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部屋の彼
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仕事を終え、ふらふらと一人暮らしのアパートに帰宅する。
玄関を開けると安堵感に包まれる。電気も付いていないのにこの部屋が暖かいのは、彼がいるからだ。
気合いで着替えと夕飯を済ませ、風呂に入る。もう一息。
殺風景な部屋の真ん中にあるテレビをつけて、申し訳程度に生活感を演出。大丈夫、まだ腐ってない。
疲れ切った体を引きずって寝室に入り、ベッドに倒れ込んだ。
ふう、と大きめにため息をつく。今日も変わり映えのしない、退屈な一日だった。
ふと、横を向く。
彼が隣で眠っている。すうすうと聞こえないくらいの寝息を立てる様子が愛らしい。
明日も仕事で朝早いだろうから仕方ないけれど、たまには起きて出迎えてくれてもいいのに、なんて無茶なことを思う。
白い肌、長いまつ毛、真っ直ぐ通った鼻。その端正な顔はそこに存在するだけで私を癒してくれる。もちろん好きなのは彼の外見だけではないけれど。
「ねえ」
彼を起こさないよう、小さな声で話しかける。
「今日ね、隣の席の葉山さんと、営業部の三田さんがね…」
こうしてその日あったことを彼にこっそり話すのが日課だ。
十五分程で話し疲れ、眠くなってくる。
つけっぱなしのテレビから彼の笑い声が聞こえてきた。夜のバラエティ番組に出演している彼はあっはっは!と気持ちのいい声で笑う。
ああ、好きだなあ。
何時間でも聞いていられるが、あいにく私も明日は早い。録画して寝よう。
優しい彼にばかり依存するのは避けたい。
部屋の照明を落とし、おやすみ、と壁のポスターにキスをした。
週末、買い物に行こう。この部屋に、新しい彼の要素を取り入れよう。
彼の眠る抱き枕を抱え込んで布団に潜る。
明日も頑張ろう。
玄関を開けると安堵感に包まれる。電気も付いていないのにこの部屋が暖かいのは、彼がいるからだ。
気合いで着替えと夕飯を済ませ、風呂に入る。もう一息。
殺風景な部屋の真ん中にあるテレビをつけて、申し訳程度に生活感を演出。大丈夫、まだ腐ってない。
疲れ切った体を引きずって寝室に入り、ベッドに倒れ込んだ。
ふう、と大きめにため息をつく。今日も変わり映えのしない、退屈な一日だった。
ふと、横を向く。
彼が隣で眠っている。すうすうと聞こえないくらいの寝息を立てる様子が愛らしい。
明日も仕事で朝早いだろうから仕方ないけれど、たまには起きて出迎えてくれてもいいのに、なんて無茶なことを思う。
白い肌、長いまつ毛、真っ直ぐ通った鼻。その端正な顔はそこに存在するだけで私を癒してくれる。もちろん好きなのは彼の外見だけではないけれど。
「ねえ」
彼を起こさないよう、小さな声で話しかける。
「今日ね、隣の席の葉山さんと、営業部の三田さんがね…」
こうしてその日あったことを彼にこっそり話すのが日課だ。
十五分程で話し疲れ、眠くなってくる。
つけっぱなしのテレビから彼の笑い声が聞こえてきた。夜のバラエティ番組に出演している彼はあっはっは!と気持ちのいい声で笑う。
ああ、好きだなあ。
何時間でも聞いていられるが、あいにく私も明日は早い。録画して寝よう。
優しい彼にばかり依存するのは避けたい。
部屋の照明を落とし、おやすみ、と壁のポスターにキスをした。
週末、買い物に行こう。この部屋に、新しい彼の要素を取り入れよう。
彼の眠る抱き枕を抱え込んで布団に潜る。
明日も頑張ろう。
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