなくて良いかな……。」
ロングスカートのクラシックメイド服を着たアリシエが脚に隠し持ってる武器にスカートの上から触ってる……。
え……、ヤル気……?。
 「じゃあ、行ってくるね。」
 「行ってらっしゃいませ。」
シックな紫色のミニスカートのワンピースドレスを着た私は緊張で震える手を抑えて、応接室の扉を開いた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

処理中です...