タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

74,ヘキサグラム

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  タロットカードを取り出して、リーゼロッテ様にシャッフルしてもらう。私は副団長さんのこと知らないし、自分のことだから私がやるよりいいだろうから。もういいかなって思ったらカードをまとめてもらう。
  リーゼロッテ様からカードを受け取って、六芒星の形になるように並べる。気をつけるのは時計回りに並べるんじゃなくって、三角形の形に上、右下、左下。そのあと逆三角形に下、左上、右上。最後に中央にカードを置いてヘキサグラムスプレッドの完成だ。

「それは一体……?」
「これはヘキサグラムスプレッドと言う占い方です。質問に対して、過去、現在、未来、周りの状況、その人の望み、これから何をやるべきか、そして最終的な結果。そんな感じのことを占います。今回は過去、現在、未来、相手の気持ち、リーゼロッテ様の気持ち、やるべきこと、最終的な結果を占います」
「そんなに占うことができるのですか?」
「そんなにというか、それを全てまとめて一つの占い、という考え方なんです」
「なるほど……」

  とりあえず、並べたカードを表にしていく。これはまたなんとも……。ん?  なんか若干見たことあるような気がするけど気のせいかな。

「とりあえず過去と現在からですが……。もしかして最近まで婚約に乗り気じゃありませんでした?」
「え、ええ。恥ずかしい話だけれどその通りよ」
「これは何か良い変化を起こす出来事があって、それがきっかけで今は婚約に前向きになった……、みたいに読めるカードの並びです。過去には運命の輪の正位置、現在は恋人の正位置ですね」

  何か良い変化か、騎士団の副団長っていうと真面目な人なのかな?  騎士ってそんなイメージだし。

「お二人が婚約したのっていつごろですか?」
「私が十二歳の誕生日を迎えた時よ。その時あのお方はもう二十五歳で、騎士団の副団長を任されていたわ」
「リーゼロッテ様って今お幾つなんですか?」
「今年で十七になるわ」

  同い年!?  嘘でしょ!?  
  驚きのあまりまじまじと顔を見つめてしまう。まつげなっが。

「どうかした?」
「あ、いや。なんでもありません」

  絶対成人済みだと思ってた。いや、こっちの世界では成人なんだけどさ。え、いや、だってもうなんかこう、完成してるもの。顔のパーツ一つ一つが美術品みたいに整ってて、目もぱっちりしてる。色はびっくりするほど白いのに、決して不健康には見えない。むしろ肌の白さが血色のいい薄いピンク色を引き立ててるように見える。
  化粧品のCMとかに出てくる女優みたいな見た目してるのに私と同じ歳って。え、嫌だ、現実を見たくない。

「……大丈夫、アンジュさん?」
「あ、はい。大丈夫です」

  今は占いに集中しよう。ただでさえ慣れない占い方してるんだから。

「それで、近しい未来ですが審判の逆位置。意味は挫折や停滞、抜け出せない。そんな意味になります」
「そんな……」

  リーゼロッテ様が口元に手を当てて泣きそうな顔になる。慌ててまだ終わりじゃないことを伝える。

「リーゼロッテ様、婚約がだめになるって決まったわけじゃないですから安心してください」
「でも、挫折ということは……」
「そこはリーゼロッテ様自身によると思います。何をすべきかを指すカード。ここには力の正位置のカードが出ています。意味は信念、勇気、忍耐。ですので、リーゼロッテ様がすべきことは副団長さんを信じて、耐え忍ぶことです」
「それだけしか私にはできないの……?」
「それだけ、じゃないですよ。それこそがやるべきことなんです。もし何か行動を起こしてそれが失敗したとしたら、下手をすると副団長さんを貶めるために使われかねません。そしてもしも諦めたり、心が折れてしまったりしたら副団長さんが何かしたくても手を出せなくなってしまうんですから」

  漫画とかドラマとかによくある話だと、気に入らない人を関係ないのに悪者にしたり罠にはめたりするからね。相手につけいられないようにするには大人しくしてるしかないと思う。

「そう、ね……」

  理解はしたけど納得はしてないって感じだなあ。釘を刺しておいても何かやりそう。出来ることを提示して、その範囲内で動くようにした方が安全かなあ。

「あくまで表立って証拠を残す動きをしない方がいい、という話です。婚約の話をご自身で決めることが可能であれば、体調が優れないとかでその話を先送りにするとかは良いと思いますよ」
「そうなの?  分かったわ」

  やっぱり何か出来ることを教えておいた方がよかったやつだこれ。絶対何か動くつもりだったなこれ。

「それで、あとはお二人の気持ちと最終的な結果ですが……。どれからお話しします?」
「私の気持ちははっきりしてるから飛ばしてくれて構わないわ。改めて言われるのも恥ずかしいもの」

  うん、まあそうですよね。今のやるべきことの時点でそれはわかってました。戦車の逆位置なんだもの。簡単に言えば相手のことが好きすぎて空回りしてしまっている、みたいな意味だしね。だからこそ大人しくしてなさいっていう力のカードが出たんだと思う。まあ、そう読んだのもここで戦車の逆位置が出たからなんだけどね。ここで正位置だったら相手に思いやりを持って、副団長さんのためになりそうなことを積極的にやるべきって読めるけど。

「それでは、相手の気持ちに移りますね。これは節制の正位置。意味は順調、安定、ひかえめ、バランスなどです」
「それがあの方のお気持ちなの……?」
「あくまでカード自体の意味ですから。解釈としては副団長さんはリーゼロッテ様と良い関係でありたいと思っています。ですが、今すぐこうなりたい、という感じではなく、ゆっくりとお互いに尊重しあえるようになりたいと願っている。そんなところです」
「そ、そう……」

  私の言葉を聞いて、赤くなるリーゼロッテ様。副団長さんのことが本当に好きなんだなあ。この様子を見てるとなんだかほのぼのしてくる。

「それで、私たちは最後にはどうなるの?」
「安心してください、結末には女帝の正位置。意味は実り、成就、成長。文字通りですよ」

  私がそう言うと、リーゼロッテ様はポロポロと泣き始めた。多分安心したんだろうなあ。私みたいなギルドで場所借りてやってるような占い師にまで占いを頼むんだから、他の占い師にも頼んでるんだと思う。でもほとんどの人からあんまり良い結果ではないって言われたんだと思う。もしかすると全員かも知れない。そんな中での私の占いで大丈夫だと言われたんだもの、そりゃあ安心するよね。恋愛ではないけど、私にも似たような経験あるし。

「これが私の占いの結果です。耐え忍ぶことがやるべきことと言いましたけど、リーゼロッテ様のお気持ちは副団長さんにお伝えしておくことをおすすめします。副団長さんもリーゼロッテ様が待っててくれると分かっていたら頑張れるでしょうから」
「ええ……、ええ。ありがとう、アンジュさん。そうするわ」

  どうなることかと思ったけど、これでなんとかなったかな。あとは二人が幸せになれるように祈るだけだ。
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